マラケシュの近くになるとユーカリ並木が続くようになる.緑地も増え,沿道にはピクニックの人たちも見られるようになる.
ここは王宮だったか王室に関係のあるところだったと思う.モロッコは王室の所領地の多い国だ,とにかくあちこちに王宮があるのだから.ここに来ると顔の下も覆った婦人が多く見受けられる.単に全体の頭数が多いから見かけることが多くなっただけだろうか?他のイスラム諸国,例えばイスラムの戒律がより厳しいイランなんかより多いのはなぜなのだろう?
交通量はそれ程過密ではないし,馬車や牛車が走る他の途上国のように車がやたらめったら警笛を鳴らすこともないので楽だ.他の街でも多いがここマラケシュではさらに赤字に緑星の国旗が目立って多いように思う.国王は国民に尊敬され,どこの町でも歓待を受けるそうである.
通りではこのように通り過ぎる人を眺めたり,ベンチで本を広げたり,ホテルのプールサイドで日向ぼっこしたり...して寛いでいる人が大勢いる.失業している人もあろうし,プールサイドは主に旅行者かもしれないが.....
どういった音楽が好まれるのだろうか?バスで通り過ぎただけであるが立派なオペラハウスである.
この通りでは一定間隔でこのような電飾が点灯している.普通に考えると何ともないようであるが,自分的には馬車やロバが通る道だからとても不思議に思える.つまり馬車とか,ラクダとか,象とか,....一般道を通っているような国では,ホテルの部屋にはろうそくとかが予め備えてあり,実際に停電も頻繁に起こったりする.しかるにここでは馬車が実用に供されているに拘わらずこのような立派な電飾が夜通し灯っているなんて....
下は,マラケシュへ入る辺り,市街の様子八景
私たち旅行者にとって,馬車とかロバとか日常見慣れない乗り物はインパクトが強い.それでこうして写真にする.でも,車は当然としてバイクや,バスなど殆どどこでもありふれた乗り物が馬車よりず~と多いのだ,一応念のため.タクシーは普通のタクシー(ベンツが多い)以外に,プチタクシーと称される,小型タクシー(シトロエンとかが多いみたい)が数多く走る.これはモロッコ名物のようで,外観色は市毎に統一され,走行範囲は市内に限定され,料金は普通タクシーより安価,ということだ.
外観も部屋もなかなか立派,ゴージャスなロビーにも驚く.それより,お手洗いとお風呂が別の部屋になっていることに珍しさを覚えた.この前のエルフードのホテルでも別々の部屋であったので,モロッコでは日本と同じように割と一般的なのかも知れないが,まあ珍しいと思う.
ユダヤ人街に大きなコウノトリの巣があった.コウノトリは冬に暖かいモロッコに来て,夏になると涼しいヨーロッパに渡って行くという.ヨーロッパでも大きな巣を見かけることがあるがどちら側で卵を産むのだろう?ユダヤ人街のこの辺では金物屋とか,普通の商店とか,エステとか私にはことさら「ユダヤ人」を感じさせる風物は感じなかったような....いずれにしてもコウノトリの巣は周りと比較するとそのデカさに圧倒される.
パッケージツアーに付きもの,あるお土産店の前の通りはとても立派,中央に広い遊歩道,その両側に車道,さらにその両側に歩道だからとても幅広い.お土産店の左にはエステが,右にはカフェがあった.
所謂旧市街/メディナでないところは新市街であろう.ここはホテルなどが立ち並ぶ通り.緑も結構多いし,馬車が通ったりするのもいい.ブーゲンビリアやバラなどの花も多い.
一方こちらは住宅街で,これはアパート.1階部分が小さなスーパーマーケットになっていた.ところで前述のバイクであるが,この辺に止まっていたので構造を見てみた.ヤマハとかとの決定的な違いは,自転車と同様な足漕ぎペダルが付加されている点にある.とかくバッテリ容量が小さく,暫く乗っていなかったりするとよくバッテリが上がってしまったりするので,これはいいかも.日本の電動自転車も一見コンセプトは同じ.....かに見えるが,やっぱ【自転車+モータ】は違う範疇だろ~な~
下は,さらにマラケシュ市街やいろいろな通り
広場手前の屋上カフェのテラスからながめると, 右側(東側)から左側(西側)までぐるりと,いろいろ楽しい光景を見渡すことができる.ところでこのカフェ,コーヒーを頼むと,「コーヒーは本日終わりました,そちらの冷たいものから選んでください」と言って,大きな冷蔵ケースを指差す.でも,私より先に席に着いている客の誰もコーヒーは飲んでいなかった.「本日は終わり」ではなく,人手を省くため清涼飲料だけにしたのであろう.なら壁のメニューも書き換えて欲しいな~
広場手前の通りではこのように2頭立て馬車とか,客待ちの水売り,厳密には水売りの写真モデルとか,かわいいロバ車などとか,これまた客待ちの蛇使い,etc.....
蛇使いの場合は,先ず見込み客が通ると,首に巻いたりして立ち止らせ,所定数の観客が集まるったところでメーンの芸を始めるようだ.そこですかさず集金担当員が集金に廻って歩くシステムのようである.
