クスコからリマに戻り,パチャカマックに向かった.
クスコから一旦空路リマに戻るために,クスコ空港前の商店街を覗いてみた.商店街とは言っても,半ば露店のような感じのお店が数軒並んでいるのであるが,例えばこのお店のようにチーズなどの乳製品や雑貨を扱っている.やはりおさげに帽子の独特のファッションに目が行く.高地で紫外線が強いので帽子は必需品だと思う.スカート,タイツ....なども必然性があるのだと思うが,理由は判らない.それと,日本同様,いやそれ以上に風呂敷が多用されるのは甚だ興味深い.
下は,クスコ空港,アンデス,リマの海岸の写真あれこれ
リマ市から右手に太平洋を見ながらパンアメリカンハイウエイを南下すると,パチャカマック遺跡があった.パチャカマックに人が定住したのは西暦200年前後で,相当古いようだ.その後1300年間,色々な文化をもつ人々が住み,アンデス山脈一帯で最も長く栄えた都市の一つだそうだ.(単純に日干しレンガの廃墟を見る限り想像するのはなかなか難しいが......)特に古代宗教の巡礼地として栄えたようである.やがて,1470年頃,インカ帝国がパチャカマックを支配するようになったのであるが,100年足らずで滅亡したようだ.つまり1532年,スペインの征服者フランシスコピサロがペルーに到着し,インカ帝国国王アタワルパを捕虜にし,パチャカマックの財宝の話を聞き出したピサロは,すぐに部隊を現地へ派遣し,パチャカマックとその周辺を略奪させたことに因るようだ.スペインの征服者は大量の,いや実質的に全部の金銀を持ち出し,またパチャカマックにあった名高い偶像を破壊したそうである.以来,パチャカマックは往年の繁栄を取り戻すことなく滅んでしまったそうな.
1938年に,パチャカマック遺跡の彩色された神殿(Templo Pintado)で,高さ2.34m,直径12cmの「パチャカマック神像」が発見されたそうである.これが有名な 神託を下すパチャカマック神像(Oraculo de Pachacamac)と呼ばれるものだそうで,スペイン侵略者の手で殆どの神像は破壊されたようだが,辛うじて免れたもののようだ.とにかくこれが当時の人々が恐れ崇めパチャカマック神の偶像であるようだ.
ところでパチャカマックについてであるが,先ず関連パチャママ (Pachamama)を知る必要がありそうだ.パチャママはアンデスの古い神話に現れる女神で,スペインに征服される前,先住民たちによって信仰されていたそうだ.豊穣を司る大地の神で,全てのものの母親とされるそうだ.スペインの侵略と同時に,キリスト教が浸透し,インカ時代の神はほとんど信仰されなくなったが,パチャママだけは聖母マリアと重ね合わされて現在でもここペルーやボリビアで信仰している人が少なくないそうだ.徐々に消えつつあるようではあるが.母性を持つ大地の神パチャママに対して,父性を持つ天の神はパチャカマックなのだそうだ.パチャカマックはしばしば太陽神インティ (Inti) と同一視されることもあるそうだ.太陽神と言えば,リマで見た太陽神殿でも,前日訪れたマチュピチュでも,最も重要な神だったのだ.ただ現在はパチャママほど信仰されているとはいえないそうである.まあ殆どはカトリックに改宗したであろうから.....
下は,パチャカマック遺跡の写真あれこれ