さてナイロビに入った翌日はキリマンジャロの麓,タンザニアのモシへと向かった.
ナイロビのホリデイイン(下の並びで,左端の写真)に宿泊し,朝食の後タンザニアとの国境の町マナンガに向け,多少窮屈なサファリカーで出発した.ケニアではナイロビを中心に幾つかの列車が運行されているようで,広い操車場を備えた駅の脇を通過した.ただ停滞した車両が多く,かつて賑わうも今は寂れた地方都市のJR駅,といった趣か.
ナイロビはケニア共和国の首都で人口は約200万人だそうだ.ナイロビ(Nairobi)という名前はマサイ語の「冷たい水」に由来するそうで,前述のようにいい気候だと思う.それ故,地方から大勢集まるのであろう,街外れにはアフリカ最大と言われるスラム街も見える.
さらに走るとサバンナの原野に至る.所々に家畜を追う遊牧部族,多くはマサイ族のようである,の姿が見られ,「あ~っ,アフリカだ!」と強く印象付けてくれる.見かけたときレンズを向けるのであるが,この写真のように大半はボケていた.なおケニアで一般道の制限時速は80km/hrだそうで,ドライバのアイザックさんは普通これを少し上回って走らせていた.
このマナンガという名は,どうやらケニア/タンザニア両側の町で共通の名称のようだ.少し手前の休憩所を経て,ここに到着した.先ずケニア側で出国手続きを済ませ,中立帯でタンザニアの車に荷物を移し変え,タンザニア入国手続きをした.それなりの数の旅行者がいるが,両国共パスポートコントロールは手際よく行われ,比較的短時間で越えることができた.
下は,ナイロビからマナンガへ向かうときの写真.サバンナでは黄色アカシアの木や巨大なアリ塚が目立ち,集落には色とりどりのブーゲンビリアやハイビスカスが咲き,きれいだ.
タンザニアに入国し,新たな車とドライバでアリューシャに向けサバンナを疾走する.速度制限の標識は殆ど見られないが,タンザニア一般道の制限時速は100km/hrだそうでケニア以上に猛スピードで走る.途中雨にも遭ったが長くは続かず,まずまずの天気といったところか.
所々に写真のような円筒状の藁葺き家屋が点在する集落が見える.後に見るマサイ族の家屋は円筒状ではあるが屋根が硬く,家は隣同士が連結し,それが集落の城壁のように形成されているので,この開放的な集落とは著しく異なる.何という部族であろうか?
アリューシャに近づくと,大きな木や花が茂り,バナナ畑や野菜畑が広がってくる.タンザニア第2の高峰メルー山(4,566m)の麓にあるが故の豊かな水量が植物を育むようである.空き地では小規模なバナナ市場が催されていた,いや道端の露店に近いかな~?
アリューシャの郊外,Mt.Meru Game Lodgeというホテルのオープンレストランで遅い昼食をとった.若干硬いがビーフやポークのローストや果物が美味しかった.ここでキリマンジャロのチーフガイド,ジスマス(Dismass)さん(左から二人目)と初めて対面し,基本的な装備(ウェア,サングラス,水....など)のアドバイスを受ける.彼はこれまでに176回のキリマンジャロ登頂経験を有するそうだ.
Mt.Meru Game Lodgeには大きな木が茂り,コロバスと呼ばれる白黒毛のサルや,ブルーモンキーというサルが飛び回っている.ペリカンや白サギ,ダチョウ,鹿の類が庭に遊び,檻の中であるがワニやヤマアラシもいた.まあこの辺りはいろいろな動物が育つところなのであろう.
下は,アリューシャへ行くまでの眺め.残念ながらやはりぶれている!
アリューシャで昼食後,東に折れモシに向かった.この道路はタンザニアの幹線道路の一つのようで凸凹は少なく,よく整備されている.町や集落を通り抜けるところでは減速させるため隆起した箇所が所々設けられている.タンザニアでは”寝ているおまわりさん/Sleeping Police”と呼ばれるそうだ.
さてそんな隆起路面のある町を通過するとき,結婚披露のため人々が広場に集う場面に2,3回遭遇した.カラカランと鳴り物入り,飾り立てた車の列もあった.この日は日曜日,タンザニアでは皆が休日である土曜と日曜は結婚式が多いということだ.
鮮やかなオレンジ色の花,同行の方に鳳凰木と教わる,や,もう終わり頃であるがジャカランダの並木(写真右端)が続く街道はなかなかすばらしい.たまに例の幹だけがばかに太いバオバブの木などを目にすることもできる.
モシの中心部を通過し,夕方になって,この日の目的地,登山口近くに位置するキボホテルに到着した.少し山間に位置し,電話とかテレビとかなく,客も我々以外見当たらずとても静かだ.ぬるいが一応バス付きである.庭にはいろいろな花が咲き,バナナやマンゴー,アボガドが実を付けていた.場所柄蚊を媒介とするマラリアに備えるためか天井から蚊帳が吊ってあった.しかし蚊の気配は感じず,広げる必要はなかった.ただなぜかこの宵は下痢になり,翌朝まで殆ど眠れぬくらいひどくなった.それでもいざ歩き始める頃には回復し,幸いだった.
下は,モシに至るまでの写真あれこれ
さていよいよ明日から歩き始める,楽しみだ!