アクロポリスとは古代ギリシアの都市国家(ポリス)にあった小高い場所のことで,高い城の意になるそうだ.中でもこのアテネのアクロポリスはパルテノン神殿があることで有名.
ギリシア神話に登場する女神,アテナ神を祭る神殿だという.現在残る神殿はペルシャ戦争(紀元前492年~同449年のアケメネス朝ペルシア帝国との戦い)勝利後に建設され,長さ68.7m,幅30.6mの神殿で,相当大きくまた太い柱が並んでいる,と云うかそれが最も印象的なのであるが.
柱は太く巨大なものであるが,1本は無垢のものではなく,数本を重ね合わせて形成されている.つなぎ目には多分ダボが使われているのであろうが,ずれているのを見ることがある.きっと大きな剪断力が作用してダボが破壊されたのではなかろうか.柱の頂部は写真のようにシンプルな様式,これをドリス式と称するようだ,であるが,内部の一部はスパイラル装飾の付いたイオニア式も採用されているようだった.
ところで神殿の歴史であるが,アテネがローマ帝国に支配されるようになっても,幸い(?)基本的には変わらなかったそうだ.やがてローマ帝国がキリスト教を公認,国教となると,パルテノン神殿は聖母マリアに捧げられた大聖堂に改装され,東方正教会として用いられたそうである.少なくとも1000年くらい前までは,まだ古代の姿をそのまま残していたと伝えられる.しかしながら,15世紀,オスマン帝国が東ローマ帝国を滅ぼすと,キリスト教会は弾薬庫に転用され,やがて砲撃を受けて大破してしまったようだ.またその後,1800年代になると大英博物館に彫刻の大部分が運ばれてしまったそうで,現在では返還運動が行われているのだという.それは大いにあり得る話だ.
アクロポリス丘の南斜面にある161年に建築されたローマ式の野外音楽堂.つまりローマ人が作ったものだ.ギリシア文化を愛したローマ人の大富豪が亡き妻を偲んで建造し,アテネに寄贈したものだそうだ.壊れ放題になっていたものを,1951年になって復元したそうだ.確かに,建造物の一部は2000年の歴史に比べれば真新しい.現在,特に夏の間は様々な演劇,コンサート,オペラ,ギリシア古典劇等多くの催し物に利用されているそうである.
何しろアクロポリスは市内の高い丘に位置しているので眺めがよい.左はゼウス神殿,中央は リカベトスの丘,右はディオニソスの劇場(the theater of Dionysus:紀元前5世紀)などいろいろ見える.
下は,アクロポリスあちこちの写真
宿泊したホテルからも近かったのであるが,アクロポリスの丘の麓には商業地が入り混じった住宅街が広がっている.丘の麓なので斜面が多く,駐車するのには注意が必要だ.街路樹にはオレンジの樹が実を付け,クリスマスが間近なので,しばしばお店にはクリスマスツリーが飾られていた.