このタラパニへ編では2010/3/5(金)シヌワを出て,チョムロンコーラ,チョムロン,グルジュン,キムロンコーラ,シプロン,チュエリを経て,タラパニに至るまでの写真と記事を掲載しました.
シヌワで温かい朝を迎えた.前日より標高が下がったので圧倒的な体感温度差だ.北東のモディコーラ上にはヒウンチュリとマチャプチャレがきれいに見えた.ここで朝飯を食べ,南へと向かった.向かう方向にはモディコーラの深い谷が見えている.
西に少し巻きながら暫く歩くとシヌワの本村(或いは地図で見るとTiliche,Bhanuwaと云った地名も見えるので,それが正しいか?)に入る.食事の後片付け,家畜の世話,畑仕事....に取り掛かっている光景が見られる.下方を見るとチョムロンコーラが目に入り,対岸には広い斜面にチョムロンの集落と段々畑が貼りついている光景が広がっている.
下は,シヌワ辺りでの写真
チョムロンコーラの谷に下った辺りからはちょうどアンナプルナが望める.輝度差が大きく谷と山一緒の写真がなかなか難しいのは前にも書いたが,最新のカメラではうまく撮れるかもしれない.
当然のことながら谷の前も後も急な斜面,主に階段で歩きがいがある.今日はこの後キムロンコーラの谷も越えるので疲れるかな~?
この辺りに限らないが,岩や崖で危険いっぱいの場所で元気いっぱい遊んでいる.でも車もバイクも通らないからむしろ安全かな?何れにしても屋外で遊ぶのはいいと思う.
チョムロンに入り丘の一番上,往きで泊まったExcellen View Lodgeの庭でお茶を啜る.途中のロッジからの眺めも殆ど差がないのだが,一番上に行きたがるが人情だ.
到着したときはまだ9時過ぎと早い時刻だが既に雲が湧き出てきた.今日は気が早いようだ(誰の?).Yの字を横に寝せた谷で,上の方がモディコーラの谷,左がチョムロンコーラの谷だ.どちらも結構深く流れている.
チョムロンのロッジで一休みの後また歩き始めた.村の外れに来ると,ジヌーダーラとグルジュンに分岐する三叉路に至る.今回は来たときと同じ道,グルジュン側に進む.ちなみにジヌーダーラは前回アンナプルナ一周時下ったルートで,急な坂道だったことを思い出す.
写真は村の外れに立ち,南のキムロンコーラの谷を望む景色.ここからキムロンコーラ右側のトレイルを進み,グルジュンに至り,その後キムロンコーラを渡り対岸のシプロンに渡ることになろう.
キムロンコーラとトレイルの間,白い斜面は大規模土砂崩れの跡だ.そこにあったトレイルも流されたため,その上方に新たな道が作られたようだ.
下は,チョムロン辺りでの写真
チョムロンから先は東面が開放され広い野道を行く.山は雲で覆われたが上空は晴れているので陽が射し,快適だ.暫く行くとガンドルンとグルジュンとの分岐点に至り,グルジュン側に進む.ガンドルン側は往きで通って来たコースだ.
グルジュン側に行くと,時々上りのトレッカーと行き交った.また斜面にはそれまでと同様段々畑が広がり,一部緑も見えてきれいだ.
11時頃グルジュンに入った.入り口辺りの茶屋でお昼ご飯を食べることにした.茶屋の縁側にはゼラニュームが咲き,ここの大旦那(多分)が手回り式ミシンで仕立て(若しくはリフォーム)の仕事をしていた.
ミシンの仕事を眺めながら食べていると,続々と,3組も下からの客が入ってきた.特に最後に着いた英パーティは16人という大人数で,テーブルが足りずとりあえず道端に座り谷を眺める.一人ひとり別々の注文だったから,キッチンはてんてこ舞い,商売繁盛嬉しい悲鳴であろう.
下は,グルジュン辺りまでの写真
何でもないグルジュンの茶屋風景を撮ってみた.
グルジュンからキムロンコーラ目掛けてどんどん下った.やがてキムロンコーラに架かるしっかりした吊り橋に至り,対岸に渡った.橋にはチベット仏教の作法に則りルンタが掲げられている.
キムロンコーラからはまた上りだ.少しするとシプロンの集落,と言っても疎らに家が点在するのだが,が現れる.日当たりのためか,或いは土壌の関係か,この辺りの段々畑は麦や豆類の作付けで,緑が目立つ.きれいだ.
一軒の茶屋では“ここでミネラルウォーター無くなります”の看板が掛けられていた.そうか,アンナプルナ保護地区でペットボトル持込制限はどうやらキムロンコーラが境界のようである.とすると,東側ではモディコーラが境界であろうか?
