この3国国境ハイク編では,2015/2/2(月)ロライマ山キャンプサイトで朝目覚め,朝食後先ず奇岩エリアを通り,谷を越え,大きな井戸状のシンクを経てベネズエラ/ブラジル/ガイアナ3ヶ国の国境トリプルポイントに至った.そしてそこで昼食後,キャンプサイトまで戻ったが,そのときの行程,およびこの日見かけた花の写真を載せた.
この日はロライマ山キャンプ場(12)とトリプルポイント(15)の間を往復する.総行程24km,8時間の予定だ.
前述のように小用は,野原に出て,適当な場所を探して用を足す.夜中に起きて,ヘッドランプで足場の悪い道を辿り,適当な厠を探す.幸いこの夜,夜半過ぎ,快晴(急変はあるが)で足下の道も,空の天の川もよく見えた.それと,立ちxxx中,顔を向けた方向がちょうど南だったようで偶然南十字星(Southern Cross)が見えた.ここは北緯5°10'くらいなのだがよく見える.クロス右端の星は少し上にズレ,また暗い.なおクロス全体の向きは時間で多少変化する....かな?
晴れていたので早起きして,5:40AMヘリポートのある南西壁際に行ってみた.カールした南西壁北側断崖とその向こうにクケナンテプイの断崖が軽く焼けている.クケナン頂きの雲はプディングに載せた濃いクリームのように平たく覆い被さっている.また裾野の緩い傾斜の緑のサバナも実に雄大だ.すばらしい!
崖際から戻ると,なぜか今日はアラブ風装束のシェフが朝食の準備を進めてくれていた.朝日が射し込んで手元が明るそうだ.私たちは早速朝のお茶を頂戴した.
朝食のメニューはヌードルスープ(インスタントラーメン),パンケーキにポークソーセージ,サラミ....に,写真スイカのデザート,特に美味しい.
ここでヌードルスープ(インスタントラーメン)は日本の味と近く驚く.国によっては食べられないほど変な味もあるのだが,聞けばブラジル製で,ブラジルには日系人も多いことからこうした味のものが生産されているのかな~という見方もあった.
なお,最近原油安でベネゼエラ経済は大変,スーパーの棚には商品がない(実際後日カラカスのスーパーを訪れたが,空ではないものの商品は少ない)....とNHKや新聞で報道されていた.ベネゼエラでは,こうしたラーメンまで含めて殆どの商品はブラジルからの輸入に依存しているそうで,原油輸出収入(輸出総額の9割以上だそうだ)が激減して現在大変なわけだ.
この日は北の3ヶ国の国境トリプルポイントに行くグループ(2/3くらいの人)とグアチャロ(Guacharo)洞窟まで行くグループ(1/3くらいの人)に分かれてハイキングに出掛けた.トリプルポイントグループは行程が長いので若干早め7:15AMに出発した.
暫く行くと池があった.ガイドDさんから,『ここの水はきれいです』と言われ,水筒に補充した.この辺りに家畜はもち論,野生動物もおらず,キャンプサイトもなく,水は滞留無く流れているのでクリーンということだ.
出発からい時間余り,奇岩の多いエリアにやってきた.青空が広がり,陽が燦々と降り注ぐのが何より気持ちよく感じられる.暫く持って欲しいものだ.
20億年,風雨に晒され,侵食されてできた岩だ.いろいろな動物に見立てられる形態が愉快だ.
歩き始めて3時間ほどすると,キャニオン(Canyon)と称する大きな谷にやってきた.名の通り谷は周りより深く抉られ,水が溜まりやすい地形で,緑の草が茂っている.雨季には池のようになるのであろうか?
私たちはこの谷を越えて,北側に渡った.以下通ったトレイルからの写真.
はっきりした道があるわけではないが,谷を横切り,対岸に登った.これまでのところ結構晴れていてラッキーだ.
谷の向こうに渡ってからなお北進する.やはり奇岩を見下ろす岩盤のトレイルだ.ただこの辺りは岩飛びの箇所がしばしば現れる.続けて4段飛びのところもあり,懸命に飛んだ.
