このハリッサの高台編では,2018年6月28日ハリッサの高台を訪ね,レバノンの聖母塔に上ったときの写真を載せました.
ドッグリバーから少し内陸に入るとハリッサの町に来る.ハリッサはアラビア語やヘブライ語で鋭い刃,ナイフなどに由来し,急斜面の高い丘のことではないかといい,海抜650mに位置するようだ.
1854年ローマ教皇ピオ9世によって宣言された『無原罪懐胎』教義があり,その第50年記念碑として,マロン派総主教および使徒某による建設構想がスタートしたそうだ.
駐車場に着くと,ここからハリッサ大聖堂に歩いた.そして先ず細く高い鐘楼に目が行った.常識的な鐘楼とは著しく異なった形態だ.
上まで上っていいですよ,ということだが,普通の階段ではなく,梯子だ.そんな怖そうなところ上れないですよ,もちろん.また他に上っている人も見かけなかった.
鐘楼の背後,マロン派ハリッサ大聖堂もまた超モダンなデザインだ.合掌した両手をタンデムに並べたような形態だ.相当大きい.ただ私達は中を見ることができず残念だった.
大聖堂の後ろにレバノンの聖母(Our Lady of Lebanon)像があった.1904年仏からの寄贈で,高さ7m,重さ13トンあり,手はベイルートの方向に向けられているそうだ.またその台座は螺旋状石造りで,底部周囲64m,上部周囲12m,高さ20mということだ.
またレバノンの聖母周辺にはレバノン杉がよく茂っている.ブシャーレ杉保護区以外では初めて見た.貴重だ.
レバノンの聖母のレバノン杉は,聖母像が建設された1904年に植えられたそうだ.現在115年目ということになろうか,相当大きく立派に育っている.
中には実を付けたレバノン杉もあった.全て枝の上に大きく,上向きで出ており,さてこの秋には,満を持して落ちるのであろうか.
そうであればこの木は4年前にも実を結んだであろうが,今回の実がその翌年から育ち始め,徐々に大きくなったのか,或いは今年まで何も付けず,この春先に芽が出てここ数ヶ月でこの大きさまで成長したのか,もう訊く機会がなくなってしまった.
石造り台座基部には礼拝堂が設けてあり,スペースの割に多くの信徒の方が祈りを捧げていた.
レバノンの聖母は巡礼地としてよく知られ,また意外なようにも思うが,『レバノンの聖母』を冠した教会は世界中に多く建てられているのだそうだ.
聖母像台座には外周に螺旋階段が設けてあり上れるようになっている.鐘楼と違って柵付きのしっかりした階段なので安心して歩ける.
聖母塔上に着き,地中海を望んだ.湾の内部は港になっているようで,桟橋があちこちに見える.
また住宅などの建物が結構建て込んでいる様子が窺える.
聖母塔上から隣の大聖堂を望むとモダンで巨大な屋根が立ちはだかっている.
また写真右上伝統様式教会は,横のモダン大聖堂ができる前まで大聖堂だった教会だそうだ.いまも現大聖堂と同じ組織下に属するマロン派教会ということだ.
聖母塔上から上方を眺めてレバノンの聖母像を撮った.手のひらはベイルートの方向を向いているそうだ.
レバノンの聖母像周辺はレバノン杉も良く手入れされているが,庭や花壇もよく整備されている.巡礼の人たちもこれで心安らぐであろう.
さてこれでハリッサの高台見物は終わり,またバスでベイルートに戻る.