利川(イチョン)  Icheon

この利川(イチョン)編では,利川を訪れる途中,および青磁の窯元を見せて貰ったときの写真を載せました.

慶州(キョンジュ)から利川(イチョン)に行くとの風景

慶州(キョンジュ)から利川(イチョン)

殆ど往きと同じ道を辿って,慶州(キョンジュ)から利川(イチョン)へと走った.ただただ広い農地が広がるのではなく,どこも倉庫や町工場(?)風建物が点在している.田んぼの規模は日本と似たようなサイズで区画されているように見える.

中央部,ビニールシートの掛けられた畑は何だったか?陽に当てないようにして作っているのが朝鮮ニンジン(高麗人参)と,説明されていたのだが....う~ん,これだったか.古来から有名な朝鮮ニンジンは利川周辺では特に多いそうだが,収穫まで6年間(長い!)もかかるそうで,近年アメリカでも大規模に栽培されているのだそうだ.TPPでは問題になりそうですね.


陶磁器屋さんが並ぶ利川(イチョン)の街

利川の街は陶磁器屋さんが並ぶ

やがて利川の街に入ってきた.店先に大きな瓶を並べた陶磁器屋さんが軒を並べている.有名な青磁や白磁でいっぱいかな~?と思いきや,全くそんなことはなく,普通の茶色っぽい並の陶器が殆どだ.まあ,それはそうかも,仮に青磁や白磁が軒先にゴロゴロ....いくら何でも贅沢過ぎますね.


利川(イチョン)の窯元の高名な陶工の方

利川の窯元の高名な作家

利川には150軒あまりの窯元があるそうだ.私たちはその中の一軒に案内してもらった.ろくろを廻しているのは韓国でも高名な陶工の方(名前は失念)だそうで,塊の粘土からあっと言う間に壺に成形して見せてくれた.底部を切り離すとき普通の人は糸を使うことが多いそうだが,この方はへらのようなものでさっと切り離していた.

焼き上がった作品は見事なもので展示室に並べられていた.もちろん高価な値札が付いていた.


高麗青磁の絵柄は象嵌で

高麗青磁の絵柄は象嵌が基本

これは焼く前の状態.最も凝っているのは絵柄が筆で書かれるのではなく,地の粘土と別の色(白と赤)の土を象嵌してあることだと思う.その工程は次のようになっていた.

  1. ろくろで成形する
  2. 半乾きに乾かす
  3. ケガキ針で表面に模様となる絵のアウトラインを描く
  4. ナイフでアウトラインの内側をえぐり出す.深さは1~2mm程度か,または深さに勾配を持たせて削る
  5. 削られた窪みに白または赤の柔らかい象嵌剤をはみ出るほど入れる(象嵌する)
  6. そのまま象嵌剤が半乾きするまで置く
  7. 窪みからはみ出ている象嵌剤を削り取って,本体の表面に合わす.
  8. 写真鶴の嘴や脚のように,普通の絵筆で顔料(多分)の絵を書き加える.
  9. 乾燥させる
  10. 全体に釉を掛けて乾燥させる
  11. 登り窯で焼き上げて完成

窪みに象嵌しないで,釉だけで模様を付ける部分もある.窪みの深さに勾配があると,絵に濃淡が生じ大変美しい.


利川(イチョン)の登り窯

登り窯

日本の登り窯と同じであろう,焼くものが所定量溜まった段階でこの窯に入れ,燃料を入れて3日間ほど燃やすようだ.焼成後割れるものも多いようで,窯の脇には瓦礫が山積されていた.


二重の青磁壺

二重の青磁壺

これも有名な二重構造の高麗青磁.写真は外側部分の壺の窓を開けている工程.模様のアウトラインを罫書くところまでは上の象嵌処理の場合と同じ.削る時,窪みでなく全部削って窓にしてしまうところが違う.残る部分(窓枠)は細いので,全体が崩れ落ちないように慎重に作業が行われている.

さてこの中に内側の壺を入れるにはどうするのか?答えは意外と簡単,半乾きの外壺の上下中程で切断,外壺底半分に内壺を入れ,外壺上部半分を被せ,分割部分を接合,以下工程は一般のもの同様,ということだ.な~るほど.


下は,利川(イチョン)までと利川の写真

利川(イチョン)までと利川の写真
利川(イチョン)までと利川の写真 利川(イチョン)までと利川の写真 利川(イチョン)までと利川の写真 利川(イチョン)までと利川の写真 利川(イチョン)までと利川の写真 利川(イチョン)までと利川の写真 利川(イチョン)までと利川の写真
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焼き上がった青磁は,象嵌されたソフトで温かみのある絵柄,全体の色と同じで美しいグラデーションで描かれた絵柄,釉に細かくクラックが刻まれた表面,繊細な窓や立体装飾の二重壺....なかなか素晴らしい.


利川(イチョン)には桜も残っている

桜も残っている

窯元の見物を終え,食事に出かけた.慶州の桜はひどい風雨で殆ど散ってしまっていたが,ここ利川(イチョン)は北に位置し,気温が低目のためかまだ結構桜が咲いている.道脇の桜は日本より多いように見える.


韓流細いステンレス箸

韓流細いステンレス箸

この日の昼食は普通のご飯の定食だったか?実は利川は磁器でも有名だが,米も最高で,王朝時代から宮廷御用達米として生産されてきたそうだ.日本で言えば魚沼コシヒカリのようなものか?いや,コシヒカリは近年のもので徳川家御用達ではなかったと思う.菜っ葉だけが見えるが.....包むお肉はこの写真の後出してもらったかな?副菜に白菜やイカのキムチは当然のごとく添えられていた.

ところで利川米は宮廷御用達であったが,宮廷メニューには辛いキムチなどは含まれなかったそうだ.王が汗や鼻水を垂らしながら食べるのも何だし,身体への刺激を避けるためだったそうだ.でも機会があってキムさんも宮廷料理を食べてみたが,あまり味がせずちっとも美味しくなかったそうである.

で,主題は細いステンレス箸だ.キムさんによれば,日本で普通使われるような箸は,使う際に手内部の3種の筋肉が使われるという.一方韓流ステンレス製細い箸は6つもの筋肉が使われ,そしてその6種筋肉活用が脳を活性化し,結果として頭を良くするのだそうだ.だから韓国では細い箸が使われているのだそうな.キムさんは『だから韓国人は日本人より頭脳明晰』とまでの明言を避けたが,まあそこまで言われずも日本式箸頭でも判ります,はい.でも細い箸は食べにくい,来る時のアシアナ機内食のソバにフォークはもっと大変だったが,これもひょっとして頭が良くなるのかな~?



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