イフランを越えると雪山が見えてくるようになる.アトラス山脈,3000m級の峰であろう.
この区別は思い出せないが,どちらも枝が横に大きく張り出し,大きく育つ.防虫性に優れ,昔からヨーロッパに高級建材として出荷されていたそうである.ヨーロッパで栽培されると商品性が低下するため,種子や苗木が厳しく管理されてきたそうだ.ただ両方の杉ともに伐採され過ぎ,今は少なくなっているそうで,今後の回復が課題であろう.
モデルはバスの助手モハメッドさん.私たちが訪れる少し前には大荒れの天気で,この辺は相当雪が降ったようだ.この道は降雪で閉ざされえることもしばしばあるそうで,こんな好天に恵まれラッキーだ.全然話は変わって,送電線の碍子は,この辺り,いやモロッコの他の場所でもセラミックではなくガラスのようである.これは珍しい.
アトラスの高地では畑は少ない.荒地に羊や牛の放牧はあちこちに見える.日干しレンガ住宅が多い中にあっては大層立派である.多分この辺の畜産農家であろうかと思うが.
ここはザード峠で通ってきた道で一番高いところにある.標識には2178mと記されている.ここで皆でバスから降り,しばし雪を楽しむ.向こうの丘にはアトラス杉の特徴ある枝が青空に浮かんでいた.
雪山を背景に荒地の牛や馬,いい光景だ.
下は,アトラスの写真.途中小さな村をいくつか経過する.ポプラはたまに見ることができる.
ここはミデルトの町.根元近くで剪定したポプラの並木か?茶色の大地に自転車,何となく中国の町に見えなくもない?ここも通過した町の1つに過ぎないが,町外れのレストランで昼食をとった.
ミデルト外れのこのレストランはモロッコ様式建築,ちょっと暗く写ってしまったがモロッコ庭園,これも下部がケラれてしまったがモロッコインテリアのレストラン.
ここでモロッコ料理タジンを戴くことになる.タジン(Tajin)とはアラビア語か?とにかくモロッコの野菜と肉の鍋料理の総称であるようだ.鍋はとても厚い土鍋で,ここに写っていないが厚く重量級の陶器製とんがり帽子状蓋がついている.野菜はにんじんとか,おじゃがとか,いんげんとか,ドライフルーツとか,...お肉はビーフとか,チキンとか,マトンとか,イスラム国だから多分ポーク以外何でも....それにスパイス,例えば下のように黄色い....何だっけ?とか,....なお煮るとき水は使わないで,弱火でことことと長時間煮込むようである.ところで昼食は殆どいつもタジンであったから,多分タジンはモロッコでは基本的な食べ物,従って夏でも鍋物と云うことになろう.いや土鍋ではあるが汁はないから,「鍋物」の範疇ではなく煮物かな?それなら違和感がない.
この日のランチはチキンタジン.確かちょっとカレーのような味がしたような.....?
タジンは概して強烈なスパイスの香りとかなく,肉類と野菜の煮物であるので美味しいし,概ね皆さんにも好評であったように思う.
この「砂漠に雪山」の対比,コントラストに強い印象を受ける.町外れ,周囲に少しの家が在るだけで,あとは砂漠である.そこにH2Oが逆にうんと多い雪山の背景があるので自分的には印象付けられるのであろう.
ミデルトを過ぎ,なおも暫く走ると,やがてこのジイージ渓谷にさしかかる.ジイージ川の濁流がこの渓谷を形成したのだ.川辺にはナツメ椰子の木がぬかりなく生えていた.
ジイージ川が長年かかって渓谷を形成するより遥かに昔,太古の時代,3億年くらい前,この辺りは海だったそうでアンモナイトなどの化石が至るところに転がっているようである.それより驚くことは,はっきり言ってこんな辺ぴなところで,バスが止まると,間髪を入れず道路の下からこのようなアンモナイト化石売り青年が出現することである.
川沿いには日干し煉瓦の家に住まう村々が点在する.ナツメヤシなどで生計を立てているのであろうか.それときっと家畜もいるであろう.この近くの急な斜面の岩肌にもヤギを見かけた.因みにヤギ肉は最も高級(高価)とされるそうだ.急斜面でも家畜がいるくらいだから,平地や緩斜面では羊や牛が居るに違いない.
ジイージ川であろうかダムで堰き止めてできた湖だそうだ.ダムは水力発電が主目的のようであった,かな?赤い山並みもなかなか迫力がある.
取り立てどうって言う町でなく,休憩でたまたま止まった町がエラシディア.砂漠の真中に,一応モスクがあって,ごく普通の小さな町である.
上部が前述の三角帽子状の蓋,下は多分コンロであろう.これが道路から見えるように置いてある.これで「タジン鍋ありますよ~」ということが一目瞭然.で,その中身っていうか,お品書きっていうかは,つるし肉,現物を見て,「この部分をxxグラム入れて!」,とか注文するのだと思う.野菜は?⇒見逃してしまった,ちょっと失敗.
これが今通って来た道.これも結構迫力だ.地層の横線模様が結構効いている.
影の長さから間もなく日が落ちる頃,バスを止め,谷間のオアシスを見物.集落と,一部黄葉も見られる木立が広がる.
ここでもまたどこからともなく出現.何を売っていたかは思い出せない.でもいつも現れる人は一人であるから,多勢に無勢,他国のように大攻勢を受けることは先ずなかったような.....少なくともこのような田舎では.
山肌は赤く染まり,椰子の木はシルエットで浮かび上がりくる.これもまたいい眺めだ.