アゼルバイジャンでの〆は,ゾロアスター関連の見どころがあるマンマンディに寄り,空港に向かうことになった.
マンマンディと呼ばれる地方のここでは,天然ガスが吹き出ており,自然発火したものが,ず~っと燃えているらしい.多分2000年,3000年と.これが拝火教とも称されるゾロアスター教を生むトリガーになったと言われるようだ.なおマンマンディ以外にも火が吹き出ているところはあちこちにもあるそうである.
マンマンディやその周辺にも油井がたくさんあった.小さなポンプがいっぱい林立しているのがアゼルバイジャン油井の特徴か.装置も結構年季が入っているように見えるものが多い.原油だけでなく天然ガスも同時に産する場合もあるようで,パイプラインはオイルが黒(ともう一色,確か灰色),ガスは黄色に色分けされ,事故やメンテナンスに備えているそうだ.汲み上げ直後の細いパイプがどんどん集められ,次第に太くなっていく様が見える.
ところで最終的なパイプラインは,グルジアとその西端にある黒海まで延びているそうだ.グルジアへの供給と他国への黒海からのタンカー積み出し用であろう.
ゾロアスター教寺院の1つが,マンマンディ近くの町にあった.ゾロアスター教は善と悪の二元論を特徴とし,善の勝利と優位が確定されており,世界最古の一神教であるとされるようだ.ゾロアスター教は一般にイラン発祥と言われているが,実際はアゼルバイジャンとの説も有力なようだ.根拠として,Azerbaijaniのアゼリー Azeriはアゼルバイジャン人(トルコ系),言葉を指し,さらにAzeriの語源をたどるとペルシャ語のazar=火に行き当たるらしい.また現アゼルバイジャン領の一部にはペルシャ系民族が多く居住し,昔から上述の燃える山があり.....ということでゾロアスター教発祥の地はアゼルバイジャン,というのがより確からしい.でも,結局はアゼルバイジャンという地で始まったが,ペルシャ系民族の発想ということかな?
たまたま礼拝中であったが,自由に見学が許された.またUS$2だったかUS$3だったかで,写真もご自由にということだった.礼拝は明るいメロディーをバンドが奏で,一人の女性歌手が高らかに歌い上げ,参列者が周りで聴いているという形式だった.私たちが居た間,歌手は交代したが,ず~っとそうした様子が続いていた.説教とかあるのであろうか?着飾った演奏者の音楽はいかにも楽しげに聞こえ,参列者はリラックスしている様子で,とても印象深い礼拝に巡りあえて良かった.
教会は高い塀に囲われ,中央には四角形の建物の上部4つの角から本来は炎が立ち上る(実際は火がなかったが)拝火塔が設けられている.また塀際には幾つもの部屋があり,博物館として使用されていた.例えば地下から吹き出る天然ガスを拝火塔の頂部に導くパイピング装置とか,古代の裁判や牢獄の様子を表した人物模型とかあった.国内のゾロアスター教会の分布状況を示したマップを見ると意外と数多くあるように感じた.
下は,ゾロアスター教会の写真あれこれ
こうして楽しいアゼルバイジャン見物は終わった.ゾロアスター教会から周辺の小さな町を幾つか通り,バクー空港に行った.バクーから,アエロフロートロシア航空機に乗り込み,モスクワで乗り換え成田に降り立ち全行程を終えた.