このビチュクデオラリへ編では2010/2/25(木)朝ポカラから車でフェディに行き,ここからダンプス,ポタナを経て,ビチュクデオラリに至るまでの写真と記事を掲載した.
2010/2/25ポカラで朝を迎えた.上空は晴れており,山の上にも雲は比較的少ないようだ.ホテルで朝食を済ませ,7時頃小さなタクシーでトレッキングスタート点フェディへと向かった.
車の窓からはアンナプルナサウスやヒウンチュリなどがまるで飛び込んで来るようで,なかなかいい.走り始めてから40分程要したであろうか,やがてフェディに到着した.
フェディからは急な石の階段が連なるトレイルで始まる.2003年ミニトレッキングで下ったトレイルで,ごく部分的ではあるが,見覚えのある場面に出合うこともあった.急な石の階段は下りより上りがいくらか楽だと思う.
階段を上り,畑の野道を暫く歩くと見覚えのある茶屋に至った.ただその茶屋は閉じられ,すぐ傍に新たな建物を建築している最中だった.古くなったので建て替えるのであろうか.
ここからはポカラまで連なるヤムデコーラ(Yamde Khola)の谷を見下ろすことができる.僅かな時間で結構登ったことも実感する.
下は,フェディ辺りまでの写真
この辺りはポカラから近く,手軽に歩けるので多くのトレッカーに出会う.大半はショートトレックの人たちが占めているようだ.(←間に合わせのストックの人が結構多いのがその根拠だが....)
ラリグラス(Laliguras)と呼ばれる赤いシャクナゲ(石楠花)はネパールの国花だそうだ.シャクナゲには白やピンクや....いろいろあるが,赤だけが国花であるとか.確かに真紅のものが一番に見える.
早い樹は既にこのように咲いているが,全て咲き揃うのはあと2週間程先のようで,その頃は多分トレッカーも増えて,込み合ってくるであろう.
ダンプスに来ると北側が開け,ヒマラヤが望めるようになった.左の大きなのがアンナプルナサウス,その右稜線上に頭を覗かせているアンナプルナⅠ,その右がヒウンチュリ,右端が尖った聖山マチャプチャレだ.
28mm相当レンズで入りきれないマチャプチャレの右側にはアンナプルナⅢ,同Ⅳ,同Ⅱ,ラムジュンヒマールも見えていた.
下は,ダンプス付近の眺め
ダンプスはグルン族が主体の村で,ヒンドゥーと仏教徒が混じっているそうだ.たまたま集会の最中(下段左端)に通り過ぎたとき,唄かお経か判らない音色で唱えていた.ガイドGさんに訊いてみたら,「ヒンドゥーのプジャ」と教えてくれた.なお,唄うのは男性だけで,傍らの女性陣は食べ物の準備中であった.きっとこの辺りの慣わしなのであろう.
なお今回のルートで,前半のフェディからガンドルン,チョムロン,アンナプルナBC方面,タラパニ辺りはグルン族のエリア,後半のゴラパニ辺りはマガール族が多くを占めるそうである.
ダンプスでお茶の後,林を歩き,抜けるとポタナのチェックポストがあった.11時と少し早いがチェックポスト向かいの茶屋でモモ(チベット風餃子)の昼食とした.アンナプルナサウス(写真左側)とトレイルを行き交う人たちを眺めながら食べるのも楽しいものだ.
ポタナはダンプスとともに,2003年,2008年に続いて3回目の訪問であるが,広々とし,アンナプルナ山系がパノラマ状に開けており,何度見てもいい.今回はちょっと雲が早く出て来たが,時折それぞれが顔を覗かせた.
下は,ポタナの写真あれこれ
ポタナから石楠花林を暫く歩くと,1時半頃ビチュクデオラリの集落に到着した.もう少し先まで歩いた方が良かったかも知れないが,ポーターSさんはこの予定で歩いて来たので急に変更するのは悪かろう.で,予定通りここで宿泊することになった.
この村には2軒のロッジと宿泊の部屋がなく,食事だけ可能な茶屋1軒,合わせて3軒営業している.皆家族のように仲良く暮らしているという.私はその中の1つ,Nice View Lodgeの2面ガラスの角部屋を確保してもらった.雲が無くなればアンナプルナサウスと遠くダウラギリもよく見える筈....と思い.
写真のチョータラ(石の荷物台)で日向ぼっこをしていると,米アイダホ州からという男性と少しサドゥーファッションぽいガイドが下ってきた.アイダホはこのところ-10℃ととても寒く,ここは温かくていいとショートパンツだ.ガイドはネパール人でロッジオーナーの知り合いだそうで,しばし歓談し,下っていった.ロッジオーナーによれば,彼(ガイド)は「オーストリア女性と結婚したのでいろいろな国のビザ取得が容易だ」「自分は既に50歳近いし,長期不法滞留などしないつもりだが,日本を含め各国ともなかなか長期ビザを発給してくれない....以前英国パスポート(香港の)を持っていたときは容易であったのに,ネパールビザだとなかなか...」とこぼすことしきり.尤もガイドGさんによれば,英国パスポートは賄賂で取ったのかも....と,耳打ちしてくれる.やっぱりそういったことが疑われるのであれば.....と,少し同情しながらも,ちょっと....と思わずにいられない.
夕食には「スパゲティ」とトマトスープを作ってもらった.スープはいいとして,「スパゲティ」は見た目も味も普通考えられるスパゲティのカテゴリーからは著しく逸脱したもので,単にチョーメン(焼きソバ)の名前をスパゲティに変えたとしか思えないような代物だった.まあ,そうしたことはまま起こるので,純ネパール料理(ダルバートやチャパティなど)以外のメニューに記された多彩な料理をオーダーするときは既定観念を完全に更にしてから注文するのが吉と言えよう.もちろん半ば賭けで.
ビチュクデオラリにこんな道標が立てられていた.食事だけの茶屋のご主人によれば,マチャプチャレの少し南に位置するマーディヒマール(Mardi Himal)のベースキャンプに連なるジャングルトレイルがあるそうだ.少しだけ散歩してみたが確かに深い森を行くようである.林を2日(だったか?)歩き,抜けるとアンナプルナ山塊の眺めがすばらしいそうである.また,ポカラ→ここビチュクデオラリ→マーディヒマールBC→東のトレイル→ポカラの周遊コースで1週間くらいだそうだ.ただ,このトレイルは普通の地図には載っていないし,マーディヒマールBCへの途中にはロッジもあまりなさそうである.しかしアンナプルナサーキットの自動車道路整備など,トレッキングエリアが縮小されつつあるので,今後こうした新しいルートが開かれていくのではなかろうか.
なお,このトレイルはジャングルなので,リーチ(山ヒル)が多く,モンスーン明けの10月,11月でも油断ならず,4月が一番のお奨めということだった.
下は,ビチュクデオラリでの写真
ビチュクデオラリのNice View Lodgeでは若い仏カップルが同じ宿で,夕食時一緒になった.彼等はごく普通のトレッカーだが,連れていたガイドがかなり酒に酔い,大声で他愛ないことを力説している.まだ初日なのにこの先ちょっと思いやられる.稀であろうがこうしたガイドが就くとちと困るね.
下は,この日眺めた花の写真
こうしてトレック1日目は終わった.ビチュクデオラリの住民の方たちが言われるには,2月や3月上旬は天気がイマイチで,春であればやはり4月(と5月初め)がいい,ということだ.う~ん,そ~なんだ.
さて,明日はどうなるか.ガイドGさんによれば,今回のトレックで最もハードな日とか......