ロライマ山へ飛ぶfly to Mt. Roraima

このロライマ山へ編では,2015/1/31(土)朝,ロライマ山麓パライテプイで目覚め,ヘリ発着のため天気回復を待ち,午後になってロライマ山に飛び,一旦キャンプサイトで軽く休憩し,少しして周辺のハイキングに出掛けたときの写真を載せました.


パライテプイ~ロライマ山キャンプ場周辺のGoogleマップ

さてこの日2015/1/31(土)は,午後の天候回復後ロライマ山麓パライテプイ(11)からロライマ山ヘリポート(≒キャンプ場にほど近い)(12)に飛んだ.マップはその辺りを示す.

朝のパライテプイin the morning at Paraitepuy

朝6時パライテプイにヘリ飛来

朝6時パライテプイにヘリ飛来

2015/1/31(土)朝になった.この日はヘリ飛行気象条件が有利と見られる早朝にロライマ山に飛ぶ予定で,朝6時,ロッジ前ヘリポートにダッフルバッグ(8kg以内)を並べ待機した.そして予定通りその時間にヘリは飛来してきた.

私たちは3組に分かれ,乗るシートは適正な体重分布となるよう,U社長(上様)から厳密に指示されていた.しかしである,ここパライテプイと違って,写真左手ロライマ山は厚く雲で覆われており,有視界飛行のヘリは降りることができないという.残念!


正確なヘリの着陸

正確なヘリの着陸

予定通り飛べなくなったヘリの,U社長と長年協業し,その腕に太鼓判を押しているというパイロット(名前失念)はここパライテプイから遠くロライマ山を監視し続け,また何回か調査飛行をして戻ってきた.しかしなかなかランディングできる条件までには好転しないようだ.

で,ここに降りたときのこの写真であるが,H字型に並べた石の上にピッタリ脚が合っている.見事だ.逆に視界がないと位置も高さも不明で,無理すればクラッシュも起こりうるであろう.

機体にはBell Long Ranger Ⅲと記されている.ベル社1977年製造開始,クルー1+客6(私たちは5人で)の機体のようで,軍用や産業用に多用され,日本でも警視庁,大阪府警などで活躍しているようだ.


パライテプイロッジ管理家族の皆さん

パライテプイロッジ管理家族の皆さん

パライテプイロッジにはロッジと同じ形式の建物少なくとも2棟に,管理や賄い担当,いやオーナーか?の家族の皆さん,4家族?が住んでおられる.住民はロッジ下の本村を含めて,先住民(ペモン族?)主体だそうだ.南米の先住民はインデオ(インデアン)と総称されているが,祖先は大昔アジアからアラスカ経由で渡ってきたそうで,なるほど大まかにはアジア系の容貌に似ている.見たところ子供の数が多く,とりあえず少子化の心配はなさそうな様子だ.

ヘリが飛べず暇なのでU社長が先住民についていろいろ話してくれた.一つに一夫二妻の習慣があるそうだ.U社長もそれには賛成だそうだ.へえ~,カトリックなのに重婚?と思って訊いてみると,森に住む先住民はクリスチャンではない.数年前白人が森に踏み込んで殺害されたこともある.また一夫二妻は愛から生じたシステムではなく,生活上最も重要な狩りをうまく行うために生まれた仕組みだ,ということだ.というわけだが,近年は変化し,この辺り(草原)に暮らす部族も普通に一夫一妻のようである.

ところで森で暮らす部族の狩りの対象には,サル,アリクイ,カピバラ,ジャガー,ピューマなどがいて,後者2つの猛獣は草原に出てくることはないそうだ.安心した.狩りのツールとして毒吹き矢を使うそうで,後日その材料となる立ち木を見せてもらった.


パーティの準備

パーティの準備

大屋根のダイニングルームの脇にトラックが到着し,大型テント3張りの組み立て作業が始まった.パライテプイの村で15歳になる少年がいて,今夕ここでそのパーティを催すのだそうだ.ダイニングルームだけでも随分大きいのに,それはそれは大規模なパーティで,大勢集まるのであろう.15歳と言えば元服祝いのようなものであろうか?


パライテプイのポーターとキッチンボーイの皆さん

パライテプイのポーターとキッチンボーイの皆さん

ヘリが飛べないのでお昼近くになった.ポーターの皆さんも運ぶ荷物とタイミングを見ながら様子見で,とりあえず早飯ランチとなった.皆さんはヘリでなく,ベースキャンプまで車,そこから歩いてロライマ山に上ることになっている.

