このウトゥルンコ山ハイク編では,6/4(木)クエテナチコを車で出発し,ウトゥルンコ双耳峰コルに至り,ここからウトゥルンコ山登り開始.途中標高5,881m地点で事故がありコルまで下山,続いて車でクエテナチコへ戻り,預けた荷物を積んでビリャマルへ行き,宿泊.こうした一日の写真にキャプションを添えて載せました.
この日はクエテナチコ19を出発し,ウトゥルンコ山20のコルに来て,ここから登り開始.そして頂上20手前で事故のため下山し,クエテナチコ19の宿に戻り,続いてビリャマル16まで走った.
重なったブルー線のうちQuetena chicoから図最下端ウトゥルンコ山途中まで(午前),ウトゥルンコ山から一旦Quetena chicoに戻り,Villamarまで行く(午後)ときのGPSロガー記録に加筆.
ログを細かく見ると
登り開始/下山点は
緯度-22.262152,経度-67.195541,標高5,570m
到達点は
緯度-22.2623273,経度-67.184265,標高5,881m
と記録されていた.目標だったウトゥルンコ山頂上は6,008mの筈だ.
待ちに待ったウトゥルンコ山ハイクの日がやってきた.ということでクエテナチコはまだ明けず暗いが,いつもより早い7時半にロッジを出発した.明けてはいないが空を見上げると雲はなくいい天気になりそうだ.
クエテナチコを出た車は先ず東へと進んだ.暫くすると陽が射し,砂漠の団子状草が明るく照らされる.
朝のこの時間,東に向かう車からはどうしてもフレアっぽくなるが,ウトゥルンコの双耳峰が近づいて見えてきた.双耳の間のコルまでこの車が上る筈だ.
少し東に進み,車はいくらか南に舵を切り,コルを目指す.そしてなだらかな丘陵に突然荒々しい岩の壁が立ちはだかるエリアに出た.ちょっと変わった地形だ.
丘の斜面にアルパカの群れがいる.朝のお散歩中だが,私たちの車を不審げに眺め,警戒している.
4台のランクルはほこりまみれになりながら,大分東にきて,標高も高くなった.
そして東峰(左)と西峰間のコルが,随分広くはっきりと見えるようになった.ランクルはあの上まで行く筈だ.
コル目掛けて大分上った.そして雪が残るようになった.前日も不思議に思ったことだが,道路だけ雪が多いのだ.誰の悪意であろうか....?
それでも上らなくてはならないので,雪の上に砂利を入れたりしながら頑張ってもらった.とくにタイヤが摩滅しているのか,Caさんの4号車は苦労している.
2回めの深い雪の坂に遭った.ここではどう頑張っても4号車が上れない.仕方ないので4号車の皆さんには1~3号車に乗り移ってもらい,上昇を継続することになった.
さてこれで大丈夫かな~
分乗した3台のランクルは唸りながら頑張った.ただ上は一層雪が多くなり,傾斜もきつくなった.そして予定したコル5,700m地点の少し手前で降りて,歩き始めることになった.後でGPSのログを見ると緯度-22.262152,経度-67.195541,標高5,570m辺りのようだった.なお歩行開始も当初予定時刻を回っていた.
またここからは,新しく加わったウトゥルンコ山専任ガイドMさんが先頭に立って歩くことになった.確かウトゥルンコ山は170回の経験があるとか.
当初スタート予定のコル辺りを目指し,なだらかなトレイルを登り始めた.強い陽射しがあり全く寒くはない.また非常に強い風があると,事前に添乗Hさんに警告されていたが,まだ早い時間のためか,今のところ然程強くはなく,ラッキーだ.
少しして立ち止まった.必要な人は衣服調節をということだ.ただここまでは緩やかな登りで,汗も出ないので大丈夫だ.
コルは広いので,ピンポイントで示せないが,まあその辺りを過ぎると登りに入った.かなりの傾斜があるが,スタートポイントと時刻が当初予定と違っていたため,登頂ルートも変更したのではと思われた.
