民家訪問visiting a private House

この民家訪問編では,2016年6月13日パロ郊外の民家を訪れたときの写真を載せました.

典型的ブータン様式の民家

典型的ブータン様式の民家

私たちはパロ郊外の典型的ブータン様式民家を訪問させてもらった.2階建で,一階部分は倉庫や資材置き場,二階に仏間を含む居住空間になっている.壁は版築工法で分厚く固められ,白く漆喰が塗られている.梁や床は木材である.建設されて100年以上経つそうで,過去の地震で一部歪みが生じたという.


母屋の裏に離れも

母屋の裏に離れも

母屋の裏に回ると離れも建てられている.母屋より新しく,ダイニングキッチンや寝室に使われているそうだ.

母屋の居住部に上がるにはもちろん階段を用いるが,写真で手前は斜度が小さく,近年追加されたもののようだ.


ブータン伝統の急な階段

ブータン伝統の急な階段

新階段の後ろにあるのがブータン伝統の急な階段だ.実際上ってみると,殆ど梯子のような感じだ.ブータンで他地方で見る住宅や寺の階段もまた急峻なタイプが多くて,びっくりする.どうして急になったのかな~動物の侵入を防ぐためかな~


本格的な仏間がある

本格的な仏間がある

ブータンでは,集合住宅も含めて仏間が備えられていると聞いていたが,少なくとも大きな戸建住宅には備えられていることは確認した.部屋の片隅に仏壇と云うのではなく,大きな部屋が仏間専用なのだ.

ここの仏間の場合,中心に金色のブッダ像が祀られ,太鼓など仏具を備え,これを叩きながら毎日お祈りするのであろう.


仏間の壁画

仏間の壁画

ブッダ像を中心に,ラマや忿怒尊,パドマサンバヴァ(?)など色々な壁画で満たされていた.

日本の仏壇との大きな差は,日本では故人の位牌や遺影は中心的存在であろうが,ブータンでは輪廻転生のチベット仏教の教えに従い,そういった故人を物語るものは一切無いということだろう.


暖炉を備えた居間

暖炉を備えた居間

冬は寒いのであろう,薪の暖炉が備えられている.夜はこれを囲んで家族で語り合うのでしょうか.


居間の壁には家族の写真やタクツァン僧院に虎の図

居間の壁には家族の写真やタクツァン僧院に虎の図

居間の壁には例えば家族の写真が飾られている.これは世界共通だ.タクツァン僧院に虎の図も見える.やはりパドマサンバヴァに関わるこれらは家庭でも大事にされているようだ.


古いキッチンと調理具

古いキッチンと調理具

階段近くに古いキッチンがあり,また廊下の隅に調理具や食器が置いてあった.今は離れの新しいダイニングキッチンに役割を任せたようだ.


なお母屋には他に幾つかの寝室が備えられていた.


離れの新しいダイニングキッチン

離れの新しいダイニングキッチン

古い母屋では配電やガス管,上下水道などの設備が不十分なため,こちらに移したのではないでしょうか.新しい作りがやはり便利で楽だと思う.


洗濯中のお嬢さん

洗濯中のお嬢さん

二槽式洗濯機が懐かしい.久しく見たことがなかった.

母屋と離れの間には屋根が張られ,そこに洗濯スペースが設けられている.


水田も隣接

水田も隣接

このお宅では,所有する水田,しかも棚田とかでなく広く平らな水田が自宅に隣接している.職住接近どころか職住一緒と言える.

稲は植えて暫く経つようで,順調に育っている.


作業小屋と耕うん機

作業小屋と耕うん機

離れの後ろには作業小屋が建ち,耕うん機などが保管されている.収穫時はここで脱穀や精米などの農作業など行われるのでしょう.


ドツォのお風呂場

ドツォのお風呂場

作業小屋背後に『ドツォ(Dotsho)』と呼ばれるブータン風呂のお風呂場が建てられている.それぞれ3つのバスタブの男風呂,女風呂が設けられている.

ドツォは水を張ったお風呂に,熱した石を放り込んでお湯にするというものだ.

その昔,日本海粟島の浜辺で『わっぱ』と呼ばれる木の器に,水に魚や貝を入れ,それに赤く焼いた石を放り込んで沸騰させ,煮て食べる豪快な料理を体験したことがあった.ドツォはそれをスケールアップしたようなものであろう.


ドツォは木のバスタブ

ドツォは木のバスタブ

バスタブは板を箱型にして作り,一部区切るための仕切りが設けられている.仕切り板の底部は空き,水が通過できる.但し熱した石が通り抜けできないような狭い隙間となっている.


先ず普通の水を張る

先ず普通の水を張る

バスタブには先ず普通の水を張る.いま水ホースを手にしているのは,こちらのお宅のおかみさん.


次いで石を熱する

次いで石を熱する

垣根の脇でドツォの石を薪で熱しているところだ.手前では電動遠心送風機で風を送り込んでいる.積石の内部が少し赤くなってきたのが見える.やがて真っ赤になると,上のバスタブ仕切りの手前に放り込む.石の量は水面くらいまであった.そして石に接した薄い水の層は沸騰近くまで加熱され,それが仕切り板下の隙間を流れ,対流しバスタブ全体では適温になる訳だ.

私は適温になったお風呂に入れてもらったのだが,まあ色々な形とサイズの石を投げ入れて適温にするって手慣れたワザですね.いい湯でした.

ということで民家訪問は楽しく終えた.



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