アレキサンドリアはエジプト第2の都市で,「地中海の真珠」と称えられるそうだ. カイロの北西208キロ,車で3時間の距離にある.紀元前331年にアレキサンダー大王によって 彼の王国の首都として築かれたこの町は,その後7世紀間にわたり,世界最大級の図書館を擁する 古代世界の学術の中心として,ギリシャ・ローマ文明の最前線で輝きを放った. クレオパトラとアントニーとの激しい恋の舞台ともなったそうだ.数世紀後,ナポレオンがこの町を 訪れた時には既に小さな漁村と衰退していたものの,19世紀以来,商業・海運業の中心地となり,ギリシア, イタリア,レバントからの移民たちにより,商業とコスモポリタンで自由な雰囲気がもたらされ,盛り返したそうだ.現在,アレキサンドリアでは年間を通じて 20kmの海岸線を有するビーチリゾートとして,ヨット,シーフード,路面電車に乗ってのローマ時代の遺跡巡り....など,いろいろ楽しめるようだ.
建物内部に入ることはできないが,外から眺めてもイスラム様式の造りがすばらしい.トルコ風とフィレンツェ様式の混ざったものだそうで,明るい壁の色あいが地中海沿岸にとてもマッチしているような気がする.現在この宮殿は迎賓館として使用されているそうだ.
たまたま宿泊したシェラトンモンタザホテルの目と鼻の先にあって,朝散歩してみた.広い庭に花や緑が多く,まさに散歩にはもってこいの庭である.
きっと内陸部から来た旅行者であろうが,裾をたくし上げキャッキャ水辺で戯れていた若者たちがいた.その様子からすると水はかなり冷たいようだった.
下は,モンタザ宮殿の庭
アレキサンダー王朝時代からプトレマイオス朝時代,ローマ支配時代やキリスト教時代に至る遺物を幅広く収蔵している.
ギリシャの影響を強く受けた展示物が多く,古代エジプトの芸術はどちらかと言えば平面的なのに対して,ここでは立体的である.例えばこの彫刻を見れば,エジプト的というより,かなりギリシャ的な感じがする.
元々あった場所と同じように,壁画のある元の部屋を丸ごとここに移し展示してある.
下は,グレコローマン博物館展示物
カタコンベと呼ばれる地下墓地の内部.柱頂部などはローマ風(もしくはグレコローマン風か?)文様に見え,壁画は明らかにエジプト風である.
彩色壁画を施した玄室内部.部屋の三方の壁には棺を収める窪みがあり,高貴な家族用の玄室のようである.
下は,カタコンベの写真
小高い丘の上に建つ高さ25m(台込みで31m),周長8m赤色花崗岩製の柱,まるでオベリスクの様にそびえ立つ.ディオクレティアヌス帝のために建てられたという.この場所にはセラピス神殿という400本の列柱から成る巨大神殿があったのだそうだ.なお”ポンペイ”という呼称自体には意味がありそうで実は深い意味はないということだった.で,どういう意味か.....はわからない.
(左)基部は相当太い(写真の撮り方がまずく,人と比較しにくいが....).(右)頂部の文様は誰が見ても明らかにエジプト風ではなくローマ風であろう.
時おり幼児の歓声が沸き上がっていたので,幼稚園でもあるのかねー?とか話し合いながら回りを見渡してみたが,それらしきものは見えなかった.アパートのような建物が多いようだった.
地下のアレキサンドリア図書館への入り口.他所で述べたように,エフェソスのセルスス図書館,ベルガモンの図書館とともに,世界3大図書館のひとつと言われるのだそうだ.アレキサンドリアには現在,国連(だったか?)の援助の下,数万人が入れるという大図書館を建設中で,今年初夏の頃完成予定だそうだ.
たしかソクラテスとかプラトンとかがここで書を読んだらしい.どうして地下の暗いところで読むの?と問えば,「静かだから」とガイドのマフムゥドさんが答えてくれた.当時でも外は煩かったのだろうか?しかもこれら哲人の方々は読むだけでなく,後世何世紀にも渡って世界の人に読まれる書を記したのだ....こんな暗い中で...
アレキサンドリアが面する地中海海岸.前述のようにアレキサンドリアは,紀元前4世紀,アレキサンダー大王により建設された.以後,プトレマイオス王朝の首都となり,王朝最後の王は,かのクレオパトラ女王.
この人ごみの雰囲気,つまり顔つきとか服装とか街並みとか....,はエジプト的だ.地中海性気候の世界的リゾートとして,エジプト南部やヨーロッパ各国から客を集めるという.なお,かなり大きな通りであっても信号機は殆ど無いので,通りを渡るのは大変である.
少し入り込んだ通りはさらにエジプト的だ.アレキサンドリアの中心部から東端のシェラトンモンタザホテルに帰るのにタクシーを用いたが,予め「メーターは飾りで動かない」と聞いていたので,乗る前にサダムフセインそっくり(に見えた)運ちゃんと料金交渉した.距離の割に5~600円くらいで,安いと思った.ただ,アメリカ領事館辺りで,現在の中東情勢下,米国のイスラエル寄り姿勢に抗議するデモに遭遇し結構時間を要した.
下は,アレキサンドリア市内の写真(1)ホテルから眺めた地中海,アラビア文字のシェラトンモンタザ,行き交う人々や馬車,水パイプを吸う焼きいも屋さん,焼きいもの屋台(かまどの外側にいもを立てかけ焼いている),シリアから迎えた馬上の名君主(名前,思い出せず),等々
下は,さらにアレキサンドリア市内の写真(2) 大通りの美しく広い分離帯(でも信号は無い),馬車,果物屋,秋葉原でもないのにプリント板まで並べたガラクタ屋,走っているバスに飛び乗る人々,地中海の夕暮れ