このタクツァン僧院編では,2016年6月13日タクツァン僧院往復ハイキングで,先ずパロのホテルから車で登り口まで行き,ここからマニ車へ,茶屋へ,展望台へ,タクツァン僧院へと歩き,僧院で瞑想をし,下山時は茶屋に寄り食事し,次いで登り口駐車場まで戻ったときの写真を載せました.
ハイキング登り口からタクツァン僧院のトラックである.ただしマニ車,茶屋,展望台の位置は不明なため名称のみ載せた.
別窓でタクツァン僧院周辺の大きなGoogleマップを開く6/13パロMandala Resortで朝が明けて,朝食でレストランに行く.さて今日は今回旅のハイライトタクツァン僧院(Taktsang Lhakhang),別名虎の巣(Tiger's Nest)ハイキングの日だ.晴れて欲しいものだが,窓を眺めると雲は低く垂れ,少しあやしいか.
朝食後迎えに来てくれたUDさんのランクルに乗り,北へと向かった.途中変わった花があると,車を停めてシャッターを押した.アングルによってはおサルさんの顔にみえるのだが....う~んこれは単なる花にしか見えない.
途中村を通過した.立派な建物にはGeneral storeの看板が掛かっている.よくある雑貨店であろう.
さてタクツァン僧院登り口の駐車場に着いた.既に4WDや小型バスが停まっている.もう登り始めたハイカーがいるようだ.
入り口には屋根付き小屋があり,お土産や,このように杖を売っている人たちがハイカーを待っている.私は最初から持ち歩いているので結構だが.
8:32AMさてここからいよいよハイキングスタートだ.
歩き始めて直ぐのところに水力マニ車があった.全く他力本願ながら,安全を祈ってもらおう.
なおこのように小型の建物であるが,やはり仏教施設なので壁には臙脂色の横帯が記されている.この原則は必ず守られているようだ.
水力マニ車の先に来ると,かなり多くの馬と馬方さんが待機していた.ハイカーを乗せたり,途中の茶屋に食料や飲料を運んだり,さらにタクツァン僧院に物資を運んだりするという.
緑豊かな林の最初はいくらか下りのようだ.日本語が聞こえてきたので,こんにちは,と声を掛けた.他の場所でも聞こえてきたので,ここは日本人に人気なのかも知れない.
今度は三連水力マニ車が川の流れ方向に並んでいた.こりゃご利益が期待できそうだ.
当然だが上り区間もある,いやその方が長いのだが.雨が多くなると滑り易くなりそうだが,今のところたまにポツリと来る程度で幸いだ.陽は出ないが暑くならずにいい面もある.
荷揚げか,人か,一仕事終えて下山する馬2頭,馬子さんに連れられて下っていく.いや~仕事速いですね~
やがて大きなマニ車があり,タルチョーのはためく丘に出た.9:20AMだった.なおここの大型マニ車は水力タイプでなく,腕力タイプだ.
丘のマニ車を廻してから,また北に進んた.そして写真の門があった.さてこれはタクツァン僧院の山門なのであろうか.
この辺りでは最初とは少し植生が変化したか,石楠花であろうかサルオガセが掛かる樹木も見える.
そして暫く行くと茶屋があった.どうやら晴れてきたが,先方のタクツァン僧院辺りはまだ雲が深い.
茶屋に到着し休憩し飲み物を頂いた.9:25AMだった.この茶屋には,右の建物内にカフェテリアがあり,帰路そこで昼食を頂く予定だ.ハイカーは行き帰り必ずここを通過するので,飲料や食事込みの一括料金システムを利用できるようだ.UDさんが全部やってくれるので正確には判ってないが.....
茶屋のベンチで座っているとタクツァン僧院がうっすらと見えてきた.どうやら雲が取れる傾向のようだ.
茶屋から少し先に行った.インドのハイカーが目立つが,キラを着た地元の人も歩いている.普通のハイカーに加えて本来のタクツァン僧院巡礼,参拝が主目的の人が多いようだ.言われて見ればまあそうでしょうね.
岩の下にツァツァ(Tshatsha)が並んでいた.そしてその傍にUDさんが蟻地獄を見つけ,その底から虫を引っ張りだして見せてくれた.虫そのものは何と呼ぶのか....奇妙な形をしていた.
ところで信心深いUDさんはこういった虫も大切に扱う.ジャカルのクジェラカンでたまたま小さなサソリの死骸が見つかった時,それをそっとティッシュで包み,ラカンの祭壇に供え,お賽銭を入れていた.傍で見ていただけであるがお坊さんに供養を託したのだと思った.
ツァツァの窪みを過ぎると盛大にタルチョー舞う丘になった.この辺りでは大勢のインド人グループと会う.老若男女バラエティに富むグループだ.
タルチョー群の後には,小さな祠を通過した.タクツァン僧院が近くなってきた雰囲気だ.
花は多くないが所々に見える.これはその一例だ.
香木を焚く香炉だと思われる.レンガ造りだ.今は焚かれていないが,多分朝早く灯るのではなかろうか.
そして展望台に到着した.10:18AMだった.ここでは日本の若い女性お二方と出会った.いや~なかなか見応えあるいいトレイルですね~と挨拶を交わす.
幸い雲が取れて,タクツァン僧院がクリアに見えるようになった.
これまで写真でよく見た光景であるが,それでもなかなかいいと思う.切り立つ崖にブータン様式建築が貼り付く様子がいいのだ.
