このマーベリック岩ハイク編では,2015/2/1(日)キャンプサイトで目覚め,朝食を頂き,水晶の谷を経てジャグジーと称される池に至りランチを頂戴し,午後ロライマ山最高地点マーベリック岩に至り,その後キャンプサイトに戻るまで,およびその過程で見かけた花の写真を載せました.
この日ロライマ山キャンプ場(12)から水晶の谷(13),ジャグジーを経てマーベリック岩(14)に至ったときの周辺ップは右のような位置関係になっている.
キャンプサイトの朝6時,洞窟内も明るくなってきた.ただしこの写真右奥のさらに奥の筆者テントまでは然程陽は入らないが.
私たちのシェフはまだ暗い朝早くから起きて,朝食の準備を始めてくれている.奥のテントからガソリン(またはケロシン)バーナーが点火され,シャーという音が聞こえてくるのだ.
ここでは水が貴重だが,遠くの水場から汲んできた水で,先ずはコーヒーやお茶を入れてくれる.コーヒーはネスカフェの場合とレギュラーの場合がある.ベネゼエラでは,西のアンデス山脈方面でコーヒーを産するようだ.
先ずトウモロコシ粉から作ったアレパ,ポークソーセージ,この後オニオンとトマトなどの野菜,それにケーキまで用意してくれた.いただきま~す.
たくさん食べて,プリンシパルホテル,つまりキャンプサイトを出発した.いまのところ雨はなく,薄日だが,ロライマ山にはカリブ海から流れこむ湿った空気と,アマゾンから寄せてくる空気がぶつかり合い頻繁に雨雲を造るので,天気はコロコロ絶えず変化するのだそうだ.そしてたとえ乾季でも空が急変することは,たった昨日一日だけの滞在でも納得できた.
キャンプサイトを出て,先ずは水晶の谷に向かった.岩盤上のトレイルは,踏まれて苔も層が剥がれ,白っぽくなった部分として識別できる.ただそれがはっきりしない場所もある,いや多いし,トレイルが水溜りで途切れている場合もある.
水晶の谷への途中,左手にマーベリック岩(Maverick Rock)が見えてきた.ガイドDさんの説明では,マーベリックの名は1970年代に製造された小型大衆車フォードマベリック(Ford Maverick)に由来するという.岩がその車のスタイルに似ているから....か?
途中池だけでなく,岩を上る場所もある.
水晶の谷(crystal Valley)に着いた.一面水晶,どちらかと言うと透明度の低い石英(quartz)と言う方がいいかな?,である.水晶の谷はここだけでなくロライマ山の上に複数箇所あるようだ.ジャラジャラ転がっているのを眺めるのはいい気分だ.これまで大分持ち去られてしまったが,昔はもっとジャラジャラしていたそうだ.なお,持っていくのは違法だそうだが,まあ普通そうでしょうね.
間近で眺めると水晶(石英)の結晶が,先の尖った六角柱であることから六方晶であることが見て取れる.二酸化ケイ素 (SiO2)の結晶だが透明でないのは他の成分も含んでいるからであろうか.
水晶と言えばその圧電効果を利用する水晶振動子で,正確な時計や,PCのクロック発振器など用途が広い.共振周波数は切り出す結晶の方向や厚さなどで決まるのだと思うが,現代は天然ではなく人工単結晶がよく使われるようだ.また水晶は他にアクセサリーとか,山梨では印鑑などにも使われると思う.
この写真は池の中のコオロギを写したものだ.撮り方がまずいので土の上と区別付かないが.バッタの仲間だが水中で餌を摂るようになり,そのうちエラ(のようなもの)ができ,水中で呼吸できるらしい.そんなバカな!まさか!....とこれには圧倒的に驚かされた.カエルの話は以前から聞いたり,読んだりしたことがあったが,このコオロギは初見で,とにかくびっくりした.私には今回の旅一番のびっくりトピックだ.
なおパライテプイロッジのゴキブリも,私のしつこい水攻めに耐え,ゾッとさせられたが....それとはちょっと異質だ.