この人だかりの後方の傘の人は,どうやら占い師で,今日か明日か,はたまたこれから一生の運勢を占ってくれる(あくまで想像).傘は,これまた想像の域を脱しないが,日よけではなく,謎めき効果増大の小道具,と見た.
また他に,猿回しとか,ナイフ投げとか,....いろいろガンバっています.
夕方,4時頃続々と商売道具一式を運んで組み立て始める.その数,30くらいもあろうか.したがって屋台は専ら夕方から夜の営業ということになる.この写真のように肉類の屋台が多く,菓子類の屋台とか,世界共通ホットドッグなどもある.一見日本の縁日風とも言えるが,子供より大人,若しくは家族連れが多く,かなりの方は普通の夕食として楽しまれているようだ.基よりビールがないのは,こちらから見て寂しい限りであるが....
広場の周囲は常設のお店が並んでいる.このマガジンスタンドもその1つで,アラビア語,仏語,英語の新聞/雑誌が揃えてある.TIMEとNewsWeekは捕らえられたサダムフセインが表紙を飾って(?)いる.
お土産店と並んで,モロッコファッションや,アクセサリーのお店も目に付く.尤もモロッコファッションと言っても,目出し女性から,頭部スカーフとか,覆い一切なしの女性といろいろである.また男性同様,いやむしろ女性の方が,ジュラバ着用率が高いように見えた.
陽が西に傾き,影が長くなるころ,広場にはさらに多くの人が詰めかけてくる.ジャマエルフナ広場はこれから佳境に入るのであろう.
下は,ジャマエルフナ広場の写真あれこれ
ファンタジアショーの会場は馬が駈けるので広いグラウンドと,その周りにテント風デザインの複数レストランの建物などから成る.ゲートをくぐると先ずこのショーの主役の騎馬兵がお出迎え,続いて左写真のようにそれぞれの部族別民族衣装をまとったグループの前を歩き進み,レストランに至る.
これが名前だけは聞いたことがあるクスクス,アワかヒエかそのようなものの上に肉と野菜を載っけた料理.三角帽子付き容器で運ばれてきたので,タジンと同じ土鍋で煮込んだものかと思ったが,普通のお皿に盛り付けてあり,三角帽子は単なる保温カバーだった.お皿にたくさん残ったところを見ると,タジンに比べて味は?といったところか.それとも出された量があまりにも山盛りで,単に食べ切れなかっただけか?
レストランの客席で部族グループ毎に訪れ踊りを披露してくれる.グループ毎に衣装は大きく異なるものの踊りそのものは似ているのかな~?この分野は甚だ疎いのでよく分からない.通路側に座っていたので引き込まれちょっと戸惑ってしまった.
これがファンタジアのハイライト,銃を掲げ馬で駈け,終わりに空に向けて銃を放つ.この音が夜空にとてつもなく大きく響く.ファンタジアは100年以上の長い歴史を持ち,出陣に際しての儀式が発端であったそうである.当初は銃でなく弓であったそうな.
疾足する馬上から銃を放つのは,流鏑馬と共通する技であろうし,まして元々は銃でなく弓矢であったというから同じようなものかも知れない.ただ日本の流鏑馬はディナーショー的視点では考えられないし,特定の神社で年に1度だけ奉納されるものであるから技術面の共通性があっても意義は全く異なるであろう.
下は,ファンタジアショーの写真あれこれ.うまく撮れなかったが,馬の曲乗り,お腹にも着衣のベリーダンス,空飛ぶ絨毯,ラクダの行進,花火,ラインダンスなどいろいろ楽しめた.
クトゥビアの塔は,12世紀ムワヒド朝時代に建立されたクトゥビアモスクのミナレットで高さ60メートルくらい,四角柱状の4つの面にはそれぞれ異なる装飾が施されているようである.景観保存若しくは宮殿などがあるので政治的治安維持のため街の建物の高さが規制されているのであろう,ミナレットは遠くからもよく見える.
クトゥビアとは「本屋の」という意味だそうである(多分アラビア語).モスクには神学校が併設され,その図書館には数万冊の蔵書があったそうであるから,周りにも本屋さんが多かったのであろう.現在も確か神学校は継続されていたような.....ガイドのマジーさんが一所懸命たくさん説明してくれたのだけど,う~ん,よく思い出せない.
塔の頂部にはメッカの方向を示す筋交い入りT定規のような形のミハラブが付いており,これが街のどこからでも見えて,かつアザーンが響けばお祈りに支障を来たさない.アザーン用のスピーカは各面に2個,計8個付いていた.
モスクの構造材は概ね赤いレンガである.マラケシュ全体の色調は薄いピンクであるが,ここのレンガはそれより少し落ち着いたレンガ色,といったところか.
人,車の比較的交通量の中で,馬車やロバが行き交うのを眺めることができ楽しい.
下は,クトゥビアモスクと周囲の写真
ここが旧市街メディナへの門の1つだ.門の前も賑やかな人々,馬車,車の往来,いろいろな店舗や露店などなかなか賑やかだ.
