ジャイプールはデリーから南西へ約300km,ラージャスタン州の州都だそうだ.街の中心部全体が赤砂岩のローズピンク色に彩られた建物や城壁が多いことから,別名ピンクシティとも呼ばれるそうで,見れば確かにそのとおりだ.1727年当時のマハラジャ,サワイジャイスィン2世によって,ピンクシティの中心にシティパレスを据え,郊外にアンベール城を設ける,と云うしっかりとした都市計画に基づき建設されたそうだ.
ジャイプールの中心部にこのような門が前後(もっと多いかも知れない)にあり,この区間の建物の色がピンクで統制されている.都市建設当時はまだ自動車が無かったが道幅は広くとられている.この門を抜けると,遊園地があって,続いて,確かガイドさんが”ジャイプールの銀座通り”と言っていた通りに出る.しかしピンシティの賑やかさと比すれば閑散としている印象を受けた.
都市計画のポイントの1つは建物の構造で,1階はお店,2階以上は住居,と云う構造で統一されている.当時かなり先進的な統一構造だったそうだ.また特定区域に関して言えば,1階がお店の前は屋根付き歩道(アーケード)になっている.
下は,ピンクシティとその路地裏を練り歩いてみたときの写真.カオスの表通りから少し入ると牛を祀った寺院や,そこに捧げるマリーゴールドのネックレス売りなどが見える.なお,正札とか定価販売とかのコンセプトがないインドに在って,この神聖なマリーゴールドのネックレスだけは決して値段交渉してはいけないし,また実際誰も値切ったりしないそうである.
下はピンクシティアーケード商店街のあちこちである.商店街の構造は,建物内のちゃんとした商店の並び,屋根付き歩道とそこに出店しているお店(先の建物内商店とは別の商品,経営者),歩道と車道の間の駐車/駐輪スペース,そこに無理やり店を構えている出店,車道......そして反対側についても同様,まあこんな具合だ.いろいろ何だかよく判らない商品も結構ある(判らないこっちが悪いが).
下は,ピンクシティ外部,ジャイプールで立ち寄った宝石店近くの商店街一帯の写真.マクドナルド(ビーフは食べないから,ラムとかチキンのバーガーだろうか?)や映画館,ジャイプールの秋葉原などがあった.
ナハルガルフォートの中の最初の砦はジャイプールのマハラジャ,ジャイスィン2世(スワイジャイシン:Sawai Jai Singh)によって主に1734年に築城され,後にスワイラムシン(Sawai Ram Singh)が拡張したようだ.
当時の大砲が展示されている.城の脇には見張り台が設けられ,ジャイプールの街がよく見下ろせる相当高い山の上にあるので,さぞかし攻略しにくい城であったであろう.
赤砂岩の色だ.中央に大きな大福状の平べったい丸,その左右に少し小さな丸があり,どうやらここの建築様式の特徴のようである.扉をくぐり,屋上に昇ると,この横に並び,棒の刺さった大福餅がいっぱい見える.
山全体が城壁で延々と囲まれている.城壁は四角錐型に抉られた銃眼を備えた赤砂岩の壁でできているようだ.
内部の造りは他の建築と似ている部分が多いように思えた.天井や,壁には草花の文様が描かれると共に,子息のためのブランコ吊り下げ用フックが見える.
このように象に跨った絵が多いようだ.あれもこれも少しづつ違うがまあ同じようなものだ.
下は,ナハルガルフォートの写真あれこれ
ジャイプールのシンボルともなっているのがこの風の宮殿.窓からテラスに通り抜ける風の音が聞こえる,というのがその名の由来だそうだ.1799年,当時のマハラジャPratap Singhによって建設されたそうだ.イスラム教の影響か(?),夫以外の男性には顔を見せられない王妃や宮廷の女官たちのために建てられたものだという.
大きな建物のように思えるが横から見ると,まるで映画のセットのようにとても薄っぺらい,奥行きのない建物である.ここには152個の窓からあり,そこから王妃や女官が下を覗けば,市民からは顔を見られず,かつ街の様子を詳しく観察できたそうな.
下は,ハワーマハル前景と近所の写真
ジャイプールの旧市街から,11km離れた山の上にある城塞宮殿.ジャイプールの街が建設されるまでは,ここが王国の首都であったという.城の歴史は954年にまでさかのぼり,サワイジャイスィンが1727年にジャイプールに宮殿を移すまで6世紀もの間,アンベール城がこの地方の中心であったという.
入り口上部にガネーシュ神である象の絵が掲げられ,正面の壁も,側面の壁も彩色され美しい.
ふもとの乗り場から城内の降り場までゆっくり昇る.象って結構揺れると云うことが解った.
アンベール城は山城で,周りを見渡すと,山の稜線に沿った城壁で囲まれていることがわかる.直下にはイスラムの影響か対称性が高く,池を備えた人造庭園跡が見える.
馬蹄形アーチの下の円柱が連なる様式は少しイスラム様式に似る.しかしアーチの輪郭が装飾的で円柱が徳利形であることや,一部2連柱であることなどは大きく違うと思う.また別の建物であるが象の形をあしらったりしており,ここのヒンドゥー/イスラム折衷様式はおもしろい.
マリゴールドのお供えが木に懸かっている.城内には香料(染料か?)を売っている人がいたり,銀の扉で区切られたヒンドゥー寺院の傍で遊ぶ子もいた.
