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苫小牧港へ

この苫小牧港へ編では,2020年11月28日夜半敦賀港に行き,新日本海フェリー「すずらん」に乗船し,すずらんの部屋に入り就寝.翌29日朝目覚め,すずらんレストランで朝食,殆ど成すことなく今度は昼食,大浴場で長湯したり,海を眺めて今度は夕食,そして苫小牧港に到着したときの写真を載せました.

敦賀港~苫小牧港周辺のGoogleマップ

敦賀港25から新日本海フェリーで出て,津軽海峡を経て苫小牧港26へと進む.

敦賀港に行く

敦賀港乗船ターミナルに到着

敦賀港乗船ターミナルに到着

雨降りしきるなか,小浜からバスは進み敦賀港乗船ターミナルに到着した.ここでドライバさんとガイドさんとお別れだ.ありがとうございました.

出航までまだ大分間があるが,私達の乗る新日本海フェリー「すずらん」は既に待機していた.船体にはCruising Resortと大書きされている.看板負けしなければいいが.....

敦賀港は三方山に囲まれた天然の良港で,戦国時代から栄え,鉄道建設や大戦末期米軍に撒かれた機雷などで一時下火になったが,近年は国際コンテナの取扱いを増やし,「日本海側拠点港」のひとつに選定されているそうだ.

敦賀港と言えば杉原千畝氏の「命のビザ」が偲ばれる.1940年頃ナチスドイツはポーランドに侵攻,そこに住む多数のユダヤ人はリトアニア(ソ連占領下だった)に逃れた.だがナチスは欧州全域を執拗に追い,ユダヤ人が死を逃れるには,シベリア鉄道でウラジオストックに行き(これはソ連が認めたそうだ),船で敦賀(や神戸)を経由しアメリカやオーストラリア,香港,上海等に逃れるしか道がなかったそうだ.そして当時リトアニア領事代理だった杉原千畝氏は外務省の指示に背き,およそ6千人のユダヤ人難民に「命のビザ」を発給し,ウラジオストク経由で敦賀へ上陸の道を開き,命を救ったことだ.


新日本海フェリー「すずらん」に乗船

新日本海フェリー「すずらん」に乗船

「すずらん」に乗船

敦賀港ターミナルでしばし待ち,やがて乗船した.

新日本海フェリー「すずらん」は敦賀23:55発→翌日20:30苫小牧東港着,と非常に長い時間の航行だ.ボーディング時間も遅いので,部屋のキーをもらうと直ぐに部屋に向かった.

例によって「すずらん」のスペックを見てみよう.資料によれば,
運行会社:新日本海フェリー(株)
全長:224.5m
総トン数:17,382トン
主機関:ディーゼルエンジン
最大出力:30,300kW
推進器:CRPポッド推進システム
航海速度:29.4ノット(55.44488km/h)
客室数:128室
旅客定員:613名
積載車数:216台
建造会社:三菱重工業長崎造船所
就航年:2012年
ということだ.

ここでポッド推進システムは,その名前の由来どおり繭型をした回転楕円体の中に電動モータを内蔵し,それを船内に納めた旋回装置で回転させることができる推進装置の総称で,1990年代から急増してきたそうだ.背景として電動モータの大出力化と小型化の技術革新があり,効果としてはポッド丸ごと向きを大きく変えることができるので港湾での操縦性が圧倒的に良くなるようだ.またラダーやタグボートが要らなくなるなどの利点もあろう.

またCRP(Contra-Rotating Propeller)については既に志布志港行きさんふらあ「きりしま」のページに記したが,同軸上前後に互いに反転するプロペラを配し,手前プロペラの発生する有効なスラスト以外に生じる無駄な回転流を後方反転プロペラで回収(キャンセル)し,効率向上を図るシステムかと思う.

このように巨大なフェリーであろうが,今回の乗客はたったの50人ほどだそうで驚いた.やはりコロナの影響でしょうね.


「すずらん」の部屋

「すずらん」の部屋

すずらんの部屋

ツインの並み部屋であるが窓が付いている.入った時間は真っ暗でなにも見えないが.またバスタブやシャワーはないが,洗面台とトイレは設けてあった.外の大浴場に行くので差し支えない.


「すずらん」のアメニティ

テレビなどのアメニティ

船内案内やセキュリティガイドに加え普通の衛星放送が映るテレビ,浴衣,お茶セット,タオル,冷蔵庫....など一般的なものが用意してあった.


「すずらん」の朝食

29日朝が来た

29日朝が来た

明けて29日朝が来た.部屋を出て共用スペースに行ってみる.さすが50人程度の乗客とあって閑散としている.結構なことだ.

朝は毎日添乗Oさんが放射体温計で測ってくれるが,もちろん平熱だ.37.5℃を越えると離団せざるを得ない.当たり前ながらやはり感染しない,させない注意と行動が肝要だ.


日本海はかなり静かだ

日本海はかなり静かだ

日本海(別の呼称の人たちもいるが)は太平洋や瀬戸内海と比べて波が高いことが多いそうだ.従ってさんふらわあ「きりしま」や阪九フェリー「ひびき」より揺れが大きいことが多いそうで,添乗Oさんには酔いやすい人は予め酔い止めの服用を,と言われていた.

実際,開いていたドアがバタンと閉まることがあった.ただこの写真のように然程波は高くなく,きりしまやひびきより少し揺れたかな~乱気流を飛ぶ旅客機より大分マシだな~程度で済んだので助かった.ただ朝8時からのお風呂はとりあえず中止との案内があった.朝風呂の習慣はないので構わないが.

