2日目はマンダラハットを発ち,ホロンボハットに至る.およそ1,000m登ることになる.
マンダラハットは殆ど登り行程で使われるようで,下りで泊まる客はあまりないようだ.それなので,それぞれの小屋では,朝一斉に準備し,上方に向け出発する光景が見られる.同室の若いカップルも我々より一足先に出て行った.
小屋を出て上に向かった.曇り空ではあるが雨はなく,まずまずの天気だ.カッパが要らないし,Tシャツに長袖シャツでちょうどいいくらい,大きな木が茂る道はなかなか気持ちよく歩ける.
トレイルは広くとてもよくメンテナンスされている.土砂が崩れ易い箇所は土留めされ,側溝が設けられ,階段や橋はしっかり保たれ,標識も鮮明.....と感心する.
下は,マンダラハットを出発してから暫く歩いた辺りまでの眺め
マンダラハットからいか程高度を上げただろうか?100m~200mくらいだろうか?大きな樹木で覆われた樹林帯を抜け出す.そして低木や潅木が多くなる.幸い青空も見えてきたし,相変わらず道の勾配は緩やかで広く,とても歩き易い.
やがて潅木が混じる草原地帯となる.いろいろな花が咲き,眺めながらゆっくり登る.なかなかきれいなものだ.同行の方に花の名前を教えてもらうが,3つ目を聞くと,最初の1つ目を忘れてしまう.これはちと残念なことだ.いまに始まったことでないのだが......
下は,草原帯に出るまでの写真あれこれ
なかなか見事な花でプロテアと称するそうだ.尤もプロテアにも多くの種類があり,これはその中の一種ということになろう.キリマンジャロではこの辺りでしか見られず,比較的珍しいという.なおプロテアは南アフリカ共和国では国花になっているそうだ.ジスマスさんに,ではタンザニアの国花は?と問うたら,国花はないが,国の動物はキリン,と答えてくれた.
ゆり科の花だそうで,これも見応えがある.つぼみのときは赤~オレンジ色で,開花したら黄色に変わるようだ.そして下の方から咲き始めるので下方は黄色,上方は赤っぽい.赤~オレンジ~黄色のグラデーションがとても美しく感じられる.
とは言ってもトリトマも多種あるようで,現につぼみから黄色一色の種もこの後すぐ見かけることになった.
ちょっと後ピンになっているが,カメレオンの一種のようだ.トカゲも歩いているが,ちょっと区別が難しい.長い舌を突き出してくれるとか,変身(変色)するとかしてくれれば判り易いが......まあ,人間の都合通りには行かんだろう.まあ,それでもトカゲより丸っこいかわいい顔をしているようだ.
キボ峰に次ぐキリマンジャロの高峰マウエンジ峰(5,682m)が雲の間から頭を覗かせた.この峰は見るからに荒々しく,プロ向きの山だ.
下は,マシューポイント辺りの写真あれこれ
ベンチとテーブルを備えた広場で腰を下ろした.少し陽が出て,Tシャツ一枚でちょうどいいくらいになった.コックとキッチンボーイの皆さんが先に到着してくれていて,程なくお茶とスープ付きのランチを準備してくれた.近くでは首の上部に白い斑点のあるカラスが,おこぼれに与ろうと岩の上で待機している.やはりカラスはたくましい.
サワギキョウ科の植物だそうだ.本物を見たのは初めてだ.どこが茎で,どこが葉っぱか.....よく判らないが,ポーターの話では,近づいて仔細に見れば円筒状周囲の葉状のものの間に紫色の花が付いているそうだ.次の機会に間近に見てみよう!
樹林帯をとっくに越えて,潅木の草原帯を暫く歩いて来たにも拘わらず大きな木,ジャイアントセネシオに出合う.この辺りの高山の固有種のようで,高いものは10mもあろうか.尤もそのように高くなるには,何分にも環境の厳しいところ故100年以上かかるそうである.
その形態はきわめて特徴的でとても判り易い.生えている場所もこの辺り,3,000m~4,000mの沢筋に集中し,平らな場所にはなく,これまたとても特徴的だ.空気薄く水分豊富が生育条件ということか?
下は,草原帯を暫く歩き,ランチを食べた辺りまでの写真あれこれ
3,500mを越え,ゲートのあるモシやその西のアリューシャ方面を望めるようになった.ただ天気はイマイチなため霞んではっきりとはしないが.キリマンジャロが平原にポツンと突き出ているものと勝手に想像していたためか,低い山が結構多数見えるのは少し意外な気がした.
天気が悪くなったが,ホロンボハット到着まで何とか降らずに持ってくれた.ここではこの日と翌日の2泊,帰路にも1泊する予定だ.多分そのようなスケジュールのトレッカーも多いのであろう,三角屋根の小屋が多くあるようだ.私たちの小屋は中央の壁に区切られた2部屋から成る構造で,1部屋に2段ベッドが3組据えられていた.
夕刻,ダイニング小屋の脇で30代くらいの若い日本人男性に会い,立ち話をした.彼は友人と二人で昨夕このハットに到着し,当日日中高度順応のため標高4,300mくらいまで登ってきた.しかし友人は高山病で頭痛がひどく,今晩ここで過ごし,翌朝下山することにしたそうだ.残念であろうが,安全第一なので,無事を祈ってお別れした.
筆者がこのハットに到着したときの血中酸素飽和度は88%,脈拍は84/min,ダイアモックスを使ったので大丈夫そうだ.
下は,お昼を食べてからホロンボハットに到着まで