このルセ編ではブカレストを出てルーマニア側国境の街ジョルジュに至り,ここからドナウ川の橋を渡り,ブルガリアに入国し,ルセの街に入ったときの写真を載せました.
ブルガリアのルセはこの辺りに位置している.
3月18日朝,私たちはバスでリングランドホテルを出発した.少し走ると郊外に出て,通勤で混み合う路面電車の走るエリアに出た.この辺りには前日とは異なる火力発電所が見え,製鉄関連工場があるそうだ.
そして程なく農村地帯に入る.この辺りはドナウ川によって形成されたドナウ平野の一部になるそうだ.年配の男性が牛の世話をしている.なかなか長閑な光景だが,ここも散乱するゴミがいささか気に掛かる.
ルーマニア南端の街ジョルジュ(Giurgiu)に到着した.ドナウ川に面したブルガリア国境の街でもある.ここではブルガリアのガイドDさん(写真中央)とバスが待ってくれており,これまでお世話になったルーマニアガイドAさん(左)とドライバさん(右)に交代した.ありがとうございました.
さてこれからドナウに掛かる橋を渡り,国境越えだ.
下は,ジョルジュへ行くときの写真
ドナウ川はルーマニアとブルガリア国境を流れている.マップのページを拡大して眺めると,どうやら2国間国境線の3/4くらいの長きに渡っているように見える.ドナウは11ヶ国を通過し,全長は日本列島より長いそうだが,その30%はルーマニア/ブルガリアが占めるという.
さてそこに架かる橋(ドナウ橋/Dunav most)をルーマニア側から渡り始める.写真でも見えるくらい路面は凸凹に傷んでいる.新しく交代したガイドDさんが『ルーマニアの財政は大変なんです』と解説してくれる.
川向うはブルガリアはルセの街であるが,川の畔には煙突の多い工場群が見えている.何となくドナウ川のイメージを損なっているように感じるのは....旅行者の勝手か.
橋の真ん中が国境で,橋には『BULGARIA』という看板が掛かっている.そしてここから路面が急に良くなる.ガイドDさんが,誇らしげに『ブルガリアの道はいいでしょう』と話してくれる.ところがここ最近のブルガリア経済は大変な状況で,それが元で政治的にも混乱し,この日の10日前,急に大統領が辞任,選挙の準備中なのだそうだ.元々経済規模は青森県と同程度だそうで,聞いて驚いてしまった.
ルーマニア同様,ブルガリアは2007年には国民の待ち望んだEU加盟を果たしたが,加盟時はEU最貧国であったそうだ.しかし加盟後国民が期待していた経済の好転はなく,むしろ物価は上昇し,国民の実質所得が低くなり生活は悪化.賃下げに抗議し焼身自殺を図る人が出るなど,今はEU加盟を悔やむ人が多くなったそうである.
橋を渡りきった先にブルガリアのパスポートコントロールがあった.普通EU内ならフリーパスと思っていたが,ブルガリア(やルーマニア)は普通に審査があり,スタンプが押される.通貨が独自でユーロが認められないように,フリーパスにするには所定の基準を満たさないといけないらしい.まあ,一部の国のように長時間要する訳ではないので構わないが.
入国後ルセの街に入った.ルセは人口18万人ほどで,ブルガリアでは大都市になるという.公共交通機関としてトロリーバスが活躍しているようで,よく見掛ける.
ブルガリアに入って先ず感じるのは文字,キリル文字が標識や看板に使われていることだ.私は読めないので,ルーマニアより厄介な国だな~という印象になる.キリル文字は当然大国のロシアから来たものと思ったが,実はブルガリアで発明され,ロシアに伝わったのだという.これを聞いて,誰もがへえ~と感心することしきりだった.
ガイドDさんはついでにもう一つブルガリアの厄介な事柄を教えてくれた.ブルガリアでは『Yes』のときには首を横に振り,『No』で首を縦に振るという,うそーっ,そんなバカな!と思うややこしい掟があるのだそうだ.まあ,ブルガリア語は一切話せないし,遭遇する場面はなかろうが.....それにしてもこれではまるで赤穂浪士の『山/川』など全くものともしない難解な暗号であろう.
ルセは,東欧はドナウ河口近くに位置した港街で,昔からドナウ上流,ドイツなど西欧諸国との交易が盛んだったそうだ.関税を軽減するなどの措置で経済的に繁栄し,同時に西欧文化も大いに伝わってきたということだ.写真は昼食を食べたXOTEAホテル前の通りであるが,なるほど建物など西欧的なような気もする.
下は,ルセでの写真