トレック3日目:タボバンへtrek day 3: get to Tapoban

このトレック3日目:タボバンへ編ではゴウムクを出発し,ガンゴトリ氷河を越え,アマルガンガ川を渡り,タボバンに到着するまで,およびタボバン着後ネルタール(湖)とアシュラムを廻ったときの写真と記事を掲載した.

ゴウムクを出発leave Gaomukh:標高3,890m

ゴウムクを出発

ゴウムクを出る

ゴウムクの朝,雲は多めだが良さそうな天気.ポーターの皆さんがテントをたたんで出発の準備をしてくれた.

シェフから渡された弁当は質素で毎日代わり映えしないが,まあ場所柄仕方あるまい.サンドイッチまたはチャパティ,ゆでジャガイモ,硬い皮のみかん,チョコバー,ビスケット,ジュースなどだ.


朝のガンガー源流

朝のガンガー源流

タボバンへのルートは前日出かけた氷河の終わり,バギラティ川,つまりガンガーの始まり/牛の口脇を通過する.朝日が当たりいくらか氷河らしい表情を見せている.牛の口(ゴウムク)は別に形態がそうだということでなく,シヴァ神の聖なる乗り物,牛に由来するであろうことは論を待たないであろう.

この氷河も後退しているそうで,巡礼者も徐々に奥まで進むことになるのであろう.

ガンゴトリ氷河Gangotri Glacier

ガンゴトリ氷河を渡る

ガンゴトリ氷河を渡る

牛の口を過ぎるとガンゴトリ氷河に至り,氷河右岸から左岸へ(北から南へ)渡り始める.ただ氷河は大きな岩石が堆積しており,氷の上に直接足を置くことはない.岩の間から氷がチラリと見えるところもあるが,殆ど目に入らないに等しいと思う.

氷河の名はバギラティとかでなく“ガンゴトリ”氷河であるが,これは,数千年前までは現在のガンゴトリに終端があったため,と聞いた.数千年前のことでは真偽の確かめようがなかろうが,他の氷河の後退から推量すれば真であろうかも.


ガンゴトリ氷河対岸で一休み

氷河対岸で一休み

氷河を渡り切るとサイドモレーンに至る.ただ上述のように氷河上にも岩石が厚く堆積しているのでどこまでが氷河で,どこからサイドモレーンかは判然としない.

ここは渡った後(多分)の場所で,小さな池があり,氷河上流にバギラティ第2峰,第3峰が大きく見えていた.第1峰は第3峰の背後になったようだ.

またバギラティ山群の右に見えるのはカラチクンド峰(Kharch Kund:6,700m)ということだ.カラチクンドとはヒンディー語で『四つの柱』の意だそうで,Ⅰ峰よりⅣ峰まで連なって見えるらしい......が,ここからだとそこまではっきり見分けることができない.


下は,ガンゴトリ氷河を渡るときの写真.岩ゴロゴロ,氷河湖が所々に.

ガンゴトリ氷河を渡るときの写真
ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真
ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真 ガンゴトリ氷河を渡るときの写真

アマルガンガ川Amar Ganga

裸足になってアマルガンガを渡る

裸足になってアマルガンガを渡る

ガンゴトリ氷河を渡ると,今度はアマルガンガ(Amar Ganga)と云う小さな川に沿うトレイルを遡ることになる.アマルガンガは,目指すタボバンに源を発しているようだ.トレイルはアマルガンガの両側にあり,下から見ると川の右側,つまりアマルガンガ左岸側のトレイルが相対的に容易であるそうだ.今回はガイドSさんの判断でそちらを登ることになった.

容易ではあるが,一旦アマルガンガを横切る必要があり,ここで皆裸足になり,裾を膝までめくり上げた.恐るおそる川に入ると,冷たいのなんのって,正に凍てつくようであった.


アマルガンガを登ると広~いタボバンへ

アマルガンガを登ると広~いタボバンへ

アマルガンガを渡り,再び靴を履いて歩き出す.大岩ごろごろ,崩れ易い場所も多いかなりのガレ場が続いた.筆者には大変な道であまり余裕はなく,安全のため写真撮影も避けた.

そして登りきると,いきなり信じられない程広い,それまでの眺めから対比して大平原と表現したくなるような光景に至る.そしてそこは目指すタボバンはすぐそこ,目と鼻の先で,シブリンとメルー山が裾野からど~んと立ち上がるシーンが立ちはだかる.いや~すばらしい!

なお,シブリンは聖山であるが,カイラスやマチャプチャレと違って登山は許されているそうで,1974年6月,インド軍ITBP(Indo-Tibetan Border Police)が西稜経由で初登頂したそうだ.ガンゴトリからバスで下る途中たまたま屋根にITBPと大書きされた兵舎の集まった場所を通過したのが印象に残る.

また日本人では,1980年東大スキー山岳部の山本さんらが北稜から初登頂,1983年中尾さんらが南壁中央稜初登頂など,多くの方が登っておられるそうです.


下は,アマルガンガ川を渡り,脇の道を遡るときの写真.今回トレックのハイライト.

