ルスタベ通りはトビリシのメーンストリートで政府機関建物やオフィスが並んでいる.ここはラディソンホテルの前.EU未加盟のグルジアであるが,ロシアとの関係は悪く,EUやNATO加盟が大きな目標になっているという.なので街の中は未加盟に拘わらずEU旗があちこちで見られる.
ストライプの外壁が強いアクセントだ.いずれにしてもオペラハウスの存在自体がヨーロッパ文化圏を匂わせる.正式にはTbilisi Zakharia Paliashvili Opera and Ballet State Academic Theatreと長い名称で,Zakharia Paliashviliさん(1871-1933年)はグルジアオペラの父だそうだ.
横の庭には糸杉,ルスタベ通りは大きなプラタナスの並木もあり,こういった建物と共に歴史を感じさせる.
宿泊したトリホテルの直ぐ近くに議事堂があった.1992年グルジア軍の一部がクーデター,2003年シェワルナゼ政権打倒のバラ革命はじめ,大きな闘争の舞台になってきたようだ.しかもまだまた多くの火種は抱えていようから,さてこれからどうなっていくか?
下は,ルスタベ通りの眺めあれこれ
さらにルスタベ通りのスナップ
大きな建物に野菜,果物,肉,魚が中心,他に穀類や,周辺に雑貨など並ぶ市場を見物した,
ここは2階にある陽が降り注ぐ一等地ではない場所,少し暗い場所で裸電球を下げて営業していた.天候に左右されず,光も強過ぎないので葉もの野菜には寧ろいいかも知れない.並んでいる野菜は割とよく見かけるものが多いようだ.
生肉や加工肉は結構豪快だ.この写真はもも肉が主であるが,お店によっては豚一頭の燻製とか生肉が販売単位だったりする.アルメニアもそうであったが,この国も特に男は肉の摂取が多いそうで,しかも特に豚肉は好まれるようだ.あくまでガイドのディービッドさん,ハジミクさんの話の範囲であるので多少偏りがあろうが.イスラムではないから別に驚くにあたらないのであろうが,ビーフやマトン,ラムでないところがおもしろい.
あと少しでイースターが訪れる.市場でも,その脇の路上でもイースターエッグを染める野菜,いや木の根?が販売されている.イースターエッグの伝統は断食が終わることを祝うためであるそうだ.一般に東方教会では,血を流さずに採られる卵は酪農食品に分類され,断食中は肉や魚とともに禁食の対象となるようである.
ところでこのような季節商品のショップは,これ以外の時は何を商うのか疑問に思ってしまうが,日本でしめ飾り,中国の春節飾り,ヨーロッパのクリスマスツリー....と,同じような類はいくらでもあるから心配ご無用であろうか.
下は,市場の写真
市場近くに大きなスタジアムがあり,6万数千人収容できるようだ.横浜国際スタジアムより少し小さいくらいの規模であろうか.グルジアで一番人気のスポーツは当然サッカーだそうだ.ちなみに野球はルールも知られておらず,.....やはり,とは思うが.
下は,さらに市場とその界隈の写真
紀元前のなかなか見事な金細工や宝石加工品は特に印象深い.キリスト教以降のイコンや彫刻も多い.これらの品々は,一度の入室者を10人余に制限した部屋に収納展示され,専門スタッフが解説にあたってくれた.
他に絵画を展示した部屋があったが特段の名作があるという訳ではなく,まあカジュアルなギャラリーといった趣だ.なお内部は撮影禁止だったので写真はなし.
かつてマルコポーロが「絵のように美しい」と称えたというトビリシ市の背後にムタツミンダ山という山(丘)が広がっている.標高727m,市街からの標高差は300m程度のようだ.下からは頂上にテレビ塔が立っているのが目立つ.緩やかな斜面下部は住宅街が広がっており,上の方では牧場や農地,林野などが続いている.
頂上からはトビリシ市と,このとき天気は良かったのではるか遠くの大コーカサス山脈が見渡せた.頂上には遊園地,確か休業しリニューアル中,や再建工事中の大きなレストランがあった.また山の中腹には民家が所々に点在するが,ここの地主なのであろうか?
下は,ムタツミンダ山の写真あれこれ
初めて観たグルジアンダンスであるがすばらしい!左写真は剣の舞とでも言おうか,動作がとても俊敏で激しく,互いの剣ががんがん当たり,火花が散るのだ.硬い床を膝を折り,膝でステップする動作などもあり,怪我をしないか心配になったりする.少年が演じたダンスも青年に負けず素晴らしかったが,多分中年以降は無理であろう.フラメンコなども動作が素早く,軽快であるが,グルジアンダンスはそれにダイナミックな要素が一段と増強されたような感じだ.
下は,グルジアンダンスの写真あれこれ
初日の夕食は石畳の道を登ったところにあった.初めてのグルジア料理は,はてどんなだったかな.....背後の中央ステージの演奏と歌は上手であったが,大音量過ぎた.過ぎたるは及ばざるが如しの印象残る.右はレストラン近く,建設中の教会.金色に輝く屋根が遠くからも目立つ.名前は失念してしまったが.
崖をくり抜いてレストランに仕立てた,何と言うか,古い民家風或いは洞窟風素朴な雰囲気で仕立てた店だった.実際少し寒かった.筆者の場合料理そのものの印象があまり残らないのが問題かも.
これは2日目の夕食だったか.ここでも演奏と唄があった.バンド,ソロ演奏,ヴォーカル,結構な数のミュージシャンが出演していた.ところでトビリシ郊外街道筋にはレストランが並んでいるが,ディービッドさんによれば,グルジア人は食事や音楽が大好きで,それにかなりのお金を消費する,ということだ.
終わりの日はトビリシを流れるムトゥクヴァリ川の上に架かるがごとく建てられた三方見晴らしの良いレストランで昼食を食べた.下流側に堰(ダム)が見え,上流側には住宅や教会などトビリシの中心部が見えていた.食事そのものはナスとかチーズとビーフだったか....それまでのグルジア料理と大きな違いはなかったような.
ホテル近く,国会議事堂の向かいにはカシュベティ教会という教会があった.道行く人が,時々立ち止まり十字架を切ったり,お祈りしている姿が見られる.また教会内で灯すのであろう,道端で蝋燭を買い求める人々も多く見られる.
雨で霞んではいるが向こうに金色の屋根の教会が見える.建物のデザインそのものは,感覚的にはグルジアの基本様式に則っているように見える.まだ工事中であるそうだが,とても目立つので完成の暁には信者も観光客も押し寄せるのかも知れない.
下は,トリホテル近くでのスナップ
カヘチアなど観光し,トビリシに戻りグルジアの行程を終えた後トビリシの空港に向かった.郊外にはソ連時代の集合住宅と私営集合住宅が混在して建てられている.家賃は前者でUS$100くらい,後者でUS$150くらい要するそうだ.普通の人の給料がUS$150程度であるそうだから,夫婦収入の半分にも相当することになろうか.楽ではなさそうだ.住宅とは直接関係無かろうが,この国ではヨーロッパ国民との国際結婚が増えているそうだ.
コーカサスを眺めさらに進むとトビリシ国際空港に到着した.2月に完成したばかりという新しいターミナルビルは人込みもなく,いや寧ろ閑散としてスムーズに出国手続きが進み,あっと言う間にグルジアをお暇することになった.(ただし,次のページはまだグルジアのムツヘタ)