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さてアテネから先ずコリント遺跡に出かけ，観光することになった．
ギリシャ文字は専ら円周率π，総和Σ，密度ρ．．．．などの数学や物理で使う記号，せいぜい遺跡で発見された石版に記された文字，といった根拠のない固定観念を持っていた．しかし現代の生活でもギリシャ語を記す文字としてこうしてギリシャ文字が使われる現場に出くわし，ちょっと驚いてしまった．本来別に驚くことでも何でもないのであろうし，我々が漢字で書くのは，ギリシャ人には多分もっと珍しく見えるであろう．
下は，コリントに向かうとき眺めた風景あれこれ
エーゲ海とコリント湾を結ぶコリント運河は長さ6,343m，幅21m，高さ80mもあるそうだ．先ずその深さ（高さ）に驚いて，思わず，わ～っと声を上げてしまった．この地に運河を通そうというアイデアはBC7世紀からあったそうだ．ここを横切れば400km航路が短縮され，相当得になるそうである．しかし技術的に可能性が見込めるようになったのはようやく今から200年余り前になってからで，1881年フランスの会社が着工，完成は1893年だそうである．ただ惜しむらくは，今となっては幅21m，水深8mは小型船しか通過できず，ちょっと残念な結果になっているようだ．
休憩した運河近くのレストランではクリスマスツリーが飾られ，小さなサンタさんが通りを眺めている．あ～もう直ぐ来ますねという雰囲気だ．その通りを行く婦人が何やら植物で編んだもの，装飾品か？をたくさん持って過ぎて行く．クリスマスのデコレーションに関係あるかな～？．．．．．
下は，コリント運河の写真あれこれ
コリント遺跡の一画に博物館が併設されている．館内には，コリントとその周辺から発掘された彫刻や碑文，陶器などが集められている．筆者は陶器はこの写真のようになかなか素晴らしいと思った．白地に黒と少しの赤で力強く動物が描かれ，尾や脚間に鞠状パターンを配した構図が柔らかさを表現しているように思える．
なお館の庭には多くの首の無い彫像が並んでいた．これは例えばアジアでも，ボロブドゥールとかアンコールトムの仏像と同じように，首だけが盗まれた，若しくは後の権力者がそれ以前の権力者を否定するために破壊した．．．．などと同じかと思っていた．確かにそういったこともあるようであるが，ここでは全身像を一から作ると大変なので，権力者が変わったときに頭だけ作って挿げ替えた，と云う説もあるそうなのだ．な～るほど！またコリント遺跡の背後に聳えるのはアクロコリントス山という山だそうだ．
下は，コリント博物館の写真あれこれ．ローマ時代に発見された床モザイクなどあり．
写真左はBC6世紀建立のアポロン神殿（Temple of Apollo）で7本の柱が残っている．柱は１本の石灰岩製のようだ．コリントはBC8世紀からローマ人によって徹底的に破壊されるBC146年までこの地方の重要な地であったようだ．東西の十字路，交通の要衝として栄えたようだ．ただローマ人は破壊の後，BC44年には今度はローマ帝国の街として再建したようである．そのため，ローマ時代の建築物も数多く残っているのであるそうなのだが．．．．識別方法については忘れてしまった．大まかに言えば，前記7本の柱以外の殆ど，例えば右側の彫像などはローマ帝国の建造物で，公共広場や商店が並んでいた列柱通り跡などであったと思う．
ギリシャと言えばギリシャ神話で知られるように，ゼウスやバッカスなどの神々を信仰する多神教．それがローマ帝国シーザーの後，キリスト教が伝来し，１世紀後半の頃，パウロがこれを広め，ここコリントの地においても説教したという．しかし各地の王族クラスは多神教の国にあって，とかく自らをも神格化させることに熱心であったために，一神教であるキリスト教を受け入れれば，自ら神になることは否定されるので弾圧に乗り出したようである．普通に想像すれば，それはそうであろう．弾圧は300年に渡ったようだ．やがてギリシャ正教という言葉で知られるように，正教の総本山として東ヨーロッパやロシアの正教の中心的役割を果たすに至った訳である．
下は，コリント遺跡の写真あれこれ
