この武陵源天子山編では,2017年10/15(水)朝,張家界市天子大酒店から武陵源入り口に来て入場し,天子山ロープウェイで上り,賀龍公園など訪れ,御筆峰(ぎょひつほう)や仙女散花の林立する岩峰を見物し,バスで園内移動したときの写真を載せました.
武陵源天子山はマーカー5の辺りに位置している.
別窓で大きなGoogleマップを開く天子大酒店から然程遠くないところに武陵源入り口があった.大きな九重の塔があるが,はて何の建物か.この塔の右側には大きなクレーンが設置され,多分ホテルと思われる建物が工事中だ.
ガイドZuさんが切符を仕入れに行くが,既に先客が多く手間取っているようだ.中国の観光地はどこも混んでいるところが多い.何しろ人口が多いから.
やはりと言うか,予想通り入場ゲートは押し合いへし合いの混雑だ.グループの皆さんからはぐれないように必死で通過した.
その点中国のツアー客の皆さんはお揃いの帽子やジャンパーで互いに識別し易いようにしている.でも軍隊ではあるまいし....とは思うが.
なおここではパスポートチェック,指紋認証も行われ,なかなか厳格なようだ.
武陵源風景区には移動用小型バスが運行している.これで先ずはロープウェイ駅近くまで移動だ.
バス停近くにはショッピング街があり,これを越えた先にロープウェイ駅がある.お店には飲料,スナック類,防寒用衣料品,雨具...など並んでいる
短いショッピング街を抜けると天子山ロープウェイの切符売り場があった.
ガイドZuさんが切符を買い求め,私たちに渡してくれた.バーコードや43元の料金の記された切符本体(半券)の切り取り線外には,ロープウェイ風景写真,裏には郵便番号枠や中国郵政のロゴ,さらに80分(0.8元)の切手模様(御筆峰の絵柄)が印刷されており,絵葉書として使えるようになっている.80分の切手模様はそのまま切手として通用し,別途80分切手を買って貼る必要はないのだと思う.なお80分(0.8元)は15円程度で,中国郵便はとても安い.ただ日本に送り,届かなかった経験が2度ほどある(なおこうした不達は中国以外の他国でも経験あり)
切符を持ってロープウェイ搭乗口に上った.適度な運動になる.
ロープウェイのゴンドラが順次到着し,これに乗り込む.3人ずつの対面式シートで,スイス製ということだ.
この下駅から10分で上の駅に着くそうだ.上駅の標高は1,200mだそうで,大分気温が下がるであろう.
ロープウェイで標高が上がるに連れ,ガスが濃くなってきた.そして主に石英砂岩から成るという薄赤みを帯びた岩壁や石柱の途中や天辺に樹木の立つ様子は正に水墨画の世界のようだ.
標高1,200m上駅に到着した.小雨と深い霧で肌寒く,視界は浅い.とりあえずここから臥竜公園に行くシャトルバス乗り場に行く.
この辺りは高地であり,明代までは土家族(トゥチャ族)の住処で,引き続き自治権を求め,同族首謀者(天子に相当)向大坤が,明朝軍に立ち向かった.しかし戦いに破れ,向大坤は崖から身を投じ,以来天子である向大坤を偲び天子山と名付けられたそうだ.明代にはまだロープウェイがなかった筈で,昇り降りにはトレッキング,いや登山が必要だったことでしょう.
バス停までの間に『土家小吃』のお店があった.土家族(トゥチャ族)スナックということだろうが,トウモロコシやお芋,焼き栗,餃子,串焼き肉,魚のフライ,焼き魚....といろいろ揃っている.
バスに乗り賀龍公園へと向かった.まだ視界はあまり良くない.
ここ湖南省出身の中国共産党員で,中華人民共和国建国に多大な功績を残した賀龍元帥を記念した公園だそうだ.
私たちはそうした革命に関心が薄いが,中国の皆さんはやはりちょっと違うようで,プレート前でレクチャーを受けているようだった.
共産党員先鋒示範教育基地の記述が見える.共産党員が先頭切って規範を垂れるという教育を施す基地,ということかな~?
ユネスコ世界遺産(自然遺産)と絡めて記されているところが政治利用云々とかになるかも....
この辺りで産する木材と関係するのかたくさんの木彫り像が軒先に並べてあった.見渡すと布袋様が多い.日本では七福神の一人だが,唐代に実在したとされる伝説的な仏僧だそうだ.中国では弥勒菩薩の一つの姿(化身?)として信仰されるようだ.台湾でもよく見かけるので同じだと思う.
共産党革命功労者の碑の傍で普通に仏教関連物が商われるようになったのは一昔前とちょっと異なるところだ(昔は例えば赤の他人が仏教寺を占拠して,住んでいたり,物置きにしていて,驚かされたことがあった)
展望デッキに来た.結構速く流れる雲の間から石柱群が見え隠れする.この季節滅多なことでは晴れないようで,たまたま見える程度でもラッキーということのようだ.
