ベルキアBeurkia
このベルキア編では,2019年2月9日カライ北のキャンプで朝が明け,カライ市場を見物し,その後延々と西に向かう,そしてトディの井戸を見物,さらに夕刻ベルキアへ至るときの写真を載せました.
ベルキア付近のマップmap around Beurkia
カライ北17を出発し,カライ市場を見物し,その後延々と西に向かい,トディの井戸を見物し夕刻ベルキア18に至る.
別窓で大きなチャド付近Googleマップを開くカライ北の朝morning at North Kalait
カライ北の朝が始まる
カライ北キャンプサイトの朝が始まった.テントを畳み,朝食を頂き,そしてスタッフの皆さんが車に積み込む.
砂漠の向こうには牛が多分朝の餌場に向かって進行している.周囲の景色を見る限り砂漠は続いているので餌場までは相当距離がありそうだ.
カライの町を目指し出発
私達の車はカライの町を目指し出発した.間もなく牛の列に追いついた.先程の牛たちであろうか.
カライ市場Kalait Souq
カライ市場に到着
未舗装の道の両側に,バラック小屋の店舗が並んでいる.先ずこの中の一軒のパン屋さんで美味しいフランスパンを仕入れたそうだ.ランチと夕食に期待しよう.
道の真中にも商品が展示されている.金物屋さんのようで,じょうごや熊手,斧,鍋など見える.じょうごは先が曲がっており,車の給油用であろう.
白い模様の付いた陶器
白い模様がなかなかおもしろい.陶器は素焼きで,焼いた後に白い塗料で描き入れたように見える.陶器は底が丸く,座らないので土中に埋めて食料貯蔵などに使うのか.でも埋めてしまうと折角の白い模様が見えなくなる.いや模様は下部にはないので,半分だけ埋めるのかな.....
鍛冶屋さんのディスプレイ
鍛冶屋さんの前でできた製品が展示されている.ナイフ,鍬の先と木の柄,ハンマー,熊手,穴あきパン(どのように使うのか?),他いろいろ不明なものがある.
他から卸し,ここで小売するのではなく,ここで製造販売しているようだ.
ふいごで吹く鍛冶屋の少年
鍛冶屋のショップでは少年が手動ふいご(鞴)で送風し,写ってないが右手前の親方が熱した鉄片の加工をしている.炉は囲炉裏程度の小さなもので,木材が燃料のようである.
鍛冶屋少年がナイフ使用法をデモ
この鍛冶屋少年はチャドでは異端であろう,大変友好的で,製作したナイフ使用法を見せるから写真に撮れ,と言ってくれた.
チャドではナイフの鞘は左前腕に括り付け,右手でナイフを抜いて使うのだ.なるほど.
侍であれば小刀は腰帯に挟み込み,任侠映画のドスは懐に,マフィア映画なら下腿内側に....とか,いろいろ流儀があるが,サハラでは左前腕が定番なのであろう.
ラクダの鞍飾り
ラクダの鞍の後ろ側に取り付ける飾りと思われる.カラーコーディネートや,図形やその配置,なかなか見事ですね.
ラクダの鞍
こちらはラクダの鞍本体構造体.これをラクダの背に固定し,上にクッション材を載せて鞍になるのであろう.
左側金銀黒の棒状の部分は装飾で,ここに上述の鞍飾りを取り付けるのではなかろうか.
道具箱,斧,細い鍬,ハンマーなどのお店
これでもかと原色を塗り立てた箱.遠目には寄せ木細工のようにも見える.この箱と関係あるのか,ないのか,その前に斧,細い鍬,ハンマーなどを取り扱っている.
こちらも鍛冶屋さん
やはり上の斧,細い鍬といった製品を作っているようだ.ここでは右手に助手がいてふいご操作など行っているようだ.
しっかりした建屋の売り場もあり
こちらはコンクリート造りの長屋構造で,各お店本体には鉄の扉が設けられ,庇部も本体同様コンクリート構造だ.
穀類のお店,水やジュース,スナック類のお店,....等々の店が揃っている.
ヤギ売り場
ここではヤギが売られている.飼育用なのか精肉用なのか....
