このタバンボグドBC編では国立公園中央ゲート脇のキャンプ地を出発し,幾つかの丘を越え,タバンボグドBCに至るまでの写真と記事を掲載した.
タバンボグド国立公園中央ゲート脇のキャンプサイトはいい天気で朝が明けた.アルタイの峰々に朝日が当たり僅かであるが焼けた.今日は幾つかの丘を越えてフィティン山ベースキャンプ,いや多分タバンボグド山系全部のベースキャンプの地であるボターニン氷河脇へと向かう.
タバンボグド国立公園中央ゲート近くのキャンプサイトには,ラクダ引きに伴われた荷役のラクダ4頭とスタッフ乗馬用の馬数頭と共に到着した.この辺りのラクダは二こぶラクダで,頼りになりそうだ.ところで周囲にはラクダより馬やヤクの数ず~っとが多いように見えるが,やはりテントやキッチン用具を運ぶにはパワーが足りないということか?
キャンプサイトを発って丘陵を歩き始めた.近くの山肌には雪が残り,羊の大群が草を食む様子が見られる.でも人を見かけることは殆どない.典型的なモンゴル風景の1つではなかろうか.
下は,中央ゲート辺りと,ここを出発して少し歩いた辺りの光景
中央ゲート脇のキャンプサイトを発って1時間くらい経ったであろうか,雲が黒くなり雨に変わった.トレイル,と言っても明確な足跡がある訳でなくほぼ平原であるが,には所々雪が残っている.厳しい環境ながら色々な野草が健気にも咲き,それぞれ頑張ってますね~と感じさせられる.
暫く歩いているとシェフのBさん(右側先頭)など,キッチンスタッフとドライバの皆さんが馬に跨り,我々を追い越して行った.仕事柄あまり馬に乗ることはないであろうが皆上手に乗りこなしている.ガイドTさんの解説では「チンギスハンはじめ長い遊牧民のDNAを受継いでいるから」ということだ.実際ウランバートル育ちの子供が夏休みで田舎に行き,初めて馬に乗ったとき,2~3時間の練習で乗りこなすようになるそうだ.それはうらやましい.
左側は,馬を含めたラクダ隊リーダーであるからもちろん馬は日常の足だ.ラクダ引きの皆さんは近所に住むトゥバ族で,ガイドTさんにとって以前からの知り合いだということだ.Tさんはタバコを吸わないが,ラクダ引きの皆さんに対して,挨拶やお礼で時々タバコを差し出すシーンを見せてもらった.別の機会に公園レインジャーにタバコを差し出す場面などもあった.タバコを差し出すのはモンゴルで一般的なマナーであり,また習慣でもあるそうだ.
馬に続いてラクダがやって来た.馬やヤクも力持ちだが,こうしてラクダが背負った荷を眺めると一層力持ちだと思う.
幸い雨が上がったようだ.小川の流れるところで休憩,ランチとした.水に映る山,小さな花,流れる雲....を眺めながら,朝準備して貰ったサンドイッチとツアリーダーAさん特製おむすびが美味しかった.
この辺りには野生のネギが生えていた.ときに馬が好んで食べるそうだが,気温の比較的高い今(6月)は避けるそうだ.食べると体温が上がり,不快になることを知っており,もっと寒くなるまで待つのだそうだ.ふ~む.
ガイドTさんがこの辺に多く棲息するタルバガンの燻製を入手したそうだ.大好物だそうで,それこそ夢中でナイフを入れ食べている.私たちもおこぼれにあずからせてもらったが,確かに美味しい!絶品だ!これはスモークしたものであるが,他に,首を切り落とした胴体に焼けた石を入れて焼くワイルドな調理などもあるそうだ.
ただタルバガンは稀にペスト菌を保有している場合があり,ウランバートルに持ち込むのは禁止されているし,地方でもしペストが発生した場合は直ちにそのエリアへの通行は遮断されるそうである.なんでも1年に1回くらいは発生するとか....でもやはり,シェフのBさんにとっても大好物だそうだし,初めて口にする我々皆もが“美味し~い”を連発するからには,味はやはり本物だ.
下は,丘を歩いたときのいろいろな光景
下は,丘で咲いていた花.黄色いケシ,黄や赤のシオガマの仲間,アツモリソウ,スミレなどいろいろ.
昼食後暫く行くと先方にボターニン氷河(写真右側の氷河)とタバンボグド山群が見えてきた.ボターニン氷河の左はアレキサンドル氷河で,2つが合流し,歩いている脇辺りでエンドモレーンを形成している.
ボターニン氷河の右がマルティン峰,左がイーグル峰,アレキサンドル氷河の左がナルン峰である.残念ながらイーグル峰背後のフィティン峰,マルティン峰とイーグル峰間のフレンドシップ峰は雲に覆われがちで,はっきりとは見えてこない.
エンドモレーンから少し遡った先,サイドモレーンが堆積した横の草地,ここはまたタバンボグドBCサイトでもあるのだが,にテントを張ってもらった(写真右下辺り).
近くには,いや正しくは我々が近寄ったのであるが,氷河観測用ゲルが建てられていた.聞くところによると,ボターニン氷河は1年で5m程後退しているそうだ.かなり大きい.常駐ではなさそうだが日本人研究者も居るらしい.
勿忘草に弁慶草,白いのは....?,皆小さな花であるが必死で咲いている.花に詳しい同行の方々に教えて貰うのだがなかなか覚えられないのが残念だ.
下は,タバンボグドBC到着までの眺めあれこれ
され明日はここタバンボグドBCのテント場に留まり,連泊だ.ゆっくりボターニン氷河を歩く予定だ.