ポカラはカトマンドゥから西へ200km,プロペラ機で30~40分,海抜850mの温暖な気候で,晴れていれば「白いヒマラヤが間近に見え,またそれがペワ湖に映る」と云うのが売りであろう.ただ訪れたときは残念ながら雲の切れ間は少なかった.しかしポカラ市街では多分最も見晴らしが良いであろうホテルの屋上で雲の切れ目からポカラのシンボルともいえるマチャプチャレ(6993m)をはじめとして,アンナプルナⅢ峰(7555m),アンナプルナ南峰(7219m),ダウラギリ(8167m)など垣間見ることができた.この街はトレッキングのメッカでもあるようで,レイクサイドには多くのホテルやトレッキング用品店,山岳ガイドを含むトラベルエージェントが見られる.
カトマンドゥからポカラにはこのコズミック航空19人乗りプロペラ機で来た.小さい機体であるが素通しのコクピットを覗くと,ちゃんと副操縦士もいるし,水を配ってくれるフライトアテンダントまで搭乗しているのだ.隣にはベテランの日本人トレッカーが乗り合わせ,「一ヶ月あまり歩いてくる」と言われていた.高度は高くないのに窓からの眺めは山間部らしく雲が上に下に立ち込めていた.
ポカラ空港に着いたら飛行機より歩いてこの小さな空港ビルへ向かう.周りを眺めると遊覧飛行ヘリなどが見える.ただ現にカトマンドゥからここに来るときに大分遅れたように,気象状況で頻繁に滑走路の閉鎖があるようだ.到着ロビーで荷物を受け取り,ガイドのラビンドラさん,同行のKさん,Oさんとレイクサイドのホテルに向かう.距離で約4kmくらいか,約10分程度である.
レイクサイドのホテルはカンティプルホテル.ちょっとロマンチックな石造りのロッジ風,しかし部屋はそれほどでも.....
カレーに似たようなもの.ただしインドと違って,ご飯を大皿(おぼん状のもの)に移し替え,いや,ぶちまけるか?その上に具(カレー)をかけて食べる.サンミゲルのビールはここでライセンス生産されているそうで,大瓶であることが珍しい.
下は,ポカラへの道中あれこれ.最初の写真はカトマンドゥの国内線ターミナルで会ったお化粧した生後8ヶ月の男の子.お猿さんは国内線ターミナルビルの屋根で遊んでいた.
右のピークが後述のサランコットの丘.その下の一条の雲の下にやはり後述のペワ湖があり,その手前に所謂レイクサイドエリアが広がる.
上空から眺めると結構小さい盆地であることが判る.これでは大きな航空機の発着はとても無理だ.なおこれはポカラ⇒カトマンドゥに向かう40~50人乗りくらいのネコン航空機から撮ったもの.
とんびは結構高いところを飛んでいる.上の航空機の高度よりは低いにしても,「高みの見物」を楽しんでいるのだろうか.それとも餌を探すのに必死なのだろうか......悠々と飛んでいるので必死には見えないが,実際はそうかも.
下は,ポカラレイクサイドのカンティプルホテル屋上から眺めた風景.上空は青空でもヒマラヤで気流がぶつかり,雲が発生するようだ.自然現象でやむを得ないが.....
レイクサイドから車で1時間くらい,さらに自分の足で小1時間ほど歩けばサランコット頂上に着く.写真のように1592mの高さにあるようだ.ご来光を期待して日の出前に頂上に着いたのだが.......やはり山の天気は厳しいね~
天気が良ければここからはより近くにヒマラヤを眺めることができるそうなのだが....登った日はあいにく雲が立ち込め,登りの途中一瞬マチャプチャレとアンナプルナⅡ(だったか?)が見えただけであった.それにしても雲の動きがとても速いことを認識した.下界は時々左のように晴れた部分が見え,なかなか美しいものだ.
この辺の住民と思われる男性がドッコを額に吊るして登っていく.まだ完全にモンスーンが明けておらず,山道にはズカと呼ばれる山ヒルがいる.人の吐く炭酸ガスや体温を感知して吸い付くそうで,我々も自分を含めて何人かやられてしまった.吸い付いたとき特殊な液体を人体側に注入するそうで,なかなか出血が止まらない.