下は,アンベール城各所の写真
入インドは大きな国だから多くの人がアンベール城にも訪れる.そして,ここにも,そこにも,寛ぐ人々が見られる.
これは鏡の間と呼ばれる部屋の,天井と側壁との稜線部である.天井にもまたミラーやいろいろな色の石が埋め込まれ美しい.
鮮やかな色のレリーフが見事.
この部屋の外面は大理石の格子が嵌め込まれ,実に爽やかな風が来る.
周りは大理石に黒石が象嵌され,花の浮き彫りは,一部の花びらを手で覆うと蠍に見えるというだまし絵である.
下はさらにアンベール城のいろいろな写真
シティパレスはジャイプールの街を造ったジャイスィン2世によって建てられた.ジャンスィン2世はラージプート族と呼ばれる,お隣のイスラム勢力であるパキスタンと戦った勇敢な人達の指導者だそうだ.現在子孫が利用しているが,一部公開し,博物館として当時の武器,衣服,絵画といったものを公開している.(ただし展示物は撮影禁止のため撮れず,載せられませんでした)
間近でみるとバルコニー辺りのアーチとそれを支える細い柱,格子彫りが美しい.
2つあり,世界最大の銀の壷,確か9000lの水が入るとか....エドワード7世の戴冠式にイギリスに出かけたマハラジャが,この壷の中にガンガー(ガンジス河)の水を入れて運び,沐浴したという.なおガンガーの水は,汲み置きしても腐り難いことが成分分析結果からも明らかになっているという.
前述のようにシティパレスは今もマハラジャ末裔の住まいとして利用されており,在宅中か旅行等で不在かは屋根の上の旗で判るようになっており,見学したこの日は旗が上がっていたので在宅のようであった.そう言えばこの屋根の形,ナハルガル砦の屋上でたくさん見た横並べ大福餅と似ている.
シティパレスの建物の扉はいろいろ飾られ面白い.木製の扉,ピカピカ金属の扉,ガネーシュ神の付いた扉....とバラエティに富む.
下は,シティパレス入り口ゲートから出るまでのあちこちの写真
ジャンタルマンタルとは昔の天文台で,ジャンタルは道具,マンタルは計算,と云う意味だそうだ.18世紀にジャイプールのマハラジャ,ジャイスィン2世が国内の5カ所(ジャイプール,デリー,バナラシなど)に建設した中の1つで,日時計を中心に,天体(太陽,月,星など)の位置や動きを知るための観測装置が数多く置かれている.なお前述のシティパレスとは隣り合わせでここからよく見える.
大理石で造られ美しい.装置中央につられた円盤に日光が当たり,その影が大理石の半球に映る.半球には精密に赤経,赤緯(地球の経線,緯線にあたる)が彫られており,その時の太陽の位置が分かる. 観測用の溝(黒い部分)があるので,溝に対になるものがもう一つあり,観測できない場所が無いように造られている.彫られている円の中心は天の北極(北極星のそば)の方角を指す~と,まあこんな風に,あるサイトで説明されていたが,やっぱりよく解らない......いずれにしても観測結果に基づいて正確な占い(?)行うのが最終ターゲットであったようだ.
大きな日時計(奥側)の影は1時間に4m動き,読み取り精度が高いようだ.でもこんな大きな時計は,やはりインドならではの感がする.小さな日時計は数基あり,目盛り上への影の位置に毎日の補正値を加え時刻を求める.365日異なる補正値は傍らに掲示されている.それにしても,どうして同じ場所に複数の日時計が必要だったのだろう? これは”やはりインドだから”と言われてもやっぱり解らない.....
だったと思う.見えてる面は冬(秋分から春分まで)用で,この円面の裏が日が高くなる夏用の面になっている.
他に,黄道12宮(太陽が通る12の星座:占いに使われる)の絵や文字が彫られている星占い装置等があった.
下は,ジャンタルマンタルの写真あれこれ
こんな風にポーズをとってくれる.部屋の天井は高く,床は大理石となかなかいい.レストランもなかなか凝った造りだ.
とても広い庭で,さらに白い建物の向こう側にはプールを配した庭もある.廊下には人物画や,風景画が掲げられ,庭の一角には巨大チェス盤があった.
下は,ジャイマハールパレスホテルの写真あれこれ
ジャイマハールパレスホテルの庭で,夜8:00より繰り広げられたラジャスタンダンスの模様.
頭上は水瓶.女性は遠くから水を汲んで運ぶ重労働に際し,家族のことなどいろいろ想い,少し踊りながらながら帰路についた,それを表現したダンス.今でもところによっては水汲みが必要なようで,バスからそんな光景が見えた.
4人のメンバから成り,演奏しながら時に踊りもこなす.パーカッション2人,弦楽器1人,アコーデオンのような鍵盤楽器1人....だったような?
下は,一座のメンバーと,途中で引きずり込まれた観客面々のパフォーマンス
ジャイマハールでショッピングのために立ち寄った織物工場の風景.
概ね15cm角(四角とは限らないが)くらいの木彫り版に染料を付け,白い布に押す.大まかには木版画と同じだ.この後水に浸すと仕上がりの色に変化する.
この工場(販売部門が大きいが一応製造販売)では他に綿の紡ぎ,カーペット織り,繊維の染色等をやっていた.
下は,織物工場の写真あれこれ
ナハルガルフォートの王族が時々この水辺に下り,楽しむための宮殿だったという.