西峰の東側斜面をトラバースしながら歩くので,南西側外界がよく望める.殆ど茶色い荒野に,所々頂きが白くなった山々が見える.
この辺りは小石のトレイルで傾斜もまだ緩いので歩き易い.
ちょっと広々した場所に出て,少し休憩した.大まかにはコルの領域で,その頂き部であろうか?
雲ひとつ無い快晴で,空は異常なほど青く,まだ風も強くなく,快適そのものだ.
さて休憩の後,右手斜面の登りにかかった.滑り易い砂地のザレ場で,ジグザグになったトレイルを登る.二,三歩上ると,一歩ずり落ちるような急勾配でもある.
とにかく滑り易いのでトレイルはジグザクに上に続いている.ただ上にも,下にも私たち以外のハイカー/トレッカーは全く見えない.まあサハマ等本格的登山に較べて,あまり登る対象の山にはなっていないのであろう.と,云う訳で大変空いているし,静かな山歩きが楽しめる.
これも後でGPSログデータで見たことだが,私たちはこの辺り標高5,881mに来たようだ.頂上は右上岩のさらに右手にあるようだ.
この辺りで,列の後ろ近くを歩いていたTさんが具合悪くなり,倒れた.高度障害であろうか.添乗Hさんはじめスタッフの皆さんが,酸素吸入,人工呼吸,心臓マッサージを施し,懸命に呼びかけている.
ここはスタッフの皆さんの応急対応が第一であり,私たちが足手まといとならぬようにしなければならない.そして,少し先を行く先頭組メンバーを呼び戻し,全員下ることになった.
ということで私たちは,Tさんと応急手当中のスタッフの皆さんを残し,来た時と同じ道を引き返し始めた.
私たちはランクル駐車場所まで下り,ここで待つように指示されていたのでそれに従う.
スタッフの中でVさんだけはここに残り,麓の警察や医療機関などと連絡をとり,救援依頼などを行っているようだ.Cさんなど他のスタッフは,簡易ガモフバッグや担架をもって救援に向かった.
何とか無事であって欲しいものだと祈る.
大分時間を隔てて,4人のスタッフが抱えた担架の上の簡易ガモフバッグでTさんが戻ってきた.着くとHさんがまた懸命に人工呼吸を施し,そして私たちを含めて全員3台のランクルに乗り込んだ.
3台のランクルは急ぎ下りにかかった.途中,ちょっと先で留まっていた4号車も合流し,先を急いだ.
少し下ったところで,下から駆けつけてくれた地元医師と看護婦さんの車と出合い,スタッフの皆さんが見守る中,診察を受ける.しかしお気の毒なことに,お亡くなりになったとの診断だそうだ.
私たち一行は朝発ったクエテナチコへと下り続けた.そしてやがて陽は低くなり,周囲は徐々に黄色,そして赤色へと帯びる夕景に推移していった.
朝出たクエテナチコのロッジに着いた.殆ど暗くなっていた.私たちは今夜の宿泊地ビリャマルに向かうため,預けてあった荷物を受け取り,ランクルに積み込んだ.
HさんとPさんはTさんの詳しい診断を受けるため,比較的大きな医療施設のあるウユニの街に向かうという.
私たちのランクルは真っ暗なラフロードを走り続け,ビリャマルのMallku Cuevaロッジに到着した.ドライバーさんご苦労さまでした.二日前にもビリャマルに泊まったのだがそのロッジと違う,比較的整ったタイプであった.
ここは明るくきれいな内装で,ロッジではなく,上記レセプションに記されているようにホテルであろうか.ちゃんとした定義は知らないが....
部屋は狭いが暖房と熱いシャワーがあった.しばらくぶりのシャワーはやはりさっぱりする.
ホテルレストランで夕食を頂いた.あまり良く覚えてないが,この写真を見る限りチキンにビーフであろうか?右上のビールは普通に美味しかった.
残念なことであったが,Tさんには安らかに眠って欲しいと願いつつ,床に就いた一日だった.