土家族の貸衣装屋さんが営業し,女性客が利用している.中国観光地では一般的な光景だ.
少なくとも衣装はカラフルで,帽子はやネックレスはピカピカの銀製で華やかだ.ちょっと重そうだ.なお男用衣装は一切扱ってないが,多分ひどく地味なのではなかろうか(他の少数民族でも概ねそんな感じなので)
少し歩き御筆峰展望デッキに出た.あいにくガスが濃くなり,何も見えない.武陵源入場券(カード)の写真が御筆峰の景色だそうで,それを翳しながら,ガスの移動を待つ.
ところでこの入場券には入場料¥(ユアン,元)245と記されている.4,450円程度に相当するから結構高い.さらにロープウェイやエレベータは別料金であるし.裏面を見ると4日間有効,指紋認証(朝ゲート入るとき登録された)で1カードは1個人にのみ対応,払い戻し不可,景区内禁煙,再発行不可などと記されている.長い期間たくさん見て回る人には良さそうだ.
暫く待って御筆峰が幾らか見えてきた.御筆とは皇帝(天子)が使う筆のことで,これを逆さ(穂先を上に)に挿したような様子が名の由来だそうだ.皇帝の筆は普通の人の筆とはどう違うのかな~?硯や墨は龍とか刻まれ,印は明らかに玉璽と呼ばれ,鈕(ちゅう)の装飾など特殊であるが.....
なお武陵源にはこうした岩柱で,高さが200m以上のものが2,100柱くらいあるそうだ.
御筆峰の反対側には仙女散が見えるそうで,展望デッキが用意されている.Fairy Dispersing Flowersと書いてあるから,仙女(妖精)がばらまいている花,のように見えると云うことであろう,多分.
さて展望デッキで眺めていたら,その仙女散花と思しき景観が姿を現した.岩柱に較べて先端の緑の割合が上記御筆峰と較べてかなり多く,言われて見ればこれが花に例えることができるかな....?と無理やり考えることにした.
だがも一度調べてみると,天女散花の元をたどると,仏教の経典に遡るそうな.それによれば百花仙子という天女が散花して菩薩や修行僧の道行を試すと,花は菩薩の体からは離れたが,修行僧の体に付着した花は離れなかったという故事に基づくという.でもこれで更に難解になってしまった.もういいことにしよう.
みかんやアケビ,キューイフルーツのような一般的な果実に加え,野生松子,藍苺,野生藍梅子....とかも並んでいる.はて何の実でしょうか.
なおキューイフルーツは中国のこの辺りが原産らしい.関東やNZにも移され,よく育つが.
仙女散花展望デッキの近くに『姓名題詩』の看板を掲げたお店があった.仙女散花や御筆峰の写真(プリント)に毛筆で何やら書き加えている.
書き加えているのは,10元(180円くらい)で注文したお客様の名前の漢字を織り込んだ詩(当然漢詩でしょう)のようである.つまりこの書いている男性は言わば即興詩人のような人で.....凄いですね~
ユネスコ自然遺産(世界遺産)の武陵源は3億8000万年前まで海底だったそうで,地殻変動による隆起,その後風雨による浸食で今の断崖絶壁が作られたということだ.園内の敷石にはここで採取された石が使われているのだろう,写真のような(多分)魚の骨のような化石が混じっている.面白い.
仙女散花展望デッキ近くにマックレストラン(麦当劳)があった.そして看板の絵も,巨大3D食品見本もバーガーではなく,大盛りカツ丼風の丼ものが主役だ.マクドナルドは中国あちこちの都市にあるが,こんなだったかな~とにかく今回は,そんなバカな~と驚いてしまった.
天子山周辺の見物を終えて次の見物に移動することになった.先ずバス乗り場に行くのだが,バス停近くの小さなショッピング街を通過する.
『臭豆腐』の看板はよく見かけるのだが,ここでもそんなお店があった.臭豆腐という言葉は以前からよく聞くが私自身まだ食べたことがない.
臭豆腐は豆腐を主に植物性発酵液に漬けて風味を付けたもので,糞便臭がある....それではとても試して見ようという気は失せるが....また,多くは揚げて,たれを掛けるなどした軽食として屋台で売られる,と述べられていた.
ということでシャトルバス乗り場に来た.バスは一定数以上の客が集まると出発する,バスはロープウェイと違って別料金ではなく,¥245の武陵源入場料に含まれているようだ.
バスの通り道には多くはないが民家が幾戸か見えた.明代以前からの土家族(トゥチャ族)末裔の人たちであろうか.現在は園内のショップや或いは観光事業に従事している人が多かろう.