クチCu Chi

このクチ編では,ベトナム戦争で南ベトナム解放戦線(ベトコン)が徹底抗戦したクチを訪れたときの街道沿いの風景,クチ地下壕の写真とキャプションを載せました.

クチへgo to Cu Chi

サイゴン観光の翌日,サイゴン西に位置するクチに向かった.バスでおよそ一時間半の行程であるが色々な光景が目を楽しませてくれた.

クチへ向かう街道沿いのフランスパンは埃まみれ

街道沿いのフランスパンは埃まみれ

ベトナムのパンは仏植民地時代の名残りであろうがフランスパンが多いようだ.レストランで出されるパンは普通に美味しい.クチに向かう街道沿いでは,軒下や自転車の荷台に山と積まれたフランスパンがあちこちで販売されている.その殆どはフランス流(?)に包装はなくむき出しである.でも売り子の女性を見て下さい,埃と排気ガスでいっぱい,顔全て覆うマスクで防備してます.ガイドTさんは『私は買いませんけどね』と言っていた.

ところで隣の牛乳屋さんの牛のマスコット,かなりリアルで迫力あります.


クチへの街道沿いフォーのレストラン

フォーのレストラン

ベトナムで代表的食べ物の一つがフォー(pho).さっぱりしたスープに入った細い米の麺で,薄切りのビーフや香料の青い葉っぱが上に載っている.いくつかのホテルやレストランで食べたが概して大変美味しい.

日本の例えばラーメン,讃岐うどん,蕎麦,スパゲティ....など細長い食物全部合わせた摂取割合より,ベトナムのフォーの食に占める割合は高いのでなかろうか(看板とかからの類推).なので街道沿いでも写真のようなお店は実に頻繁に現れ,それなりに客が入っている.


クチへの街道沿いの石屋さん

クチへの街道沿いの石屋さん

石屋さんが集まっているエリアがあった.写真のように仏像や菩薩像が並べられている.その顔立ちは日本の仏像などと同じ感じであり,ビルマなどで見かける仏像とは随分異なる.多分中国伝来大乗仏教の伝統に則っているのであろう.

またお店によっては布袋様や信楽焼の狸のような石像なども見られる.たぬきのデザインは多分パクリ(いやライセンス契約されているかも)であろうが,ベトナムでも受け入れられるということが興味深い.こうした前例は招き猫が台湾や中国に広がったケースもあるし,なかなか面白い.


クチへの街道沿いのゴムの木林

ゴムの木林

街道を先に進むと田園地帯に入る.最も広い面積を占めるのは米の栽培のようだ.この辺りで米は2期作と聞き,意外に思った.なおもう少し南,メコン河の辺りは3期作が可能だそうだ.

森林地帯もあって,写真のようなゴムの木の林もかなり多い.ゴムの木は園芸店でしばしばその名で売られている厚手の大きな葉を持つ「あれ」かと思っていたが,実際はもっとサラサラした感じの小さな葉っぱで細長い木だった.木は碁盤目状に規則正しく植えられ,樹皮にはスパイラルの切り込みが入れられている.またそこに缶カラが下げられており,ゴムの樹液が貯まるようだ.

マレーシアではゴムよりアブラヤシが利益率が高いため,殆どのゴム林がアブラヤシに転換されたと聞いたものだが,ここら辺ではヤシの木はもちろん見かけるが大規模なアブラヤシ林は見えなかった.やはり土地によってそれぞれの収穫量や見合う収益に差があるのであろう.


クチへの街道沿いのハンモックレストラン

ハンモックレストラン

サイゴンには田舎から出稼ぎで働きに出ている人が無数いるそうだ.時々実家を往復するがその際やはりバイクが多用されるそうだ.そして途中食事と疲労回復のため,写真のような木陰に多数のハンモックを備えたレストランで一休み,と云うツーリングが人気だそうだ.こうしたレストランはかなり目立ち,しかもその多くは50以上のハンモックを備え,規模も大きいようである.


クチへの街道沿いのタピオカ(tapioca)畑

タピオカ(tapioca)畑

クチに近づくと水田は減り,畑と林が多くなる.畑にはよく見かける野菜に加えてタピオカ(tapioca)の栽培なども見える.多分土地としては痩せており,芋の仲間で野生でも育つタピオカが選ばれたのではなかろうか?いやそれとも,解放戦線(ベトコン)の主食(やむを得ずと思う)だったそうで,しかも珍しい野菜なので観光客向けに栽培しているのか?実際このあと到着したクチトンネルの茶屋では解放戦線兵士を偲びスナックとして出して貰い,皆で味わうことができたのだった.

別の場所であるが道端の茶屋で植えられていたタピオカを間近で見ると八手のような特徴的な葉がよく見える.ハンモックで休憩の人もいますね.


下は,クチへ行くときの写真いろいろ

クチへ行くときの眺め
クチへ行くときの眺め クチへ行くときの眺め クチへ行くときの眺め クチへ行くときの眺め クチへ行くときの眺め クチへ行くときの眺め クチへ行くときの眺め

クチ地下壕Cu Chi Tunnels

クチ地下壕に関するレクチャー

クチ地下壕に関するレクチャー

クチ地下壕に到着すると,入園後先ず地下壕構造と南ベトナム解放戦線(ベトコン)/米軍との戦いに関するレクチャーを受けた.

クチトンネルは総延長250kmにも及ぶそうであるが,そこに住居や武器製造の鍛冶屋場,軍服の仕立て場はもちろん,野戦病院や学校も造り,生活を送ったそうだ.