このように狭い所もあって,こんなところで目出しマスクの婦人とすれ違ったり,あるいは通りを抜けるときにたむろする年配者たちにさ~っと見られたりすると,どことなく少し怪しげなおとぎ話の世界に入り込んだような雰囲気が感じられてくる.
預言者ムハンマドの四女,後に4代目カリフの妻となったのがファティマだそうだ.彼女の息子の一人が,背に励ましの手をかけて貰って激しい戦場に赴いたのであるが,何とか無事帰還できた,等々の逸話が残っているそうな.ファティマは慈悲深く,理想の女性.ファティマの手を形どったものを持つことにより,彼女の救いの手が差しのべられるとされ,モロッコではいろいろなところに用いられていた.ペンダントやイヤリングなどの装飾品から,左写真のように平面的なドアノッカー,立体的なドアノッカー,壁に描かれた手....といろいろあり,これもガイドのマジーさんが詳しく説明してくれたのであるがとても皆は思い出すことができない.
パッケージ売りでないところが新鮮.スークには魚屋さん,八百屋さん,スパイス屋さんなどいろいろな食材店が並んでいるが一様に量り売りシステムを採用している.こういった処では量り売りが当たり前ではあろうが,一応念のため.
この絨毯屋さんもいっぱい並べている.金物屋はマツキヨと同様のワイドオープン方式,靴屋は軒下に吊り下げ,オリーブ店は皿に山盛り展示だ.スークはやはりこうした現物を「これでもか!」って具合に並べないと雰囲気がでないよね.それにしても山盛りにしたオリーブをすくって売るときは,こぼさないようにすくうのは大変だろう~ね.
下は,マラケシュメディナの写真
16世紀サード朝王族の墓で,代々のスルタン(イスラム王朝君主)が葬られているそうである.右写真は確か王妃と子供たちの墓のある建物で,入り口からの通路をくぐった直ぐのところに諸王の棺が安置されていた.庭には家臣や関係者の棺が多く横たわっている.殆どはイスラム教徒であるから,顔がメッカの方向に,つまり棺は同じ方向に向いているが,一部非イスラム,多分ユダヤ教徒かキリスト教徒,の墓が別の方向を向いて安置されている.このような王族クラスの墓でさえも異教徒を同列に葬ることを許容していたことから,本来イスラムがユダヤ教徒とキリスト教は同じ啓示の民として対決ではなく共存してきたことがよく分かる.
偶像崇拝を禁じるイスラムでは,モザイクタイル,アラベスク模様と並んでアラビア文字(ローマンアルファベットと同じくらい,たしか28種くらいの文字があるそうである)の飾り文字を発達させた.ドイツ飾り文字がメチャ読みにくい連想から,飾りアラビア文字もとても読みにくいのでは,と心配になってしまう.でもアラビア文字は活字でも元々筆記体のように見えるので落差は少ないのであろうか.....
ところでアラビア語はローマンアルファベットで書き表すことができるそうであるが正式(公式)にはアラビア文字に限定されるそうである.さらに人口の60%を占めるベルベル人の原語であるベルベル語はこれまで文字が無かったそうである.そこでローマンアルファベットでもなくアラビア文字でもない新しい文字を作った(または作りつつある)ということである.いずれにしてもモロッコの人はアラビア語,ベルベル語,仏語....と,多言語をこなす人が多いようである.
下は,サード王朝のお墓の写真
メナラ庭園は1850年に造られ,貯水池と大きなオリーブ畑がある.この大通りの両側には赤い花,青い花が咲き蝶が舞っていた.しかしまあこれは小さな花壇程度で,「庭園」と云う感じはあまりしない.
「庭園」より「畑」の方がピッタシだと思えるくら広いオリーブ畑が大通りの両側にあり,オリーブの実がたわわに実っていた.収穫か畑の手入れのためであろうか,作業用馬車が往来していた.
このような親子連れ,若者グループ,我々のような観光客....が疎らに散策している.この親子の左側が貯水池であるが「庭園」の池とは程遠く,単に四角四面でちょっとがっかり.人が少ないので物売りも殆ど居らず,静かと言えば静か.僅かかわいい帽子をミネラルウオーターに載せた気の利いたディスプレイの水売り(ほんとの水売り)くらいが出店していた.
これが甘くない,つまり酸っぱいオレンジ.マーマレードなどの加工用で,道端とかによく植えられている.で,見分け方は,葉元が瓢箪のようにくびれて,瓢箪よりもっと細くくびれて,大小2枚の葉が連なっているのが酸っぱいオレンジ,葉が単純に1枚のが普通のオレンジ,だという.な~るほど!
カサブランカからのエアフランス戻り便は再びシャルルドゴール空港を経る.
実は行きのときぼろい機体で,ヘッドホンが嵌らない,ライトが点かないため席を替えてもらった.その点帰りのパリ/成田便はエコノミーでも画面が付いていたので,今度は新しい機体で良さそー,と安心した.ヘッドホンはOK,ライトもOK.しかし,放送で映画が中断されてもテープは中断されずに進んでしまうなど,全日空とかに比べると,やっぱ,ヨーロッパのエアライン.....