旅行社から送られてくるチラシの中に大相撲見物ツアーの案内があった.大相撲見物はこれでたった二度目だが今回は黙ってくっついていけば見物できる手軽なバスツアーに連れ合い共々参加したのだった.なお前回は秋場所で個人(家族)で見物し冷房がエラくきつく寒くて参ってしまった記憶が残っている.
ただ旅行社は相撲観戦だけではたいして売上が立たないので,東京駅発着のwifi装備など少し上等なバスでの東京見物付きの言わば抱き合わせツアーである.
さて東京駅丸の内から定員17人というバスに私達客11人が乗り込み東京見物がスタートした.そして先ずは江戸城お堀や六本木辺り,国会議事堂など車窓から見物した.現在大阪のあべのハルカスが300mで日本一高いそうだが,間もなく麻布台ヒルズ(仮称)というハルカス超えのビルが完成予定だそうだ.さらに先の話になるがこのエリアには2027年度の竣工を目指す高さ390mの巨大ビル計画があるそうだ.複合用途で最上階部はホテルで一泊100万円,その下はアパートで月500万円の賃料になるというバスガイドさんの説明にお上りさんの私は「さすが都だ!」と驚く.ただこのクラスのホテルは世界的には大きな需要があるそうで,東京ではまだまだ足りないと新聞等では見かける.なおこうした居住空間以外の多くはオフィスや商業スペースになるという.
そして次は湾岸エリアを巡った.タワマンと称される高層住宅はじめ総じて中高層ビルが延々と立ち並ぶところだ.都心に近く,きれいな街並みで,ステイタスを物語るにいいところであろう.ただ個人的にはさほど惹かれないかな~(←きっと望んでも得られないと解っているからだろう)
両国国技館に行く前に東京見物
湾岸エリアから勝鬨橋を渡って戻り,銀座4丁目の交差点を新橋方向に折れ,昔松坂屋のあった辺り(の向かい)にやってきた.遥か昔この少し東側に勤めていた経験があり懐かしさをおぼえた.そしてろくさん亭というレストランに入った.このレストランの料理長(しかもオーナーか?)は道場六三郎さん(92歳)という人で,テレビなどで知られる方だそうだ.レストラン名ろくさん亭は六三郎そのものであろう.食したのは写真の前菜から始まる8品のコース和食料理で,7番目は数品から選択となっている.私は温かいうどんにした.8品の料理はもちろん美味しかったが,仏料理のように1品毎に食べ終えてはじめて次が出されるのに些か驚いた.和食の会席料理ではこのような一汁七菜などでは順次出しは多かろうが,順次の境界にはオーバーラップがあり,一品完食の押し付けがなく,逆に「三角食べ」が一般的なように思っていたのだ.
次は浅草の浅草寺で,最初脇道から二天門を潜り上写真の本堂に至る.そしてその参拝者の多さに圧倒される.それはそれは長い列で,このでのお参りは直ぐに投げる.次いで仲見世を歩いてみる.仲見世通りは幅員が狭いので人流もままならない様相だ.これまでの経験やテレビ報道などを圧倒しほんとにびっくりした.
さていよいよ国技館だ.国技館正門前でバスを降り切符を見せて中に入る.時間があったので入り口近くの相撲博物館を覗いてみる.過去横綱の美しい化粧まわしなどなかなか見応えあるが,私が驚いたのは普通のまわし(褌)が6kgと重いことだった.これほどの重さだと着けている力士の負担にはなろうが,体重がそれだけ増えたのと等価で,ぶつかり合いでは効果が大きいであろう.
両国国技館に到着しこれより中入り後,幕内土俵入り
頃合いもよく連れ合いと切符に記された二人マス席に座る.測ったように中入り後,これから東西毎の幕内力士土俵入りのタイミングだった.皆立派な化粧まわしを着けているが写真はお尻側だけだ,下手だな~力士は土俵上で両手を上げたり,体を反らしたりの所作をとるがバラバラのところが面白い.普通この後は横綱土俵入りが行われる筈であるが,今場所は一人横綱照ノ富士関が途中休場でできない.それどころか大関も貴景勝一人だけという非常に寂しい場所だ.
11勝3敗の相星で優勝をかけ仕切りに入る貴景勝と琴勝峰
さて取り組みは進み,11勝3敗の相星同士貴景勝(大関)と琴勝峰(前頭13枚目)の結びの一番が始まった.鮮やかな濃紺の装束は木村伊之助である.また土俵際では懸賞の垂れ幕巡りも併せて始まった.スポンサーの紹介や,幕を持つ人(呼び出し?)の数から10幕程度ずつ分割して行われる.近くの席で数えていた客がいて40数本と言っていたような....とにかくそれまでの取り組みと比べて圧倒的に多い.勝った力士には3万円/1本の手取りになるという.
そして両者激しくぶつかりあった.次いで大関は間髪入れず相手の体を起こし,直ちに左すくい投げを浴びせ勝利した(ここで肝心の写真は失敗,下手だな~)これで貴景勝は三度目の優勝を果たした.来場所も綱取りをかけて頑張ってもらいたい.ところで琴勝峰関は埼玉の高校で貴景勝関の3年後輩の23歳と若く今後に期待されよう.
貴景勝の表彰式
結びの一番が決着すると弓取り式が行われ,そして表彰式になった.最初国歌斉唱で,賜盃拝戴,優勝旗授与,内閣総理大臣賞授与と続く.賜盃はいかにも重そうに見える.次いで優勝者インタビューで貴景勝関は淀みなく回答を続ける.これらの後は各国及び自治体のカップ授与となる.幕内力士が大勢いるモンゴルが一番目でなくUAE(アラブ首長国連邦)に続く二番目だったのがちょっと不思議だ.
まあこの辺りで先が長そうなので会場を後にバスに乗り東京駅に戻った.やはり千秋楽結びの一番まで決着つかない状態で見物できたのは良かったし,楽しかった,おしまい.
(2023/1/26記)