皆さんは全員ここパライテプイ住まいだそうだが,こうしたトレッキングサポートがここの生業の一部になっているのであろう.ネパールのシェルパ族のように.


ビーフシチューとバナナ,チャーハンのランチ

ビーフシチューとバナナ,チャーハンのランチ

ポーターとキッチンボーイの皆さんに続いて私達も同じものを頂戴した.ビーフシチューとバナナ,チャーハンであった.ビーフは硬いがなかなか美味しかった.

ロライマ山に飛ぶfly to mt. Roraima

午後1時過ぎ飛び始める

午後1時過ぎ飛び始める

ロライマ山ランディング地点に視界が得られるようになったそうで,午後1時過ぎ飛び始める.当初予定から7時間遅れだが,もしこの日飛べなかったら翌日歩いて上るという代替案があっただけに一安心だ.翌日歩きだと,きょう午後予定のキャンプ周辺ハイクと翌日予定のマーベリック峰ハイクが潰れるのだ.

U社長が一人ひとり体格を見てシート割り振りを指示している.ヘリとはかなり微妙なものであるようだ.そして第一陣のフライトで,離陸直後,ヘリポート先が崖になっているのだが,ここに急降下した.パイロットはわざと急降下し,ギャーという悲鳴を楽しむようだ.U社長のスマホには,私たちとは別の客が,正しくギャーギャー叫ぶ動画が録画されており,見せてもらった.


ヘリはロライマ山に近づく

ヘリはロライマ山に近づく

第一陣のフライトから戻ると,私たち第二陣が乗り込んで,直ちに離陸した.燃料消費を抑えるため,人も荷物も迅速な乗り降りが求められた.実際今回は気象偵察フライトで燃料をかなり消費してしまったそうで,ロライマ山フライト後のオプション遊覧飛行は見送りとなった.

離陸後,ロライマ山までの雲の位置は高いので,草原は良く見下ろせた.ロライマ山も平たい頂は雲が覆うが,断崖稜線辺りは大丈夫なようだ.ヘリポートはこの断崖の縁にあるので無事ランディングできるであろう.


反対側にはクケナンテプイが迫る

反対側にはクケナンテプイが迫る

反対側(左側)の窓には,ロライマ山西に位置するクケナンテプイが迫って見えた.このレンズは超広角なのでその感じが全然捉えられてないが,実際は間近に立ちはだかって見えた.ヘリはクケナンの南壁手前から東向きにロライマの南西壁へと連続的に飛ぶようだ.


ロライマ山ヘリポートに到着

ロライマ山ヘリポートに到着

程なくロライマ山ヘリポート,と言ってもHのマーキングなど何もないが,に到着した.標高2,720mというから,1,100mのパライテプイから楽して1,620m上がったわけだ.黒いゴツゴツの岩肌のすぐ脇は垂直に切り落ちている.南西壁だ.雲で見えなかったり,強風で煽られたら断崖下に落ちかねないのがよく判るというものだ.実際ギアナ高地ヘリ飛行では,一年に一機くらいの割合で墜落などの事故があるらしい.

なおヘリポートHのマーキングがないのは,徹底的に元の環境保全を図るためであろうと理解した.何しろこれから歩くトレイルやビューポイントには道標やマークが全くないのだ.トイレも小は許容しているが,大は持ち帰りで,ビニール袋で用を足し,石灰を掛けて封をし,これをまとめて上述のポーターさんが下まで運んでくれるのだ.ありがとうさん.またそんな訳で個人でトレッキングに訪れるのは困難ではないだろうか.


ヘリは引き返す

ヘリは引き返す

私たち第二陣が降りると,ヘリは直ちに引き返えしていった.きっと次の第三陣まで天気は持つであろう.(過去にはグループの途中で飛べなくなったケースもあるそうだ)

地図を参照するとロライマ山の下山ルートは,このヘリポート際の南西壁を,南東方向にトラバースしながら下るようだ.私たちはヘリで楽したが,上りは北西方向トラバースとなろう.


私たちはキャンプサイトへ歩く

私たちはキャンプサイトへ歩く

ロライマ山にはヘリの降りれるポートとキャンプサイトは複数箇所あるという.今回は来るのは遅れたが,ヘリポートもキャンプサイトも第一候補のポイントを確保できたようだ.確かにキャンプサイトは歩いて直ぐそこにあった.Sさん経験の過去ツアーではキャンプサイトまで銀マットを抱えて,1時間歩いたときもあったそうだ.