水晶の谷からジャグジーに向かった.途中奇岩の多いエリアとなり,ここを通過する.空模様はちょっと怪しく,ガスが濃い.
途中こんな植物があった.結構大きい.ヘリアンフォラ(Heliamphora)というそうで,この薄赤い部分は花ではなく,葉っぱだそうである.葉っぱが丸くカールし,壺状になっている.それに花のように赤くなっているのがまた凄技と言えよう.そしてここに落ちた虫を溶かし,栄養を吸収するのだそうだ.上から覗きこんだがこのときはまだ何も捉えられておらず,空だった.
なお写真中央下が蕾で,咲いたヘリアンフォラの花は別の場所で見ることができた.下向きの花なので食虫機能はないのだと思う.
そのうちジャグジー(Jacuzzi)と呼ばれる池に到着した.水はきれいで透明度が高いので,池の底に散らばった水晶がよく見える.このジャグジーに浸かって,手に掬い,握った水晶で身体を拭くと幸せが訪れるという.ただ水温は低目で,今回入る人は居なかった.
ジャグジーの流れはきれいで,飲めて,また食器も洗える.それと上手いことに陽も射してきた.ということでここでランチとなった.パスタに何か...だった.やはり陽射しの下のピクニックランチは美味しかった.
下は,ジャグジー辺りでの写真
この辺りだったと思うが,白人3人組トレッカーに出会った.ロライマ山頂滞在3日間で会ったトレッカーは後にも先にもこの人たちだけだった.非常にトレッカーが疎ら,空いている山だ.
ガイドDさんに伺ってみたが,昨年氏がここに登った(ガイドした)のは4回,今年は私たちのこのツアーが初めてだそうだ.確かにここが専門のガイドさんにしても疎らですね.
ジャグジーからマーベリック岩へと進んだ.途中隣のクケナンテプイを望むところを通過した.間の谷は雲が架り霞んでいるが,クケナンの頂きもほぼ平らで,標高は2,600mだそうだ.
いよいよマーベリック岩麓に達し,登りにかかる.途中泥濘みがあったり,急勾配の岩場があったりと,なかなかハードなトレイルだ.泥濘みがあるくらいなので,土が堆積しているようで,比較的大きな木も生えている.
そして頂上に出た.写真は南西方向,プリンシパルホテル(キャンプサイト)前の南西壁を望む光景だ.断崖の上の平らな頂き,断崖下に広がる緑のグランサバナ,典型的ギアナ高地の眺めだ.素晴らしい!
少し西のサバナには,一昨日一泊したパライテプイや,今度訪れるテック川キャンプ方面を望むことができる.いい眺めだ.
ここはロライマ山最高地点にきたので,登頂記念撮影.高々2,810m,他愛ないけど平和だしまあいいんじゃないの.
下は,マーベリック岩に至るときの写真
マーベリック岩での眺めに満足した後,下りにかかった.先ず急な岩場を尻擦りで下り,写真の泥濘み帯に入った.殆ど岩だけのロライマ山トレイルでは珍しいエリアだ.
泥濘み帯を抜けるとガレ場だ.まあこれは特段変わったトレイルではないので,ガンガン下る.
そして普通の平坦部に出た.後はキャンプサイトに戻るだけだ.
キャンプサイトに戻り,お茶とおやつを頂く.あまり大降りに遭わず,マーベリック岩でいい眺望が得られた.良かったな~
そのうち陽が落ちて暗くなった.そして洞窟の要所にペットボトルのケロシン灯が点された.
夕食はローストチキンにボイルドポテト,他.それに赤ワインだ(←やったー!),今回のチキンや昨日のビーフは全て荷揚げした生肉からの調理で,缶詰や冷凍肉でないのが自慢と,添乗Sさんの触れ込みがあったが,確かに美味しい.
名は不明だが幾つか,多くは前日と同じものが咲いていた.下段中央はジャグジーの近くで見たヘリアンフォラ(Heliamphora)と呼ばれる食虫植物(筒状に丸まった葉っぱで捕捉する)の花.