このコンドリリ展望ハイク編では,5月30日,アンデスレアル山脈コンドリリ山展望ハイクのために麓へ訪れるとき,コンドリリ展望ハイク,ラパスに戻るときの写真を載せました.
コンドリリ山は6で,手前7は行く途中通過するトゥニ湖,5はラパスからもよく見えるワイナポトシ峰である.これらは何れもアンデス山脈の一部レアル山脈(Cordillera Real/Real mountain range)の中に位置している.
5月30日(土)朝,私たちはランクルに分乗しレアル山脈の麓に向かった.この日乗った車両のドライバーはCaさんで,ガイドPさんのお父さんということだ.車は先ずラパスのすり鉢北の縁に上っていった.
乾季の今殆ど雨は降らないと聞くが,この日は実際快晴で先ず心配なさそうだ.
すり鉢上を西に進み,やがてエルアルトの街に入り,前日到着した国際空港前を通過した.この日は土曜のため道路はあまり混んでいないようだ.
エルアルトを抜けるとチチカカ湖に向かう街道を西に進んだ.この辺一帯『山と山との間に広がる標高の高い平坦な高原地帯』はアルティプラーノ(altiplano)と呼ばれるそうだ.
4,000m超の街道の両側は殆ど荒れ地のように見えるが,牧場や麦やジャガイモの収穫済と思われる畑もいくらかあるようだ.この街道脇は牛や羊の放牧が主なようで,リャマは少ない(街道を離れ山に向かうとリャマが主となる)
後にラパス在住のガイドCさんに聞くのだが,ラパスではリャマ肉は必ずしも一般的ではなく,スーパーでリャマ肉はあまり売られてないし,リャマステーキを食べたことのない市民も多いそうである.
この辺りではレアル山脈が西南にかけて走っている.幾つかのピークが間隔を開けて聳え,よく見える.添乗Hさんのお話では左(北西)からイリヤンプー(Illampu:6,368m),アンコーマ(Ancohma:6,427m ),コンドリリ(Condriri:5,648m),ワイナポトシ(Huayna Potosi:6,088m),チャカルタヤ(Chacaltaya:5,395m),イリマニ(Illimani:6,439m)だそうだ.
それでこの写真はイリヤンプーとアンコーマだったと思うが.....自信がない.
街道を少し進んだところで北の山道に折れた.無舗装の細い通りだ.道行く人や車は殆ど見られず,所々に農家が見える.農家は皆日干し煉瓦(アドベ)製で,藁葺き若しくはトタンの屋根である.雨が少ないので大丈夫なのであろう.アイマラ族系の人が多いようだ.
街道筋では多かった牛の放牧は見られず,殆どリャマとなる.馬も乗用であろうか少し見える.またアルパカはこの辺りでは飼われないという.土地や気候がリャマだけに適しているのであろう.
先方に見えるはワイナポトシ(Huayna Potosi:6,088m)だ.
トゥニ湖(Laguna Tuni:4,425m)に来た.背後はワイナポトシ.さざ波が立ち,逆さポトシは見えず.ワイナポトシの登山はこの辺りから入るようだ.高さこそ6,088mと,私たちの計画するウトゥルンコ山(Uturunco:6,008m)と大差ないが,こちらは完全な雪山で素人の登れる山ではない.
暫く行くとカジャンコタ湖(Laguna Kallan Kkota;4,550m)に出合い,背後には文字通りコンドルが羽根を広げた形に見えるコンドリリ峰(Condriri:5,648m)がよく見えた.あと少しで登り口であろう.
リャマが道を塞いでいる.ここでは人が疎ら,リャマが幅を利かせていい筈だ.それにしても毛がふさふさで暑そうだ.毛刈りがそろそろ必要では.
ワイナポトシ峰が近くになり,雲が取れてきた.雄大で美しい山だ.
ところでワイナポトシのポトシ(Potosi)と同名,銀山の街がラパス南東440kmにあるそうだ.かつては島根県の石見銀山と共に世界の二大銀山に数えられ,最盛期17世紀には20万人もの人口で南北アメリカ大陸最大の都市だったそうだ.海抜4,000mとラパス以上の高地に位置し,インディオの強制労働という犠牲の上で生産された銀はほぼ枯渇したが,錫,亜鉛や天然ガスなどはまだ豊富で,現在も13万人が暮らすという.
