このベシャムへ編では,ベシャム付近のGoogleマップ,2017年8月5日カリマバードの朝,三大山脈合流点辺りまでの風景,ナンガパルバット眺望点辺りまでの眺め,ベシャムに到着するまでの写真を載せました.
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さて8月5日カリマバード6で朝になり,マイクロバスで出発し三大山脈合流点を通過,次いでナンガパルバット眺望点辺りまで走り,更に南下を続けベシャム4に着いた.
8月5日は見事な程の青空で明けた.早朝写真を目論んでいたOさんも見事な朝焼けに恵まれたのではなかろうか.
私たちは朝食後Darbarホテルにお暇し,マイクロバスに乗り込んで出発した.
バス窓の光景は,絵に描いた如く美しい緑輝くフンザだ.私は来たことがないのだが,春先はこの緑を薄ピンクに替え,秋はイエローに色変換した景色になるのかな~と想像してみた.
カリマバードでは普通ないと聞いたミナレットを備えたモスクが見えた.ここはフンザ川を越えたナガールのエリアに入ったところだろうか?
なおDarbarホテルで夕食が始まるころにはいつもアザーンが聞こえてきたものだが,川向うナガールのミナレットから流れ来るものと教えられていた.相当距離があるにしては大きな音量だった.
上モスク近くでラカポシがきれいに見えた.麓大氷河の融解水が下方緑の大地を潤しているのだろう.素晴らしい!
往きでも立ち寄ったが,同じ(公式?)ビューポイントに着いた.今日は見えるのだ.
茶屋の旦那は表に出ているが,呼び込みとかは一切せず,静かだ.お隣りインドとかだと大変な喧騒に包まれるが,ここは穏やかで安心して見物できる.カテゴリーが全く異なるが,デコトラ文化の賑々しさと対比して考えるのも興味深い.
いや~ここでもよく見えた.それにしても直上のカリマバードでの山容と全然違って見えますね.別の山のようだ.
これまでここからは一度も見えたことが無かったし,またカリマバードとは全く違う形で見えただけに感慨もひとしおだ.
フンザ川は既に過ぎ,ギルギット川になったようだ.その濁流と背後の岩山に挟まれた緑の大地が美しい.仔細に眺めると,カリマバードのように住宅は密集して居らず疎らだ.そしてその戸数は少なく,各戸の周囲には畑が見える.
街道脇に小さなお店の並んだ街に停車した.近隣の村から農作物を持ち寄ったり,また買い物をする市場のようなところに見える.
この辺りからは,フンザと違って女性の姿を見かけるのが稀になってくる.イスマイル派が主流の地域から,スンニ派主流の世界に入ってきたためであろう.
北半球の7月ゆえ,やはりスイカやメロンが大量に並べてある.もちろんお店によってはパキスタン特産(主に南部で産出)マンゴーなど取り揃えてある.
スタッフの皆さんが見繕ってくれている.楽しみだ.
そのうち北から流れ来るギルギット川(上流はフンザ川)と,東から来るインダス川合流点に至った.説明看板が架かっていた.
見物の女性は南部パキスタン風原色衣装だ.ちょっと暑そうだ.
左デコトラが南下しているKKHは,その右が濁流のギルギット川,それにちょっとしか写ってないが右(東)から流れ込むインダス川だ.
合流後はインダスが名を継承する.
ギルギット川とインダス川合流点はまた,ヒマラヤ,カラコルム,ヒンドゥークシュ三大山脈合流点でもある.そしてその標識(マップ)が掲げられていた.でもこのマップは北ではなく東が上になるように描かれているのですね.頭を90°回転して見れば済むが,アホっぽく見えるから止した方がいいかな.
ところで今回訪れたカラコルムやヒマラヤはいいとして,ヒンドゥークシュ山脈は,マップのページで掲載した外務省のパキスタン危険情報の如く,勧告レベル4若しくはその近くにあり,ちょっと訪れることが難しくなったのは残念だ.
ヒンドゥークシュとは『ヒンドゥー(つまりインド人)殺し』の意であるそうだが,過酷な自然が越えることを阻んだのが原意であろうが,今は政治的に訪れることが阻まれる状況だ.
山脈合流点標識から南下を続け,マイクロバスは給油所で停車した.ところでパキスタンは石油を産するが,消費をすべて賄うには至らず,多くは輸入しているそうだ.
さてここからはナンガパルバット(Nanga Parbat:8,125m)がきれいに見えていた.東の稜線辺りからは高く雪煙が舞い上がっているように見える.きっと暴風の中であろう.
給油所近くに小さなレストランがあった.店主がかき混ぜている鍋を覗かせてもらった.はっきりしたわけではないが,日本のヤキトリ屋の煮込みのように見えた.このお店は他の料理は見当たらず,つまり煮込み専門店と云うことになろう.