右手女性背後の絵を見れば一目瞭然,まるで地下の蟻の巣に住む解放戦線兵士(と住民)に上空から最新鋭ヘリや戦闘機で雨のように掃射,B52重爆撃機で膨大な量の爆弾を投下.これではあっと言う間に全ての生命が絶えてしまうと予想される.実際解放戦線側には民間人,子供も含めて膨大な数(300万人とも.一方米側は約5万人と聞く)の犠牲者が記録された.

ただ解放戦線側はあくまで降服することなく抗戦,ついに米軍は枯葉剤投下で全て丸裸にし炙り出す作戦を実行.枯葉剤は投下後30分で効果を現し,植物が枯れていくという.30分と聞いて改めてショックを受けた.またその害が植物に留まらず,人にも強く及ぶのは日本で分離手術を受けたドクちゃん/ベトちゃんのようによく知られている.だが最終的には米軍は撤退,解放戦線側は一応勝利(か?),南ベトナム国は消滅に至った訳だ.


クチの落とし穴(トラップ)

クチの落とし穴

米軍の近代兵器に対して解放戦線側はこのような落とし穴(トラップ)という極めてプリミティブなツールしかなかった.落とし穴は回転式の板の蓋で覆われ,蓋はさらに枯れ草などを載せてカモフラージュされていた.別の場所でカモフラージュされた落とし穴を眺めたが,事前に知っていない限り先ず見分けは付かないと思われた.

そして穴の底には色々な形式の釘(槍)か仕組まれ,歩行中落ちた米兵は負傷し,捕虜になったそうだ.近代装備の米兵もクチを歩くときは恐怖でいっぱいだったそうだが,正しく実感できる.

なおこうしたトラップの釘(槍)は米軍が投下した爆弾の不発弾を慎重に解体し,外殻金属を鍛冶屋場で切断し,作ったそうだ(模型展示あり).また解体した爆薬からは手榴弾を製作し,再利用したようだ.


クチ地下壕入り口

地下壕入り口

地下壕(トンネル)入り口は崩れないように木枠を嵌め,枯葉などでカモフラージュしてある.ベトナム人は小柄でスリムだが,大柄な米兵では通過できないようにとても狭く作ってある.

ただ戦争であるから米軍も色々な手をあみだし,例えば犬を使って入り口を見つけるとか,そこから先ずは爆弾を投げ入れトンネルを潰す(投下跡の大きなクレーターが多く残っている),水を注入し水攻めにするとか,毒ガスを注入するとか.....とにかく双方共に悲惨だった訳だ.


クチトンネル内部

クチトンネル内部

観光用に,通り易くするため若干広めにしたようである.実際大柄な白人観光客も通っていた.さすが米国人はここには来難いだろうと,ガイドTさんに訊いてみたが,いやちゃんと来ますよ,しかもベトナム戦争の退役軍人も,ということだった.ふ~む,そうか....

トンネルは呼吸も炊事もあるので空気穴が要所要所に設けられ,また煙の排気は見つからないように調理場から遠く離れた場所に配置したそうだ.また対水攻めの排水口も重要で,水位の低い川の辺りまで掘り進めたようだ.たが実際中に入ってみると,湿気が多く暑く,決して快適ではない.大変だった様子が偲ばれる.


クチの解放戦線(ベトコン)兵士の標準装備品

解放戦線(ベトコン)兵士の標準装備品

水筒,食料,ライト,銃などが展示されている.かなりシンプルな装備で普通で戦ったらちょっと勝ち目はなく,専らゲリラ戦で何とかする以外手は無かったであろうことが窺える.

またここ売店ではホーチミンサンダルと称せられることもある古タイヤから作った当時ベトコンが履いたと同じタイプのサンダルもお土産として安く販売されていた.かなり重くて驚いたが,耐久性は高そうに見えた.サンダル以外にも解放軍兵士と同じデザインの軍服なども販売されていた.


下は,クチのいろいろな写真

クチ地下壕での写真
クチ地下壕での写真 クチ地下壕での写真 クチ地下壕での写真 クチ地下壕での写真 クチ地下壕での写真 クチ地下壕での写真
クチ地下壕での写真 クチ地下壕での写真 クチ地下壕での写真 クチ地下壕での写真 クチ地下壕での写真 クチ地下壕での写真

たわわに実ったジャックフルーツとカシューナッツ

クチでたわわに実ったジャックフルーツクチのカシューナッツの実(?)
↑ジャックフルーツ↑カシューナッツの実(?)

枯葉剤で全てが枯れたがようやくまた新しい樹木が育つようになったようだ.ただ完全に問題が無くなった訳ではないようではある.

そんな中で園内のジャックフルーツはもの凄い数の実を結んでいた.見事なものだ.また赤い果実の頭に突起を付けた植物があった.突起部分がカシューナッツだということだ.でも以前コロンボでカシューナッツと教えてもらった実はここクチのように巨大な赤い果実部分はなく,直接勾玉状の実が下がっていたな.....聞き違えたかな~?


ライスペーパー(生春巻きの皮)作り

ライスペーパー(生春巻きの皮)作りライスペーパーの天日干し
↑ライスペーパー(生春巻きの皮)作り↑ライスペーパーの天日干し

園内のレストランで使うのであろうベトナム名物ライスペーパー(生春巻きの皮)作りの実演を見せてくれるコーナーがあった.

米粉を水に溶き,片栗粉など少し加えて混ぜた溶液を掬って,弱火の鉄板に垂らし,クレープより薄く広がった状態で焼く.レア程度に焼けたものは竹編のざるに載せて天日で干して出来上がり,のようである.両手で鮮やかな手さばき,その軽快さは大したもんだと思った.

さてこうしてクチトンネルを見た後,バスで一旦サイゴンまで戻りサイゴン空港国内線から次の観光地ミーソンへとダナン経由で向かった.



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