死海から流れ出る川がなく,年間を通じて大量の水が蒸発する死海の水の塩分はきわめて濃い.一般の海の塩分濃度が4~6%であるのに対して,死海は25%の濃度だそうだ.そのため魚類の生息は確認されていないそうで,死海の名称はこれに由来するそうだ.1リットルに含まれる塩分量は230gから270g,湖底では300g超にも達するそうで,大きな浮力が作用する.たしかに背を海面にして仰向けになれば黙っていても浮いてしまう.定番の仰向けで新聞を広げるポーズを試している人もいた.ただしひっくり返ると目がしみるので要注意だ.また小さな傷でもひどくしみるそうであるから,これも気をつけて.死海の塩分は,ヨルダン川や周囲から涌き出る泉から供給されているらしいから,ヨルダン川の源流にも塩辛いところがあるのであろう.死海の周囲の砂浜からは,死海の塩分を多量に含んだ泥が採取され,化粧品や石鹸の添加物としても珍重されているそうだ.海底の泥を身体に塗ってみたら確かにすべすべしていた.肌に効くかどうかは定かでないが......
死海ヨルダンの湖岸はホテルが建ち並びリゾート化が進んでいる.イスラエル側もそうなのであろうか?ただ近年イスラエルによるヨルダン川上流部での飲料水過剰採取などにより,20世紀中頃から流入する水量が激減したため,海面の低下が進んでおり,そのうち枯れてしまうのではと心配されている.紅海から海水を導入する案などが検討されていると新聞で見かけたこともある.
ヨルダンに入ってから通ってきた街道は海抜数百mの比較的高い所が多かったが,死海に向かってはどんどん高度を下げ,途中海抜0mを通過し,やがて対岸のイスラエルを背にした死海に到着する.海面より少し上の休憩したホテル入り口辺りでカシオは-255m,ガーミンは-382mを示していた.ガーミンの方が実際の値に近いようである.
下は,死海の写真あれこれ.ホテルの庭にはブーゲンビリアが咲き乱れ,ナツメヤシがたわわに実っていた.ここを一歩離れれば茶色一色の世界だが.