馬車で引き上げる人たち
空荷になった馬車で引き上げる人たちだ.きっと卸し業者で,オアシス近くの農家から野菜など仕入れ,この市場の小売店に卸して,今日の仕事は完了.それで引き上げる......もちろん全部想像ですが.
西に向かうgo West
ヤギを連れた家族
カライ市場で食料の仕入れ,私達は見物,が終わり,ランクルは西に向けて突き進んだ.風があるので砂塵が漂い視界はクリアではない.
暫くしてヤギを連れた家族を追い越した.女性は二人はロバに跨がり,少年二人は徒歩で,ヤギをガイドしている.さてどこに向かうのでしょう.
戦車と連装ロケット砲車の残骸
また暫く走るとキャタピラーが外されるも砲身の残る戦車残骸があった.
その背後には連装ロケット砲を搭載した車両の残骸も見える.
これらはやはり対リビア戦で,リビア軍の残したものであろうか.
家畜を連れた一団の移動と交差する
今度はラクダに乗った男性が家畜を連れた一団が私達とクロスする方向に悠々と移動して行った.
周囲は乾ききった砂だけのように見えるが,大きな木が列状に並んでいるので地下水脈が流れているのであろう.
ロバで移動の家族
二人の女性(多分母娘)はロバで,少年は徒歩で移動する家族にまた出会った.どうやら原則女性はロバに跨がり,少年は歩くようだ.
日干しレンガに筵屋根の住宅
砂漠の中に日干しレンガに筵屋根のかなり大きな住宅が見えた.折りたたみできない形式なので定住部族の住まいであろう.
左手に見える構造物はミレットなど食料貯蔵庫であろうか.
ここらでコーヒーブレイク
ここらでコーヒーブレイクになった.大きな木はなく,砂嵐に痛めつけられ,曲がりながらもなおしぶとく踏ん張る木が疎らに生えている.
砂漠で飲むネスカフェもまあそれなりに美味しい.
ヤギを連れた少年
私達の休んでいるところにヤギを連れた少年二人が現れた.まだ小学生くらいで,とても若いがヤギの世話は十分こなしているようだ.頑張ってね.
手前の蔓性草は,実を付けていないが,例の強い毒性を有するスイカの原種コロシントウリではなかろうか.
次はラクダのいる辺り
ブレイクの後,西進を再開した.そして今度はラクダのいる辺りを通過した.ラクダは地面に顔を付けているので,幾らか枯れ草が残っているのであろう.
大きな木の下に来てランチ
さてこの日の行程の半分くらい進んだであろうか,大きな木が数本並ぶところに到着した.
そしてこの木陰でランチを頂くことになった.朝調達したフランスパンが含まれていた筈だ.チャドのフランスパンは硬くなく美味しいと思う.
棘のある木の枝に鳥の巣
背後の木は棘がいっぱいある.棘があっても物ともしない鳥がいるようで,大きめな巣が作られていた.
できれば巣の主を見てみたいものだが,姿も見えず,鳴き声も聴こえない.今はどこかに移動している期間なのかも知れないが,このような砂漠に棲む鳥がいるなんて,不思議というか,感心というか....
フェネック(fennec)の死骸
食後暫く走るとフェネック(fennec)と呼ばれる動物の死骸に出合った.交通事故か,行き倒れたか....理由は不明だ.
フェネックはフェネックギツネ(fennec fox)とも呼ばれ,キツネの仲間という.夜行性で,砂地に深い巣穴を掘って暮らし,全身を厚く包む柔かい体毛は寒暖差激しい砂漠に適すそうだ.また写真のように大きな耳も特徴で,放熱と,砂の中の小型哺乳類や昆虫などの獲物探しに役立っているのではとのことだ.
食料は上述の他鳥類や卵,爬虫類,植物の葉,根(これから水分も摂るそうだ)...と,雑食性という.
フェネックは可愛いので世界的に人気があり,動物園や家庭のペットとしてよく飼われているそうだ.屋外の囲いで飼う場合,穴掘りが得意なので,囲いフェンスは地下数mの深さまで必要だそうだ.
トディの井戸Todi Well
ラクダがたくさん集まったトディの井戸
また暫く進むとたくさんのラクダが集まったトディの井戸(Todi well)に到着した.リーダーTさんが交渉に出かけ,遠くからなら写真を撮ってもいい,との許可を得てくれた.