すずらんレストランに行く

すずらんレストランに行く

朝食のためすずらんレストランに行った.全然流行っていないところが気に入った(乗客50人なので)

このレストランはバイキングではなく,街のレストランや居酒屋同様端末でオーダーすると,ウェイターが席まで運んでくれるスタイルで,これも気に入った.


「すずらん」の朝食今日は鯖なし

今日は鯖なし

この日の朝食は普遍的な鮭に海苔などのセットメニューだ.連日食べていた焼き鯖は多分なかったのであろう.でもこうして初めからセットで頼めるのはビニール手袋も要らないし簡単でいいな~


「すずらん」の昼食

「すずらん」の広いカフェも閑散

広いカフェも閑散

普段書き入れ時であろう時間帯も実に閑散としている.仮に列車や航空機であれば同じ区間を日に何本も運行しているので,間引くことが可能で,現にJRやANAなどそういった措置をとっている.

でも一日一本のフェリーはやはり間引くのは難しいでしょう.運営会社は大変ですね.


姉妹船「すいせん」とすれ違う

姉妹船「すいせん」とすれ違う

10時近く,船長の案内があった.この先1.5m~2mの波に遭遇する可能性ありとのことだ.どんなに揺れるのだろうかと待ちに待った(ほんとはビクビク)が,特段の変化を感じなかった.単に鈍感かな.そして少しして大浴場,露天風呂,サウナ中止も解除された.

そのうちここは佐渡沖辺りであったか,新日本海フェリー運航の姉妹船「すいせん」とすれ違った.「すいせん」は「すずらん」と同じスペックで,同じ区間を互いに逆向きに運行しているようだ.

陸の近くは雲が多く,沖の方は晴れている.こうした天気は普通なのでしょうか.


そしてすずらんレストランに行く

そしてすずらんレストランに行く

何もしてないが腹時計は昼になった.そしてすずらんレストランに行く.そして目の前のモニターでいろいろ見てみる.カツカレーにしてみるか.


「すずらん」の四元豚カツカレー

すずらんの四元豚カツカレー

そして出してもらった四元豚カツカレーがこれだ.カレーはやはり和式に限る.美味しい.

これがインドタイプやパキスタンタイプであれば然程美味しくはないであろう(かなり偏見に満ちているがほんとです)

ところで四元豚(よんげんとん)って日常スーパーでも普通に見かけ,買うが,一体どういうものか考えもしなかった.だがこうして時間を持て余し,それを食しているときはふと知りたくなる.で,ググってみると,「四元豚」とは4種類の純粋品種の豚を掛け合わせた雑種の豚のことで,欧米で生産される食用豚のほとんどは「四元豚」,と載っている.輸入商社のサイトには美味しいなどの特徴が載っている.最大の利点は安いことであろうか,多分.


「すずらん」の夕食

「すずらん」の大浴場に行く

大浴場に行く

お昼ごはんを食べ,また暇になった.写真共用スペースの片側奥に男湯の大浴場,露天風呂,サウナがあり,ここに行く.場所柄当然写真はないが3つ揃っているのがいい.冒頭記したCruising Resortの看板に恥じない(かも知れない)

サウナは昨夜と今朝は安全上であろうか休止していたが,現在は使えるそうだし,また時間がたっぷりあるので長湯に浸かる.露天風呂は以前のフェリーのように,地上露天風呂の風情とは比べようはなかろうが,やはりそれを設置しようとする意気込みには心打たれる(少し誇大表現).新日本海フェリーや三菱重工はエライ.


「すずらん」部屋からは大海原

部屋からは大海原

部屋からは大海原が見えるがさして変化がない.大洋上空に出て,航行中の旅客機といい勝負か.


すずらんのコンビニ

すずらんのコンビニ

普通の飲料に加えて所謂お土産も並んでいる.GoToの地域共通クーポンも使える.ただここで買うと宅配はできないかもしれないので確認した方が良かろう.


「すずらん」は青森県沖になる

青森県沖になる

進行右手(東側)に陸地が見えてきた.青森県辺りであろう.

空模様がちょっと怪しくなってきたが,明日は小雪が降るかも知れないということだ.でも苫小牧は太平洋側だから大丈夫であろう.


「すずらん」の夕食

「すずらん」の夕食

はや,いや待ちに待ったか?夕食時間になった.お刺身盛り合わせ(小さいが),北海道に近づいたのでシマホッケ,それに赤ワインだ.私の場合ワインは赤に限るが....ここのはイマイチだったか,いや値段相応と言うべきか.

まあでもウエイターが運んでくれるし,美味しかった.


苫小牧に到着

定刻午後八時半に苫小牧到着

定刻午後八時半に苫小牧到着

「すずらん」はほぼ定刻,午後八時半に苫小牧に到着した.このように大きなものが随分正確に到着するものですね.旅客機と違って気流がどうのこうの,とか管制塔の指示が何のかんのといったことがないためでしょうか.

苫小牧港は,苫小牧市から勇払郡厚真町(ゆうふつぐんあつまちょう)にかけてある港湾で,港湾法上の「国際拠点港湾」,港則法上の「特定港」であり,日本国内に8ヵ所ある「中核国際港湾」の1つに指定されていると載っていた.まあ難しいので私には大きな国際港ととらえて良さそうだ.

そして着岸後2,30分してブリッジから降り,待機してくれていたバスに乗り込んだ.