白馬蔵族の村を過ぎ,暫く走るとやがて九寨溝地域に入る峠に差し掛かり,いよいよ九寨溝の始まりだ.
白馬蔵族を過ぎ,谷あいの道を進み,さらに山を上ると峠に差し掛かる.峠には,九寨溝の人々は心から皆さんの安全な旅を願っている旨を記した大きな門が建てられていた.
日本人観光客は我々のような年配者が多いが,中国では概して若者が多い.この人たちは何処から来たのかな~上海のような大都会からか?地元成都からか?或いは香港辺りか?.....中国語ではあるが,どの地方かまでは全く見当が付かない.
下は,九寨溝峠の写真
バスから眺めた風景であるが,九寨白馬蔵家の看板が見える.品味蔵家美味佳有と脇に沿えてあるので,チベット料理店であろうか?単なる当てずっぽうであるが.....まあ,こんな風景を眺めながら行くバスの旅は楽しい.
暫く走り,后山という辺りで中国石油(Petro China)で給油した.傍らには小さな市場が併設され,果物やちょっとした雑貨の露店が並んでいた.ガイドのスーさんがフルーツミックスを美味しそうに食べていた.自分的にはまだ旅行も2日目だし生もの控えモードとした.
夕刻近くになって今日のホテル,新九寨溝賓館に到着した.こうして改めてバスを眺めてみると,四川省旅遊汽車公司と書いてある.汽車=自動車,公司=会社だから判り易い社名だ.スーさんとドライバのホーさん,ジンさんはこの会社の社員なのだろうか?
下は,九寨溝の宿に付くまでの写真
新九寨溝賓館で朝を迎え,バスで近くの九寨溝に向かった.
そもそも灘(なだ)とは何であるか?広辞苑第4版を引いて見よう.すると,(1)川の流れの速いところ.早瀬.(2)風波が荒く航海の困難な海.「玄界―」,と載っている.この場合勿論(1)の意であろうが,眺めると浅瀬といった感じである.また水面に見える木々が盆栽のようだから盆景と呼ばれるようになったそうである.浅瀬なのにエメラルド色の湖面が美しい.
九寨溝は石灰岩質の眠山山脈中,標高3400mから2000mに大小多くの沼が連なるカルスト地形と言われる淡水湖地帯である.山脈から流れ込んできた石灰石が沼底に沈殿し,日中には青など独特の色を放つようである.
前述のように庚さんは中国語オンリーなので直接話ができる人は殆どいない.こうして写真モデルをやってもらう分には差し支えないのであるが.
下は,盆景灘と近くの写真.チベット仏教の仏塔(チョルテン/ストゥーパ)なども見える.
犀牛は日本語の犀と同じ意味のようだ.で,犀牛海とは,チベット仏教のお坊さんがサイに乗ったまま神水を求めて湖に入ったのが名の由来だそうだ.九寨溝では2番目に大きい湖だそうである.湖面は波が立たず,向こうの山並みがきれいに映し出されていた.
マニ車には手持ち式の小型のものから,僧院にある直径3~4mの大きなものまでいろいろある.手で廻す形式以外に,写真のような水力式や,実物は見たことがないが風力式など,自然の力を利用して回転させるものがあるようだ.マニ車に巻かれている経文(スン)の中身はいろいろあるそうであるが,多くは真言「オムマニペメフム(観音の真言)」であるそうだ.マニ車の大きさに比例して,「オムマニペメフム」が何千回も繰り返し書かれているそうだ.マニ車を回せば,回した分量の真言を唱えたことと同じ功徳があると言われているそうである.もちろん自然の力で回すのも功徳があることに変わりはないそうだ.
下は,犀牛海の写真
全幅320m,高さ30mという諾日郎瀑布.他の場所,例えば犀牛海では標識にRhinoceros Lakeの英標記があったが,ここ諾日郎瀑布は中国語発音と思われるNuorilangの標記だけだ.単なる固有名詞なのかな?
ナイアガラなどに比べてしまうとサイズ的に大きいわけではないが,緑がいっぱいある中の白い流れが総合的な景観を,和やかな美しさにしているように見える.ここでキャンプでもしてみたい.....といった気分にさせる.
倒木がそのまま滝に寄りかかっている.この辺もモンスーン地帯であろうから,十分な雨量があり,倒れても新しい木の成長は早いのではなかろうか.観光ではもちろん雨がないのがありがたいし,この日は晴天で,滝の白が周囲の緑と空の青に映えてよかった.今から4億年前,九寨溝は海の底だったそうだ.海底で堆積した石灰岩は,300万年前に隆起して地上に姿を現した.やがて地震や土石流で堆積した石や流木に,水に溶けた石灰分が付着して,数百万年の間に,このような高さ30mもある天然のダムとそこから落下する滝が形成された,ということだ.
下は,諾日郎瀑布の写真
湖面が鏡のように周辺の山々を映し出すので鏡海の名が付いたのであろう.この時間は風が少し出てきたため,所謂境面にならず波立ってしまっていた.しかし,場所によってトルコ石のような,エメラルドのような水面は実に美しい.
下は,鏡海の写真
湖の辺には貸し衣装屋さんがいて,結構繁盛している.この女性は漢族であろうか?ただこの衣装は筆者が見ても変である.つまり,エプロンはチベット族風であるが,帽子とかはナシ族とかパオ族とかのような....?まあ,風変わりなファッションで写真を撮るのが目的であるから細かいことはいいのだ.衣装の他に,子羊などの貸し出しもやっているよ.
石作りの標識に依れば,熊猫海は,パンダが成長するに適した場所のようである.こう観光客が増えては,パンダが棲息するのはとても適わぬであろうが.....また熊猫海の海抜は2587m,深さは15mと記されている.
下は,熊猫海の写真