ラクダは何日間も水無しで生きることができるが,時どき飲み溜めもするようである.体内に水貯蔵袋を備えるのだそうだ.
さらに背のコブには脂肪が蓄えられ,エネルギ源として脂肪が保存されるが,一部脂肪は呼吸で得た空気中酸素と反応し,水を合成する機能もあるのだそうだ.いや~すごいもんですね.
トディの井戸はとても深い
トディの井戸は,これまで見てきた井戸と比べて圧倒的に深く,100mくらいありそうである.そのためロープ端につるべをプーリーを介して深く深く垂らし,ロープの反対側をラクダで引かせ,水を汲み上げるようだ.
こうした一連の作業は複数人が手分けして行うわけだが,右端ラクダ上の親方が全体の動作をコントロール指示しているようだ.
ロープを引くのは若い女性のラクダ
意外なことにロープを引くのは若い女性の乗ったラクダだった.結構なスピードで,半ば走るが如く引っ張る(写真では薄いが少し傾いたロープが見える)
若い女性が引き方役なのは,ラクダレースの騎手が身体の軽い少年が担当するのと同様,ラクダの負荷を小さくして水汲みをどんどん続けるためかなと思った.
ところでチャドと言えば600万年~700万年前生息していたとされ,世界最古のヒトの始まりではないかと言われるサヘラントロプスチャデンシス (Sahelanthropus tchadensis),ニックネームトゥーマイ/Toumaiの化石は,この辺りからかなり西に行った砂漠で発見されたそうだ.
Eさんは一度ンジャメナのギンギンに冷やした(その理由は謎)博物館に展示されたレプリカを見たことがあるそうだ.本物は仏の研究機関が持っているようだ.できれば私ももちろんレプリカでいいから見てみたいな~(言うまでもなく単なるミーハーです)
ベルキアへarrive at Beurkia
スタックされた車を押す
上り斜面でスタックされた.先ずは皆で降りて手で押してみる.このときはこれで抜け出たように思う.だめなときは,空気圧下げ,砂掘り,金属板挿入....など順次追加作戦を採る.
この辺りではまた戦争の残骸,そしてガゼル
抜け出て暫く進んだ.そしてこの辺りからはバハルエルガゼル(Bahr el Ghazal)と呼ばれる川(の跡)で,今は水が無いが,少し凹みがあり,雨季には少し水が貯まるようだ.古代巨大なチャド湖はやがて南北に別れ,それをつなぐ川がバハルエルガゼルだったそうだ.水位は南湖が高かったので南から北に流れたそうだ.今は北湖はなく南湖も縮小し,バハルエルガゼル川もこの通り凹み(素人目にはちょっと判らないが)程度で乾いている.
この辺りではまた戦争の残骸が残されている.戦いは相当広範囲で行われたようだ.
そして前方には非常に速いスピードで駆ける動物が数匹見える.私のレンズでは遠すぎて写らないが,ガゼルの一種ドルカスガゼル(Dorcas gazelle)ということだ.川もガゼルが付き,動物もガゼル.....混乱してきた.リビア兵が入ってきた頃ちょうど良いハラール(halal)食品材としてたくさん捕獲されたが,幸いダチョウと違って絶滅は免れたということだ.
なおジャッカルやハイエナは非ハラール(non halalまたはハラーム haram)なので,捕獲されなかったということだ.
ベルキアに到着
ベルキア(Beurkia)に到着した.広い原っぱで風が強い.テント入り口の方向を定め,フライシートはペグだけでなく,砂を載せてバタつきや砂侵入をなるべく抑えなくては.といろいろ手を打ったのだが,やはり内部は砂だらけになった.
陽が沈み,暗くなり,夕食を頂いた.この日は気温も低めで,ガイドEさんや星に詳しい同行Aさんに星座,当晩は特にさそり座に関してのレクチャーを受けそそくさと引き上げた.いずれにしても,この場所でさそり座は明け方にならないと見えないそうだ.
そして明け方4時半くらいであったか,起きて空を見上げてみた.....でもよく判らない.幸い近いテントのAさんも起きてこられたので,現物を見上げながら詳しく教えてもらった.大まかに言うと大文字のJの字形だ.ありがとうございました.