急坂で,ドッコを背負い家畜の飼料用の草(多分)を刈っていた.一般に男性より女性の方が働くとガイドさんが話し,実際そのように見えた.
の丘は観光客が多く登るので,ロッジもたくさんあるようだ.看板にLAKE VIEW LODGEとあるから,晴れていればペワ湖が臨めるのであろう.
下の写真は,途中の村落や,サランコットでズカの観察やら,朝ご飯やら....
ペワ湖はポカラの中心に位置し,湖岸のレイクサイドエリアには高級ホテルからゲストハウスレベルまで観光客向けの宿泊施設やレストランが建ち並ぶ.ただし大きな建物はなく,皆コンパクトだ.海外からの観光客やアンナプルナ方面へのトレッキング客が多いようだ.もちろん,新婚旅行者はじめ国内からもかなり訪れるそうだ.
「あれがサランコットですよ」と話しているところ(だと思う,指の方向から見て).この日はいつになく人出が多いようで,「どうして?」と周りの人に訊いたら,”皇太子が来ているので”ということだった.確かに軍服を着た兵士も何人か周りに居た.王室の別荘はちょうどこのボート乗り場の脇,指先と反対側,この写真で左側にあるようだ.
湖岸にはボート屋さんが何人も客待ちしており,地元の方もボートを楽しんでおられる.対岸の段々畑が絵のようだ.ここでの農作業は大変であろうが.....
右側の「コールドドリンクス」は,ほんとに冷たいかどうかは置いておくとして,まあ普通の看板だ.では左側の「Pewa Chat Centre」のチャットとは何だろう?電話回線と繋がっている様子もないし,無線設備もなさそうだし.....
英国式綴りCentreが,お隣インドのかつての支配者英国の影響を思い起こさせ,またネパール自身も,かのグルカ兵を英国の傭兵として,かつてもまた今も送り込んでいることを偲ばせる.
下はペワ湖畔中心部辺りの写真.湖の魚を狙ってか白鷺が多く見られる.撮れなかったがカワセミ(Kingfisher)も一度見かけた.
対岸のフィッシュテールロッジへはこのドラム缶式いかだで渡る.両岸を結ぶロープをこの船頭さんが手繰り寄せるように進め,渡るのに5分とかからなかったと思う.
ポカラ一番の名門ホテル.玄関先の来訪者一覧には日本の皇太子殿下(右上)や英国のチャールズ皇太子(上左から2番目)などの宿泊時の写真が掲げられている.庭にはいろいろな花が咲き乱れ,眺めもすばらしい.
環境や景観保護の観点から,エンジン付き遊覧船や漁船,モーターボート,水上スクーター等は一切禁止されているという.なのに一艘だけすごいスピードのモーターボートが疾走している,どうした訳か?
フィッシュテールロッジの屋外テーブルでコーヒーを飲んでいるとちょうど目の前をそのモーターボートが通過した.現皇太子(右側のハンドルを握っているサングラスの人)だそうで,確か32歳,2人のの子持ちだということだ.昨年の国王暗殺の政変以来皇太子となったそうであるが,「モーターボートは禁止,ただし自分だけはOK」しかも,迷彩服を着ているが軍事訓練とかには一切関係なく傍目にも単に子供の遊びにしか見えない.ガイドさんが眉をひそめて言うのを聞くのを待たず,外国人の私から見ても尋常ではない.この政権は長くないであろう.
湖に丘,気候も穏やか,雲が晴れればヒマラヤが見える,いい処だ.
下はフィッシュテールロッジ庭のいろいろな花や果物など
ペワ湖はポカラの中心に位置し,湖岸のレイクサイドエリアには高級ホテルからゲストハウスレベルまで観光客向けの宿泊この辺も小さなホテルが多く,日本食のレストランの看板なども見かけた.ここも湖面に山が映りいい眺めだ.
「まあ,すごい名前のホテルであるが,ここは眺めがいい.ペワ湖の南側端,流れから見ると下流側,にはダムがあるようでダムサイドと称されているようだ.この写真の丘の上には日本山とも呼ばれる仏教寺院か建立されているそうだ.
屋上まで伸びたブーゲンビリアの脇に,畑と連なった丘が見える.つまりポカラは少し歩けばどの方向も丘や山に突き当たることになる.
下はダムサイド辺りから見たペワ湖と周囲