ヴェローナはミラノからベネチアに向かう途中,ちょうど2都市の中間くらいに位置している.
ロミオとジュリエットのお話から作られたバルコニー付きジュリエットの部屋がある家.庭にはジュリエットのブロンズ像も用意してある.シェークスピアの「ロミオとジュリエット」の話はヴェローナの敵対する二名門の息子と娘の悲恋物語だが,シェークスピアはイタリアに来たことがなかったそうだ.シェークスピアは16世紀前半にルイジダポルトという作家が書いた「二貴族の恋人の物語」もしくはそれを種本にして書かれたマッテーオバンデッロの短編集のいずれかを元にこの悲劇を書いたとみられているようである.つまりリメークということか.何よりも,このような観光資源を作り出したヴェローナ市当局はなかなか賢い.
近くには大きな川,アディジェ川が流れ,とても美しい街だ.アディジェ川はその源をイタリアからオーストリアへ抜けるブレンナー峠あたりに発し,アドリア海へとそそぎ込んでいるようだ.
市街地は道幅も狭く古く落ち着いた様子で,ヨーロッパの古都の典型的街並み.人口約25万人,ミラノの東152km,ヴェネツィアの西115kmで,ちょうど中間に位置する.イタリアとドイツ,オーストリアなどの近隣諸国を結ぶ中継地として栄えているそうだ.農業の集散地として,また商業,工業ともに盛んだそうで,靴の生産はイタリアで1位だそうだ.
エルベ広場(Piazza delle Erbe)という市場.巨大傘屋根のお店が立ち並ぶ.傘骨は木製,布はカンバス地のような感じ.エルベとは野菜を意味し,かつては野菜だけが売られていたが,今は肉,花,みやげ物屋などの屋台も立ち並ぶ.古代ローマ時代からこの場所に公共市場(フォロ)があったそうである.
円形劇場が残る.1世紀の初めに造られたローマ帝国時代の劇場で,舞台と半円形の観客席は他のローマ円形劇場と共通であろう.毎年夏にはバレエや芝居の上演,ジャズの演奏会などが行われるそうである.石畳もきっとその頃からあり,補修しながら使われているものであろう.日本史と比べてやはり長いし,建造物の被保存性にも圧倒的な差異がある.
下は,ヴェローナの写真あれこれ