アマルガンガ川を渡り,脇の道を遡るときの写真
アマルガンガ川を渡り,脇の道を遡るときの写真 アマルガンガ川を渡り,脇の道を遡るときの写真 アマルガンガ川を渡り,脇の道を遡るときの写真 アマルガンガ川を渡り,脇の道を遡るときの写真

タボバンに到着arrived at Tapoban:標高4,463m

タボバンキャンプサイトに到着

キャンプサイトに到着

タボバンのキャンプサイトに到着した.上にも記したが,このような広い平原が待っていようとはとても信じられなかったことだ.野生のアイベックスはいるが,チベットやネパールと違ってヤクや羊などの家畜はいないので地雷の心配もなさそうだし,いいところだ.


北側の山

北側の山

タボバンは周り全部山が見える.北側峰々で,写真左側の雪峰はヨゲスワル(Yogeswhar:6,678m)という山だそうである.こうして見ると,主だった山は皆6,000m級でヒマラヤ山系にしては比較的低くまとまっていると言えようか.

なおこの日ここでテントを張っていたのは我々のグループだけで,左端モスグリーンはキッチン,中央のブルーはダイニング,黄色は一人ひとりのテントだった.


下は,タボバン到着までとそこでの写真

タボバン到着までの眺め
タボバン到着までの眺め タボバン到着までの眺め タボバン到着までの眺め タボバン到着までの眺め タボバン到着までの眺め タボバン到着までの眺め タボバン到着までの眺め

ネルタールNeel Tal

ネルタールは干上がっていた

ネルタールは干上がっていた

ネルタール(Neel Tal)とは青い湖の意だそうだ.時間はたっぷりあったのでそこまで出掛けることになった.ここもガレ道であるが距離はあまりなく,手ごろな周回コースのようだ.しかし登ってみると,乾季に入り干上がってしまったようで,青い湖のかけらも見られない.干上がった跡は周囲の岩ゴロゴロと同じような眺めで,言われなければ痕跡も判らないくらいだ.雨季が来れば青い湖として蘇るのであろう.

湖が無くなっていたので,稜線伝いに少し上まで登り,キャンプサイトに戻った.高度計で見ると一番高いところでキャンプサイトから90mほど登ったようであった.なので今回トレッキングの最高到達地点は4,463m+90mで,4,500mくらいと云うことになろう.


下は,幻のネルタール周遊時の写真

幻のネルタール周遊時の眺め
幻のネルタール周遊時の眺め 幻のネルタール周遊時の眺め 幻のネルタール周遊時の眺め 幻のネルタール周遊時の眺め 幻のネルタール周遊時の眺め 幻のネルタール周遊時の眺め

アシュラムAashram

アシュラムで2年間無言の行に励んでいるサドゥー

2年間無言の行に励んでいるサドゥー

夕方アマルガンガの対岸にあるアシュラムの一つを訪ねた.写真中央が主のサドゥーの方で,既に2年間無言の行を続けておられるそうである.なので訪問者が普通に話しかけると,ノートに回答を書いて対応しておられた.当然なのかも知れないが,自炊のようで部屋の傍らには炊事設備があって,なべを火に掛けていた.筆者も煎り豆をどうぞと云う仕草で勧められ,頂戴した.ちなみにベジタリアンにとって豆は最も重要な蛋白質であるそうだ.


アシュラムでヨガ

ヨガ

どう云った内容か皆目見当がつかないが,訪問客と何かの対話を済ますと,帽子,上っ張り,2重の靴下....など脱ぎ,ヨガを披露してくれた.難しいことは全く理解していないが,ヒンドゥーのサドゥーにとって瞑想による精神統一などと同じように大事な修行の一つ......う~ん,やはり難しくて分からないが,身体的運動としても確実に効果があろう.

サドゥーの方とは直接関係ないようだが,このアシュラムの前で,インド人巡礼者グループと出会い,いきなりインタビューを受けた.このグループはインド中部の町から巡礼に来たそうで,ビデオカメラで撮影しながら巡っているようで,珍しい東アジア人種に出会ったので....と云うことのようだ.どこから?日本から.日本のどこ?トーキョー.インドをどう思うか?まあ,いいところでは.どの辺りが?....といったところだが,インド英語のアクセントはとても難解なのだ.

終わりに彼らが携えている布切れについて,一族共有の柄で,異教徒にとってもありがたい功徳をもたらすマントラを記したものであるぞ....とか何とか教えてくれた.異教徒に対しても分け隔てなく....というところが気に入った.グッドラック!


下は,アシュラムを訪れたときの写真

アシュラムを訪れたときの写真
アシュラムを訪れたときの写真 アシュラムを訪れたときの写真 アシュラムを訪れたときの写真 アシュラムを訪れたときの写真 アシュラムを訪れたときの写真 アシュラムを訪れたときの写真 アシュラムを訪れたときの写真

アシュラムから戻る頃シブリンとメルーには微かに夕日が当たっていた.タボバンの標高は4,463m,さすが夜は冷えて,テント内で0℃くらいまで下がった.翌朝アマルガンガの畔を歩くと縁に氷が見られたので,外は氷点下まで下がったようだった.今日は夕方になって寧ろ雲が晴れてきて良かった.さて明日はどうなるかな?



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