このアンナプルナBC編では2010/3/2(火)マチャプチャレBCを出て,今回トレッキングのハイライト,アンナプルナBCに至り,その日から翌々日朝まで滞在したときの写真と記事を掲載した.
2010/3/2(火)は晴れて明けた.マチャプチャレBCで朝食を済ませ,晴れやかな気持ちで白い雪のトレイルに踏み出した.前方にはアンナプルナサウスやヒウンチュリが諸に朝日を反射し,眩しく感じられる.また時々来た道を振り返ると,背後には陽でマチャプチャレやガンダルバチュリの稜線が輝き始めたのが見えてきた.
下は,マチャプチャレBCを出てアンナプルナBCに至るまでの写真いろいろ
マチャプチャレBCを出発し,1時間余り歩くと陽が高くなり,ヒウンチュリ脇の谷間のトレイルにも陽が射すようになった.ポカポカ気持ちがいい.谷の先,真正面にはアンナプルナサウスがどんと座り,間もなくその右にアンナプルナⅠも見えてくる筈だ.
歩き始めて2時間くらい経て,ここアンナプルナBCに到着した.ベースキャンプにふさわしく広い地面があり,ちょっと遠いが下に水場があるようだ.
ここにはロッジが4軒あって,その中のSnow land lodgeに泊まることになった.マチャプチャレBCでは比較的宿泊者が多かったが,ここは疎らな感じだ.シーズン前という理由以外に,マチャプチャレBCから朝ここに上り,宿泊せずに下山するトレッカーが比較的多いためかも知れない.
筆者は暇なのでここで2泊もする予定だ.でも暇を理由に2泊もすればやはり暇を持て余すかな~?
ロッジの在る辺りはアブレーションバレーのようで,少し歩くとチベット仏教の定番ルンタを掲げたモレーンの丘が連なっている.丘の反対側は氷河(南アンナプルナ氷河)になっている.丘にはアンナプルナで落命したクライマーやシェルパの慰霊碑も見られる.
写真背景はアンナプルナⅢ(左)とガンダルバチュリで,どちらも鋭い稜線が印象的だ.
モレーンの丘に立つと南アンナプルナ氷河がよく見える.ただここも山直下急傾斜部を除き,削り取った岩石が表面を覆っているので黒い.概ね他の氷河と同様だ.
地図を見ると,アンナプルナベースキャンプは,ここ南BC以外にアンナプルナⅠ峰を挟んでちょうど反対側にもある(北BC).アンナプルナⅠは最初に登られた8,000m峰(仏隊)と知られるが,この南壁側は非常に困難で,一般に北側から登られることが多いのだそうだ.
ロッジのベンチに腰掛けて東側を望むと,上って来た谷の底から立ち上がるマチャプチャレがきれいに見える.徐々に雲が湧き出て流れて行くが,ポケーっと流れを追い眺めているのも一興だ.意外と動きが早いのも山ならではの光景であろう.
下は,アンナプルナBCでの写真
アンナプルナBCは360°山に囲まれているのが最大の魅力.横スクロールのパノラマにしてみた.
撮影地点:アンナプルナBC(@Annapurna BC:4,130m)
朝方あれほど良かった天気も徐々に崩れ,夕方からまた雷を伴う雪になった.ただ小雪で,積雪は僅かだ.さて明日はどうなるかな~?
この日2010/3/3(水)は桃の節句,ロッジの部屋で目覚めると寒い,-2℃,ブルル!ちなみに気圧は614hPaで,この標高では普通であろうか.部屋から出ると,案の定,暗い雲が立ち込める空模様だ.
それでも,「ひょっとしたら朝焼けが.....」と一縷の望みを抱きサイドモレーンの丘に向かう.同じような人はやはり何人かいて挨拶を交わす.その中の英の3人連れに写真のシャッターを頼まれる.カメラを構えて,「はいチーズ!」(Say cheese!)と合図したら,「ヤクチーズ!」(Yak cheese!)と応じた.こちらも大笑いし,ブレてしまったではないか.なおヤクチーズはネパールではごく普通だが,以前記したようにここアンナプルナサンクチャリーでのヤク放牧は認められていないようだ.で,付随的ながらトレイルで地雷を踏む恐れがないのは助かる.
氷河は岩や石で覆われているが,氷の塊が形を留めているところも見られる.氷河は遅いながら僅かに流れてもいるので,時々氷の砕ける音も聞こえてくる.この氷河もやはり温暖化で後退しているのであろうか?
雲が低く立ち込めたこの日は総じて色彩を欠き,ガンダルバチュリなどはあたかも墨絵のようなモノトーンの姿を見せていた.ただこれも午後の早い時間までで,2時くらいからは完全に雲の中に隠れてしまった.
夕刻にはまた雷を伴う雪に変わった.ただこの日も積雪は大したことはなく,明日歩くトレイルが真っ白で好ましいかも知れない.
動画でパノラマ展望を撮ってみた.画質はとっても悪いがKevin Macleodさんの音楽でカバーしよう.
天気が悪く,寒いので夕方早めにダイニングルームに行ってみた.このロッジも他のロッジも客は少なく,ロッジオーナーの旦那衆,それとポーターやガイドの皆さんがケロシンバーナ式炬燵に集まり,カードゲームに興じていた.見ているとゲーム毎に現金を張り,そのゲーム終了時直ちに決済するようだ.後でまとめて計算するより,ゲーム単位で参加,不参加が選べて,後腐れもないであろう.
一部ではノートパソコンで何やらあやしげな映画を楽しんでいるようだ.もちろんここではインターネットもなく,ケータイもカバーしていないのでHDDの録画であろう.最近低消費電力PCが多くなり,小さく非力なソーラーパネルでも充電できるのであろう.尤も客室は一応配線されているが,3日間全く電気は点かなかったぞな.
夕食に“トマトチーズピザ”を頼んでみた.もちろん半ば賭けで.注文して30分あまり経て(客はこの日筆者一人なのに非常に長い時間だ)熱々で出てきました.これがびっくり,とっても美味しかった!トマトチーズピザの名称に偽りないし,今回の旅で最高に美味だった.いわれ無き不信感を持ちながら注文した自分自身の人間性は大いに恥ずべきだろう.
2010/3/4(木)アンナプルナBCで3日目の朝を迎えた.日の出までまだ間がある朝5時頃部屋を出てみると昨夜の雪はすっかり上がり,星空が見えていた.
月の照らす光は弱いが程よくヒマラヤ襞にコントラストを与え,それなりに写っていた.
下は,夜明け前アンナプルナBCの光景
やがて朝が明けてきた.先ず一番高いアンナプルナⅠ峰南面頂部が赤くなり始めた.6時半頃であった.横から射し込む色温度の低い光線で照らされる山の眺めはやはり最高だ.
太陽はどんどん高くなり,アンナプルナサウス,シングチュリ,ヒウンチュリ....へと照らす範囲が広がっていった.
下は,朝焼けから白く変わりいくアンナプルナ連峰
2泊したお陰で朝焼けを見ることができ満足だ.さて,これから朝食を食べ,ゆっくり下山にとりかかるとするか.