ドレスデンは旧東独に位置する街で,エルベ川の水運を利用した商業都市として,また16世紀以降はザクセン王国の首都として,芸術と文化の街ドレスデンとして栄え,今に宮殿や歴史あるオペラハウスを伝える.ガイドのマヌエラさんによれば去年(2002年)秋,欧州一帯襲った豪雨はすさまじくこの橋のアーチを殆ど塞ぐくらいまで水位が上がったとその時の新聞を広げてくれた.
この歩いている場所はブリュールのテラス(Bruehlsche Terrasse)と呼ばれるエルベ河岸に延びる遊歩道で,文豪ゲーテは「エルベ川のフィレンツェ」と絶賛したとか.でも現在は古い建物は石が真っ黒に異様にすすけており,建物に関してはまあきれいとは言い難い.逆に歴史を感じさせることは確かであるが....それにしてもどうしてこのように黒くなるのだろう,石の材質のためか?プラハカレル橋の30体の聖人像も同じように真っ黒たった.ちゃんと理由を訊いておくべきだった.
現在再建工事中のこの建物はドレスデンの象徴であったバロック式の聖母教会.当時ドレスデンには軍事工場もないので空襲がないことを期待して多くの国民がドレスデンに集まっていたそうだ.しかしながら1945年2月の空襲で街は一夜にして廃虚と化したそうである.この聖母教会もまた崩れ落ち,旧東独政府は戦争警告の碑として瓦礫の山を残しておいたが,ドイツ統一後に浄財を集めて再建が始まったという.今も世界中から寄付を募っており,2006年に完成の予定だそうだ.ドイツ人が古いものの保存に力を入れていることを示すために,瓦礫の中の黒くすすけた石を所どころに散りばめているのがよく判る.
オープンレストランでは昼間から皆ビールを飲んでいる.もちろんつまみはソーセージだ.つまりわれわれの固定観念上のドイツ人イメージにぴったり合うためか,歩きながら眺めていてホッとする.ハンバーガーにコークならアメリカ人,何にでもキムチなら韓国人.....まあそんなところだ.
下は,ドレスデンの街の写真あれこれ
17世紀にアウグスト強王が建てたザクセン王国の栄華を象徴する宮殿.どこまでが宮殿でどこからが別の施設なのか実はよく理解できなかったのであるが.......
壮麗なバロック様式の宮廷教会.ツヴィンガー宮殿に続いている専用の教会.今は一般市民も,どこの馬の骨かわからない旅行者もこうして入れてくれる.ちょうどミサが始まりパイプオルガンの演奏が始まるというので後ろで聴かせてもらった.
ツヴィンガー宮殿とは何の関係もないがこの辺に駐車していた「トラバント」.トラバントは旧東ドイツの有名な国民車.旧東ドイツは,東欧諸国の最優秀国であったが技術が進歩しなかったのか原料が不足していたのか,車体はプラスチックと段ボールでできていたとかいわれるすごい車で,排気ガスは文字通り目を覆うくらい凄まじく,頻繁に故障し,体の大きなドイツ人家族が4人も乗ればさぞかしきつかろうと思われるくらい狭く......といった芳しくない評判があった.旧東ドイツの国民はそれでもこの「トラバント」を手に入れたくて申し込んでから10年も待ったのだという.統一後はやはり急激に見向きされなくなって,今は殆ど見かけなくなったそうである.
19世紀前半に建築家ゼンパーにより建築されたヨーロッパ屈指のオペラハウスで,内部も豪華だそうである.監督として活躍したウェーバー,タンホイザーを初演したワーグナーはとくにこのオペラ座と関係が深いようだ.バロック様式の宮廷教会と劇場広場を挟んで向かい場所に位置する.
ここは美術館になっている辺り.ツヴィンガー宮殿とは別の名称の宮殿跡なのかも知れない.男の子が母親の居場所を気にしながらアコーデオンに聴き入っていた.
下は,ツヴィンガー宮殿の写真あれこれ
ザクセン王の居城として13世紀に建てられたもので,現在の形になったのは20世紀初頭だという.やはり第2次世界大戦で大打撃を受け,1989年から修復工事が始まったそうだが,少なくとも中庭は工事中の形跡は見えなかったので終わったのかも知れない.中庭はかつて騎士の馬上武芸競技場だったそうで,写真左側中ほどに見えるスロープが馬の入退場路だったと説明を受けているところ.
レジデンツ宮殿裏手通りにあるシュタールホーフ外壁にザクセン王国の歴代の王をタイル上に焼き付けた大名行列の壁画.約25000枚のマイセン陶磁器のタイルを使用し,長さ約100m.去年の大洪水ではこの壁画もすっぽり水の中に埋まってしまったようだ.
下は,レジデンツ城の写真あれこれ
アルトマルクト(Altmarkt)と呼ばれるマーケット.英語のOld marketに相当すると思うので,「市場」の喧騒を期待していくと,きれいな常設のブースにこのようなファストフード店,お菓子屋さん,普通の食材屋さん.....等々がならんでいるだけでちょっと期待はずれ.
つまり「市場」といっても,ちょっとした市民の遊園地的いこいの場的な感じに近く,このような子供電車を走らせているように思った.
そこはやはりドイツ,ビールがなくては始まらない.おいしかった!!
下は,ドレスデンの市場の写真あれこれ
のどかな場所にある新しいホテルだった.
というのかどうか,まあ三軒長屋.庭木が別々なのは当然であろうが,三軒それぞれが勝手に壁の色を変えたり,屋根の明り取り窓を設置したり,瓦を変えたり,いや建設時にオーダーしてそのように作るのかも知れないが.....ここだけでなく三軒長屋はみなこのようになっているので面白いと思った.
やはり菜種油を採るのであろうか,一面の黄は今が盛りだ.
下は,ドレスデン郊外の写真あれこれ