給油中にトラックやバスドライバの皆さんが間食するのに都合良さそうだ.
バスはまた小さな街に入っていった.大きな街路樹がなかなかいい.出歩いているのは例によって殆ど男性である.
つまりこの辺りでお使いは男性の役割ということになる.
狙いは美味しい果実だ.スタッフの皆さんが試食して品定めし,買ってくれた.ここでは確かブドウで,ベシャムの夕食デザートで味わせてもらった,と思う.
パキスタンで代表的な料理,ケバブ(Kebab)の露店.日本のヤキトリと比べて串が金属で巨大だ.
後ろでは跡取り息子さん(と勝手に決めつけた)が親父さんの一挙一動を見守り,やがて首尾よく跡が告げるようワザを学んでいるところだ.いい息子さんだ.
果物を仕入れバスは進んだ.そしてちゃんと大きな看板の掲げられたナンガパルバット眺望点に至った.ここからナンガパルバットは近いので,大きく望める.
しかし,上の給油所で眺めた方角と同じであるため,その時とほぼ相似形で,ラカポシの大変化に出合ったときのような感動は味わえず,軽く失望.人間徐々に欲深くなり,普通に美しい程度では満足に至らないのだ.
ナンガパルバット眺望点を越えると,そのナンガパルバット方面に分岐するというライコット橋を眺めつ,通過した.
そしてチラス(Chilas)の街の少し手前で,大人気という,この赤い外壁ローカルレストランでランチを頂くことになった.
イスラムの掟で女性や家族連れはメインのダイニングルームには入れない.別の専用室や,写真のテラス席に限定されるのだ.ただイスラマバードなど大都会では,実際翌日体験することになるが,そうした制限が緩和され同席可能なレストランも増えてきたそうだ.
人気のお店ということで混み合っており,私たちは先客のこの三人家族に同席させてもらった.
焼きたてのナンに,ダル煮,オニオン,ビーフソテー....などだった.なかなか美味しかった.やはりオーブンで焼き立てナンは熱々でふっくら,最高だ.
さらに先ほど途中の街で調達したマンゴーも出してもらった.マンゴーは何と言っても最高だ~家では滅多なことでは食べられないし....うれしい.
KKHには遠距離定期バスも運行しているそうだ.ドライバーは交代しながら走り,食事時は適宜こうして停まるようだ.
上の立派なバスに比べて圧倒的に多く走っているのがこうしたマイクロ,いやミニバス.定員などどこ吹く風,いやそうした言葉自体存在しないが如く,満載で走っている.落ちないように気を付けてくださいね.
この辺りは高低差が小さくなったのか,インダスの流れが緩やかで,悠々としてきた.しかし水の濁りにあまり変化はないようだ.
途中インダスに流れ込む支流は時々あるようで,小さいがこうした清流の谷川も流れ込んでいる.泥流と比べて文字通り清々しい.
途中KKHで通行止め区間に遭った.何でもこの辺りにダムが建設予定だそうだ.建設されるとKKHのこの辺りは水没し,通行不能になるという.
そこでダム建設に先立ち,このKKH上部をトラバースするバイパスを建設工事中なのだそうだ.工事では,発破で岩を砕いたのが,防護壁が不十分で,この下まで岩が落ちてきた.そして現在その落下した岩を撤去している作業中で,こうして通行止めになっているという.
ということで,暫く待ち,通過した.なおダムは発電と治水用途で,工事はやはり中国政府の肝いりという.
さてここはどこだったか,人出の多い街を通過.ここは徹底的に男ばかりで女性は全く見ない.
やがてKKHはインダスを離れたのか,深い谷を覗く高所を走るようになった.なかなかいい眺めではあるが徐々に夕闇がせまり,よく見えなくなっていった.
何と午後10時,ようやくベシャムPTDCホテルに到着した.ドライバさんごくろうさまでした.
PTDCホテルレセプションでチェックインしてもらう.エアコンはなく暑い.ちょうど東京くらいの暑さがありそうだ.
チェックイン後,レストランに行く.私達より少しだけ早く到着したと見られる,マレーシア?いやシンガポール?辺りと思しきアジア系団体が食卓に着いていた.そして私達も食卓に座り夕食を頂く.
PTDCホテルの客室はインダスの畔に並び,結構質素な部屋だった.給湯やエアコンはもちろん備えず,頼みの天井ファンは一見スピードコントロールダイアルが付いているのだが,実際はON/OFFで,ONにするとガタガタひどい騒音で結局OFFする以外手はないのだった.窓とドアに一応網戸があったので開けて寝ることにした.
いや~それにしても暑いところだ.