タクツァン僧院はブータン一の聖人パドマサンバヴァが虎の背中に乗ってここに現れ(これが別名虎の巣(Tiger's Nest)の由来でもあるが),この洞窟で瞑想したということだ.なお私もこの後,その洞窟前で一応瞑想(の真似ごと)を行う羽目になり,20分あまり座ったのだった.
ところでタクツァンの別名虎の巣と記したが,当地の言葉でタク(Tak)=虎,ツァン(tsang)=巣であって,『虎の巣』は別名でも何でもなく,それで本来の名称だそうだ.既に参拝を終えた人たちと交差するが,階段の幅は十分にあり,歩き易い.
展望台からは,手摺に守られたきれいな石の階段で一旦下りに入る.
ただ数年前まだ十分に手摺が整備されていなかった時代,欧州の女性が落下する事故があったそうだ.
展望台からの下り階段を過ぎるとまた平らになる.路面は石畳でよく整備されている.タルチョーが舞い,なかなか味わいがある.
番犬が激しく吠えて,急峻な斜面を登ろうとする野生の動物を近づけないようにしている.私たちも驚くほどの吠え方で,さすがの山羊もたじろいたようで,撤退の様子を見せている.
山羊が何か悪いことしたのかな~と云う疑問は残るのだが....
展望台から少し下ったため,若干低いアングルになった.金色の屋根は見えず,庇の下を覗く描写になった.
タクツァン僧院は1998年火災で焼失し,後に再建が進められ2004年に完了したそうだ.僧院が崖の上に在るだけに消火活動は困難を極めたが,上述のパドマサンバヴァが瞑想した洞窟のあるお堂は,その火災の際も難を免れ,私たちも野次馬的とは言えども瞑想に加わることができるということだ.やはり特別な力で守られていると信じられているそうな.
岩壁に細い滝が流れている.そして定石のように水力マニ車が回っている.滝の流れは実にきれいだ.
さてここも岩壁で洞窟状の部分も見える.もうすぐ着くタクツァン僧院にも8つの洞窟があるという.それらを覆うように僧院が建てられているそうだ.それらの洞窟には虎に乗って現れたパドマサンバヴァが最初に入り,3年間に渡る瞑想を行ったそうである.
細い滝に架かる橋を越えると上り階段になる.登りきればタクツァン僧院が待っている筈だ.
最後にタクツァン僧院荷物預かり所に到着した.10:48AMだった.8:32AMスタートだったので,2時間16分要したようだ.
タクツァン僧院に入る前にバッグやカメラをこのロッカールームに置いていく.ロッカーに鍵はないが大丈夫ということだ.
タクツァン僧院は幾つもの部分に分かれた複合体である.4つの主要寺院に僧坊や,またここからさらに標高の高い山稜にお坊さんの学校や教育者の宿舎(茶屋の手前辺りで見える)など,いろいろだ.
私たちは一つのお堂の狭い入り口で靴と帽子を脱ぎ(ブータンの寺はどこでも脱ぐ),たくさん散らばる靴の隙間を見つけて置く.最初のお堂には金色の仏像や種々壁画,虎の像...などあったか.
立体的に絡まるお堂を巡る終わりの方に,大事なパドマサンバヴァのお堂があり,その像の前にお坊さんが居られた.よく判らないまま,UDさんに促されて,部屋の奥に座った.そしてここで20分間瞑想して下さいと言われる.目は閉じているが,部屋にはどんどん人が入り,座る場所が残っていないくらいになると,お坊さんの読経が始まった.声は小さめで優しい感じだ.
経の意味合いどころか,単語一つも知らないのだが,ここは水力マニ,風に舞うルンタと同じ,他力本願の功徳があろうと静かに聞き入る.UDさんの言う通り,読経は20分だった.その3,4分前から一応目を閉じ瞑想体制に入っていたので随分長く座っていたのだが,正座ではなく,あぐらなので問題なかった.まあこうした体験も良かったと思う.
よく分からないまま瞑想が終わり,僧院の外に出て,荷物を受け取り,下りにかかる.このとき11:43AMだった.僧院には都合1時間弱滞在したことになろう.
タルチョーの架かるトレイルは往きと同じ通りだが,岩山をトラバースするトレイルにタルチョーが架かっている様子がよく見える.
既に花の季節は終えているが石楠花の木であろうか.なお下の方ではあまり見かけない.
下山路で改めて僧院を振り返り見上げると内部の三次元的に入り込んだ部屋や通路の様子が思い返された.
往きでも立ち寄った茶屋に到着した.奥のカフェテリアに入り昼食を頂いた.ただ料理はこれまで食べた中ではかなり劣り,平たく言って不味かった.
それと10人ほどの日本人グループがいたが,中の(年配)女性1,2人が,ビールが美味しいのどうのと,ばかでかい声で喚いている.これまた不味くて頂けない.
無事下山し,登り口に到着し,ハイキングは完了した.1:34PMだった.登り始めから5時間ということになる.
登り口マーケットには朝は少なかったが,今度はたくさんの人が商品を並べていた.巡礼グッズやアクセサリ,お土産品のようだ.
駐車場で車に乗り,元来た道を戻った.ただ途中で折れ,次の訪問地ドゥゲゾンに行く予定だ.
車で走り始めると,タクツァン僧院トレイルの馬が今日の仕事を終えたと見えて,村の厩舎に引き上げていくところだった.馬子さんは付いていないが,利口な馬はガイドなし,自分たちで帰るそうだ.
さてハイキングはこれで終わった.雨が降らず,僧院がクリアに望めたし,分からないまま瞑想も体験できたし,楽しかった.