キャンプサイトまでの短いトレイルは,これから3日間歩くトレイルの全ての要素が凝縮されていた.早い話,ロライマ山の上は若干の凸凹のある全面黒い岩で,凸部は岩の丘,凹み部に少しの泥と水を蓄え,そこに幾らか灌木や草が生えている.そしてそれが全エリアに繰り返し広がっている.単調で変化が少ないとも言えよう.一人で道に迷ったら戻れなくなるのは請け合いだ.3年ほど前に,他社ツアーで実際花撮影に出かけ,戻れなくなった人が出たそうだ.

さてこのサイトであるが,旅行社から頂戴した案内図を参照すると,多分プリンシパル(Principal)サイトのようである.同案内図ではロライマ山のキャンプサイトは洒落でホテルと称されている.全部で8つのホテル中,トリプルポイント先,ブラジル領内のCoatiホテルを除けば,全てロライマ南西壁(ベネゼエラ)際,この界隈に立地しているようだ.


ロライマ山の洞窟キャンプサイト

ロライマ山の洞窟キャンプサイト

ヘリポートから歩き,この洞窟キャンプサイトに到着した.洞窟正面岩棚はキッチンとして,青ジャケットのシェフが腕を振るっている.チーフガイドDさんは食事の時間など指示しているようだ.キッチン手前の石は,私たちのこれから毎食の立食ディナーや朝食のメインテーブルとなる.なおスタッフの皆さんは第一陣に先立って飛んできていた.

洞窟なので雨や風を防ぐことができ,まあ都合よい場所があったものだ.なお上述の持ち帰り用トイレはこの右奥に,一応ブルーシートを下げ,大きな缶から(石油缶か)にビニール袋を敷き,便座を置いたもので,脇に石灰粉と替えビニール袋,まとめ持ち帰り用大きな袋を用意してくれた.

ロライマ山テントサイト

テントサイト

キッチン両側にテントが張られた.オレンジが二人用で,グリーンは一人用だった.トレッキングで一人用タイプだった経験は初めてだが,狭くてダッフルバックがぶつかるということはなく問題ない.それよりインナーはメッシュで,フライのサイズはインナーとさして変わらず,また前室もないので,洞窟でなく,普通の屋外雨ジャージャーの場所では多分使えないだろうな~と思われた.

私のテントは奥の方にあったので,事前に聞いていた予想気温ほどに下がることはなかった.それとテント外に汗で濡れたシャツを広げておいたが,乾くどころかむしろ全体に濡れが広がった感じがした.湿度は高いのではなかろうか.

まあそんな訳で,湿度は高いながら外気温が高いので,前回マカルーBCトレックでは凄かった寝袋の結露や吐く息の結露などの心配はもち論皆無で,従って寝袋の乾燥は心配しなくて済む.

周辺ハイクhike around the mt. Roraima camp

周辺ハイクに出かける

周辺ハイクに出かける

全員到着し,ちょっと一休みの後出発した.20億年前からあり,地球最古の地層だと聞く表面は黒い岩だ.それらは砂岩と頁岩(けつがん)が主だそうだ.全然想像つかないのだが20億年というレンジに感激する(←ミーハーだ).

それと灌木や草もそれなりに茂っている.ただ標高2,720mと低く,しかも北緯5度10分と緯度が低いに拘らず,大きな木はない.想像するに窪み部の泥は僅かで,草木の根っこは直ぐ岩盤に行き当たるためであろうか.


ロライマ山の水溜り

ロライマ山の水溜り

ロライマ山は岩なので雨水は下に染み込まず,岩の窪みに溜まっている.大雨のとき,保水力のないロライマ山から流れ落ちる川はきっと激流となるであろう.


ガイドDさんがオレオフリネラ(Oreophrynella)発見

ガイドDさんがカエル発見

歩いていると,チーフガイドDさんがカエルを見つけ,皆が集まった.小さな黒いオレオフリネラ(Oreophrynella)と呼ばれるカエルで,大方老眼ではなかろうかと思われる私たちには見つけられない代物だ.