通って来た対岸のグルジュン側を振り返ると,大きな土砂崩れが目に入る.朝方チョムロンの外れで眺めたのとは違う場所,グルジュンのさらに西側に位置しているようだ.
山の上からキムロンコーラの谷まで三角形の実に広範なエリアが崩落している.畑や道が落ちているのもはっきり見える.危険と分かっていても,多分安全な場所に移り住むことは叶わないのであろう.....せめて雨季に一時的避難ができればいいと思うが.....
下は,シプロン辺りでの写真
チュエリも固まった集落はなく,家が点在している.シプロンから暫く歩くと広々した庭を持つ一軒のロッジ茶屋に着く.アンナプルナ方面の眺望も利くところでなかなか良い場所だ.
そんな訳でシーズン中はきっと客が多いのであろう,現在建て増し工事中で,裏庭では数人の大工が柱や梁の切り出しをしていた.原木は,見たところすぐ脇で採れる石楠花の大木が多いようである.
下は,チュエリの写真あれこれ
チュエリを過ぎると林に入る.苔むした石楠花などが多いようだ.「タラパニの領域に入ったな~」と云う印象だ.でも石楠花の大きさはゴラパニ周辺ほど巨大ではないように見える.
樹木には苔が生しているが,きれいな花も着いている.これはランの一種であろうか,なかなか見事だ.
また,苔の他にサルオガセであろうか,長いモズク状の草もくっついて垂れ下がっている.元の樹木も枯れないようにがんばっているようだ.
林を抜けるとタラパニに出た.丘の上で晴れていればマチャプチャレを正面に望む筈であるが,今のところまだあまりよく見えない.3時過ぎであったと思う.
タラパニはゴラパニトレッキングの主要ルート上にあるからトレッカーが多く,チベッタングッズを並べた露店,と言っても常設風,が並んでいる.でも,買い物する人はさほど多く見かけないから商売も大変ですね,と思わずにはいられない.
ロッジの名前を思い出さないが,最も南に位置した宿だった.独の二人連れ,オランダのやはり二人連れ,スウェーデンのカップル,韓国の若い女性....など,結構賑わっていた.
この日は2つの谷を越えたので結構運動したことになろう.ポーターSさんは結構疲れたというので翌日はそれまでと違って1時間遅く,8時に出発することにした.今夜はSさんの好きなロキシー(米から作る蒸留酒)をゆっくり楽しめるだろう.
下は,タラパニまでの写真
タラパニのロッジで眺めた様子を撮ってみた.
夕食時ダイニングルームで20代半ばと思しき若い韓国女性と隣り合わせた.会社勤めで,休暇が5日間しか取れないそうで,ベシサハール⇒ゴラパニ⇒ここタラパニ⇒ベシサハールを3日間で廻る強行日程,ソウル⇔ポカラ⇔ベシサハール往復を加え,土日を含めて1週間の計画だそうだ.まあ,でも若いし,ポーターとガイドも付いているし問題ないだろう.自分でも“韓国で山歩きは競争みたいに歩くのが普通だし”と周囲の見方もよくご存知で,苦笑いしている.まあ,諸分野で日本に勝るのは解りますけどね.
食卓だけに必然的に食べ物の話に及んだ.韓国と言えば反射的にキムチと思うが,な,何と彼女はキムチを食べないそうだ.そのようなコリアンが居るなんて....ワインもチーズも敬遠するフランス人,ビールもソーセージも受け付けないドイツ人,マグロもわさびも口にしない日本人,ハンバーガーやフレンチフライに見向きもしないアメリカ人,ピザやパスタが苦手なイタリア人,.....そんな風に思えるが....現に,お母さんにはいつも“食べなさい!”と言われているそうだ.加えて“ナットー(←日本語で)大好き”とも,え~っ,日本人でも関西人は納豆食べないし,関東以東でも苦手な人が多いのに....と二度びっくり.次に生まれ変わるときは日本人ですね,きっと.
そのうち富士山にも来てみたいと言うので,一般的な登山時期や日本人の標準的コースタイムを話したが,彼女たちはもっと早く歩くかも.でも富士山は込み合って渋滞するからやはり無理かな~?
逆に韓国の最高峰ハンラ山(済州島にある漢拏山)について伺ってみた.一方の登山口から上り始め頂上に行き,反対側に下りるのに8時間くらい,春が最適かも.案内板はハングルだが,大勢歩いているし迷うことはないでしょう.でも遅くなると道が見えないので,朝9時にはスタートした方がいい,とも.いや~,9時どころか普通7時くらいにはスタートするのが普通だと思うが....
昔,家族でソウルに旅行したとき,訳も解らずホテルのシャトルバスドライバに滅茶苦茶怒鳴られ,以来対コリアントラウマに陥っていたが,今回はごく普通の優しい感じの人で,安心して眠りに就けた.