暫く行くとこんな大きな池というか,滝壺というか,...が現れた.ガイドさんはピット(Pit)と呼んでいたような....池にしてはバカに深い.インドヒマラヤで見た狼のトラップを思い出した.しかしここの穴はあまりに巨大だ.恐竜のトラップにちょうど良いくらいの大きさだ.
中央から流れ落ちる細い滝の滝壺にしては,やはりあまりに巨大で深い.
で,結局何なんでしょう.細い滝と丸く深い様相からシンク(sink)か,でもやはり巨大だな~
池を後に,トリプルポイントめがけて最後の登り(標高差は大してないが)に入った.うん,まだ好天は続いている.ありがたい.
もうすぐ到着だが,その前にちょっと一息.たしかこの辺りも岩飛びが多かった気がする.多分その一息であろう.
ベネズエラ/ブラジル/ガイアナ3ヶ国国境トリプルポイント(the triple Point)に到着した.三角錐の白い標識が立っている.三角錐の各面はそれぞれの国を向き,その国名が記されている.写真はベネゼエラの面で,従って撮影しているカメラはベネゼエラ領域にある.
三角錐のここからは見えていない,右背面は南東を向き,背後はブラジルである.国名を記した金属パネルは剥ぎ取られているが,金属鋲を打ち込んで記したBrazilの文字は残っている.
左面は北で,ガイアナに面している.ただ国名を記した金属パネルおよび金属鋲は剥ぎ取られている.ガイアナとブラジルは不仲で,ブラジル人が剥ぎ取ったとか.ブラジルパネルもないので,半分やり返したか...?
とりあえず私たちは三角錐をぐるりと回って,数秒で3カ国周遊を行った.不法入国かな?以前ブラジル,アルゼンチン,パラグアイ3国国境を訪れたことがあったが,実際の国境は川の上,モニュメントだけ陸上にあり,何となく違和感を覚えたものだが,その点ここは両者一致でよろしい.他愛ないことだが.
ここではちょうど昼時になった.スタッフの皆さんが運んでくれたランチを狭い頂上に座って頂戴した.
私たちはベネゼエラ側からここに到達したが,ブラジル側とガイアナ側はこの写真で見えるように大岩ごろごろでルートはないそうである.ただこの近くを通過してブラジル領内のキャンプサイトには行けそうである.
ただしロライマ山そのものにブラジルから,若しくはガイアナから登るトレイルは皆無で,私たちが明日下るベネゼエラのルート1本のみであるそうだ.
一休みしているうちに雲が多くなった.そして少しぱらついてもきた.でも大したことはない.
添乗Sさんの経験ではここまで全然降られずに来れたことはあまりないそうで,かなりラッキーだったわけだ.
トリプルポイントでランチの後,下り(戻り)にかかった.若干の違いはあるが往きと概ね同じルートを辿るそうだ.尤もどこも地形が似ているので,同じでもなかなかそうとは思い出せないのだが....
緑が多いので谷(キャニオン)の辺りであろう.あまり雨がないので路面は滑らず安心して歩ける.やはり晴れているのは楽だ.
往きで通過した谷(キャニオン)の南側対岸に出た.ここで腰を下ろして一休みだ.
多分キャンプサイトまであと1時間くらいという地点まで戻った.岩の池は少し流れているようだ.一休みして,周りを見渡すとそれなりに花が咲いている.
名前はからきし判らないが,今日も新たに見かけた花があった.これ以外にもあったのだがブレ過ぎていて残念だ.
ということでトリプルポイント行きハイクは無事終わった.キャンプサイトに戻り,お茶を頂いた.グアチャロ(Guacharo)洞窟から戻ったTさんが撮影した毒グモ(タランチュラ)の動画を見せてもらった.なかなか見ることができないそうで貴重だ.
暫くして夕食となった.メインはビーフ,パスタ,玉ねぎ,キャベツで,それにワインに加え,ロライマ山最後の夜ということでロン(Ron)と呼ばれるラム酒も出してくれた(写真左のグラス).サトウキビを原料にした蒸留酒で強い酒だ.料理も美味しかったし,ガバガバ飲んで,いささか飲み過ぎた.ごちそうさま~
さて明日は下りだが,結構距離があるようだ.