これがそのオレオフリネラ

これがそのオレオフリネラ

これがそのオレオフリネラだ.どなたかの指とレンズ鏡胴を見比べると小ささが判る.黒い小石のようであるから,周囲に紛れて分かりっこないのに,よく見つけましたね.なおひっくり返すとお腹だけは鈍い黄色で,『腹黒いカエル』の汚名を着せられる危険を未然に回避している.賢い!何億年も伊達に生き延びてきたのじゃない.

オレオフリネラは恐竜時代から生き残るという原始的なカエルで,卵で産まれるが,オタマジャクシにならずいきなりカエルになるという.そして骨格未発達で水かき無し,跳べず,歩くのも泳ぐのも苦手なのだそうだ.実際掌に載せてもじっとしている.そんなのが生き延びてきたのはこのギアナ高地が隔離され,天敵がいなかったためだとか.実際3日間ロライマ山の上を歩いて,生き物は殆ど見なかったので,天敵もなにも動物があまりいないのだ.

はっきり言ってちっとも綺麗でも可愛くもない.でも恐竜は絶滅したのに,同じ時代から生き延びてきたと聞くとやはり,スゴイな~と思わずにはいられない.それとオレオフリネラはどのテプイにもいるというわけではなく,ここロライマと隣のクケナンだけに棲息するそうだ.


ロライマ山の草

ロライマ山の草

生えている灌木や草は丈が低いなど,高山植物的様態に見える.なおギアナ高地(確か狭い意味,テプイで)全体では4,000種の植物があり,その中の75%が固有種だということだ.そしてロライマ山の上の植物はその中の幾らを占めるのだろうか....

ロライマ山の上では特にパイナップル科の原始植物が多いそうだ.この写真で左下の草が葉っぱの形からパイナップルの仲間かと思われる.山上地層は水は染み込まず,大雨で常時洗い流され,栄養ある土成分が大幅にたりないのだそうだ.そんな栄養不足を補うため,食虫植物が発達し,幅を利かしているそうだ.後日その花を見せてもらうことになるが,今から楽しみだ.食虫植物は花で虫を捕らえ,溶かし栄養を吸収するそうだ.同じ栄養補給のためかどうか解らないが,以前キナバル山でウツボカヅラを見たことがあった.

別ページに記したようにグランサバナ麓エリアで家畜がいないことに対して,ガイドDさんの草の栄養分不足のためとの説明に納得しきれていなかった.だか戻った今,改めて考えるに,山上の栄養不足水分が流れ落ちる麓でもやはり栄養不足の土壌となり,草も栄養不足,家畜の餌にならない....のかも知れない.いくらか納得だ.


周辺ハイクで見かけた花

地味ながら幾つか咲いていた.中段右端はヘリアンフォラ(Heliamphora)と呼ばれ,食虫植物だそうである.ただこの花ではなく,筒状に丸まった葉っぱで虫を捕らえるそうだ.実物には翌日お目にかかる.

最初のトゲトゲのある赤い花はモウセンゴケの仲間で,やはり食虫植物だそうである.でもどうやって虫を捕らえるのだろう?やはり花ではなく,葉っぱで捉えるのかな....?葉っぱ撮り損ねたが....

周辺ハイクで見かけた赤花(1)周辺ハイクで見かけた赤花(2)周辺ハイクで見かけた赤花(3)
周辺ハイクで見かけた赤花(4)周辺ハイクで見かけた黄花(1)ラン周辺ハイクで見かけた赤花(5)
周辺ハイクで見かけた白花周辺ハイクで見かけた黄花(2)周辺ハイクで見かけた赤花(6)

キャンプサイトに引き返す

キャンプサイトに引き返す

この日は当初毒クモが棲むというグアチャロ(Guacharo)洞窟まで行く計画であったが,スタートが遅れ,暗くなる恐れがあるため途中で引き返すことになった.帰り道途中から雨が強くなりだした.ここの天気は急変するのが常だという.カッパは常時着ているのがいいようだ.実際皆そうしていたが.


戻ってテントで寛いだ後夕食となった.岩のテーブルにはパスタ,トマトとキャベツ,ビーフシチューなど用意されていた.それと赤ワインもあった.やったー!! ヘリの積み荷はグラム単位で(←誇張です)厳しく管理するが,ワインをちゃんと別枠で確保するのがU社長流ツアーサービスなのだそうだ.ワインも料理もとても美味しく,たくさん頂いた.

これで今日はおしまい.また明日,お休み~



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