ランクルはコンドリリ峰の麓に到着した.名の通りコンドルが両翼を広げ立ち上がった姿を前から見上げているような感じだ.まじまじと眺めているとどこかで見かけたことがあるな~,デジャブかな~,そうだエベレスト街道のアマダブラム峰(6,812m)だと思い出す.アマダブラム峰の方が若干太めだが同じ雰囲気だ.
駐車場から歩き始めた.トレイルはよく整備されたいい道だ.
乾季の今,草は枯れてほぼ茶色の地面だ.そんな中で僅かながら花を咲かしている草もあって,いや~感心感心と思う.
向こうに湖が見えてくる.コンドリリ湖,正式にはチアルコタ湖(laguna chiar kota:4,660m)だ.
石を並べたトレイルでチアルコタ湖に下った.トレイルは近くに住む人たちの生活道路にもなっているようで,遠目ではあるが湖畔に人影を見かけた.ガイドPさんの話ではマスなどが棲息しており,その漁ではないかということだ.
幾らも歩いてないがチアルコタ湖畔に来たのでここで一休み.天気はいいし,気温は適温,湿気はもち論皆無,快適そのものだ.
チアルコタ湖はさざ波があり,逆さコンドリリの景観はイマイチだ.結構広い湖面なので余程の無風でないときれいな反射は無理かな.
コンドリリ=翼を広げたコンドルの意,は上述の通りであるが,本物のコンドルをこの辺りで見ることができるのだろうか?ガイドPさんに訊いてみた.すると,早朝来れば見えることがある,と云うことだ.
つまりコンドルは自ら羽ばたくことは一切なく,上昇気流に乗って舞い上がり,上空の気流で滑空する.この辺りでは早朝にペルーからの上昇気流があり,それに合わせてコンドルが空に上るという.
またコンドルは上空で探す食料は生きた獲物ではなく,死んだ動物だそうだ.見つけた動物が死後間もないときはまだ肉が美味しくないので,存在する場所を覚えておいて,肉が熟成する頃を見計らって再び食べに戻るそうだ.熟成させるとはまるでグルメな人と同じだが,途中で他の動物に横取りされないのでしょうか?
一休み後チアルコタ湖を巻き,少し上に進んだ.
チアルコタ湖の上に出て,ここが終点となる.出かけるとき頂戴した行動食をかじる.行動した運動量に比べ圧倒的にカロリーがありそうだ.
おやつの後,チアルコタ湖の東側トレイルを巻きながら,同じトレイルを下った.
どんどん下り,後少しで麓だ.チアルコタ湖から流れ出た川は下の方に続いている.こうしたレアル山脈に源を発する水がやがてラパスの水として供されるのであろう.
ランクルの待つ麓に到着し,コンドリリ展望ハイクは完了.ここでお弁当を貰い腹ごしらえ.満足した.
食後ランクルで再び同じダートの道に入り,下った.およそ4,600mから先ずは街道の4,100mまで下る筈だ.
走る道の脇,と言っても距離があるが,にはレアル山脈の峰々が連なっている.往きのときと違ってやはり山の上には雲が多くなってきたようだ.
途中,西の遠くにチチカカ湖が見えていた.写真で中央の青い横帯だ.遠目ながらかなり大きく,また美しい湖水を湛えている.近くまで行けず残念だ.
他ページで触れたように,ボリビアは1826年に独立し,ちゃんと太平洋にも面していたそうだ.それが19世紀後半,硝石鉱山の取り合いでボリビア~チリ間の戦争(太平洋戦争)となり,チリに負けて,太平洋につながる領土が取られてしまった.ただ海へのルートがないのは非常な不利益で,戦後も紛争関係は絶えることなく継続しているという.そして敗戦後も海軍はず~っと維持され,何とか海を取り戻さんとこのチチカカ湖で演習に励んでいるそうだ.
因みに南米ではパラグアイがもうひとつの海なし国だが,やはり経済的には貧しいそうだ.
こうしてコンドリリ展望ハイクを終えると車は街道を走りエルアルトのモノレール駅に至り,そこからモノレールに乗り換えて宿泊のCasa Grandeホテルに戻った.ちょっと物足りないハイキングだったが,まあ楽しかった.