このネムルート山編ではアドゥヤマンへ行くときの眺め,ネムルート山へ車で登るときの風景,ネムルート山と遺跡の写真を載せました.
マーカー13で示すのがネムルート山の位置.標高2,150mの山頂に紀元前の大きな石像群が残されている.
シャンルウルファの観光を終えて,次のネムルート山の基地アドゥヤマンに向けて出発した.当初キャフタの予定であったがホテルのオーバーブッキングで,急遽その手前の大きな街アドゥヤマンに変更となった経緯があった.
シャンルウルファ/アドゥヤマン間は高速道路がなく,一般道を行く.ただ道が悪いといったことはなく,快適な通りだ.写真のように拡張工事が行われている所もあった.周囲の土地は痩せているのであろうか,ピスタチオのような林が結構見られる.
暫く走ると右手に青く美しい湖が目に入った.シャンルウルファ手前でも見えたユーフラテス川(フーラト/Firat川)上流のダム湖だそうで,地図で見るととてつもなく大きいダム湖だ.主に発電用途で建設され,湖名はもち論建国の父アタチェルクに因むものだ.
それにしても氷河湖のようにターコイズのような色合いはなんとも不思議で,きれいだ.
やがてバスはアドゥヤマンの街に入ってきた.この街も並木や分離帯の芝が綺麗だ.人口20万人くらいの中規模の街であるそうだ.
私たちは一旦アドゥヤマンのBozdoganホテルに入り,暫し落ち着く.夕刻になってから,ここを起点にネムルート山を車で往復する予定だ.
Bozdoganホテルは質素なホテルであるがスイミングプールを備えていた.私には涼しくてとても入ることはできないが,若いトルコ人カップル(写真中央)が水に浸かっている.女性はごく普通の水着で,ガイドTTさんに訊けば,トルコでは女性の水着姿は差し支えないとのことだ.他のイスラム国海岸では黒いチャドルに身を包んだまま水に入る姿を見かけたりするだけに,ここでは圧倒的に開放的な印象を受けた.
下は,アドゥヤマンへ行くまでの写真いろいろ
アドゥヤマンのホテルで一休みした後,マイクロバスでネムルート山へと向かった.30分ほど行くと当初宿泊予定だったキャフタの街を通過し,前方に尖ったネムルート山が見えてきた.ここから見る限り取り立ててどうこう言う山容ではないが,一応目指す山が見えたことが嬉しい.
ネムルート山登り道からは細くなり,大型バスでは無理,マイクロバスに乗り換えたことに納得する.中腹までは小川も流れ,緑豊か,牛が放牧されている.
マイクロバスの終点,管理センターのあるネムルート山トレイル入口に到着した.ネムルート山山頂は2,150m,遺跡のあるテラスが2,100mというが,そこまで20~30分くらいの歩行時間を要するというこの入口はさていか程の高さか?せいぜい2,000mくらいであろうか?
でもこの高さになると緑は消え,岩でゴツゴツ.かなり寒いので一枚ウインドブレーカーを羽織る.
下は,ネムルート山へ行くときの写真
ネムルート山の観光は下の図で示したように,紀元前62年に作られたという石像群が目玉だ.
ネムルート山観光に関わる歴史年表
管理センターでチケットを受けとり,石畳のトレイルを登り始めた.幅も広く,勾配も緩やか,よく整備されたトレイルで歩き易い.何よりも好天に恵まれたのはラッキーだ.もし雨ならぐ~っと楽しさは減ってしまうだろう.
東のテラスと呼ばれる場所に到着した.石像の首が並んでいる.少し上に胴体(坐像)部分が並んでいる.落ちたものか,或いは人為的に落とされたのか?ただ少なくとも首は正面を向き,天地もきちんと合っているから,落ちた(落とされた)首は,人が手を加えたのは明らかだ.
これらの石像群は紀元前62年,コンマゲネ王国の王アンティオコス一世がに建てたそうだ.王自身の石像は写真で左側であったと思う.ゼウス像など,様々なギリシャ神話の神々や動物があるので多神教の宗教施設説,或いはアンティオコス一世が埋葬された墳墓説などがあるそうだが確たる証拠はまだないということだ.ところでコンマゲネ王国などというのはあまり聞かないが,巨大なローマ帝国などと比べれば圧倒的な小国で,まあこの地方だけを限定的に支配した国であるようだ.
ネムルート山,標高2,100m東のテラスから眺めると岩だらけに見える.比較的近くにあって,標高も2,285mと近いし,以前登ったことがあるせいか,少しだけシナイ山(シナイ半島のページ参照)に似た雰囲気もあるかな~とか思った.
下は,ネムルート山東のテラスの写真
東のテラスから回廊状の道を辿り西のテラスに回った.写真はアンティオコス一世のようだし,またヘラクレス象など東と同じようなものが並んでいる.ただ各種レリーフはこちら西のテラスだけかな?
私たちは夕方来たので,夕日の当たる西のテラスがいいのだが,朝日用にちゃんと東テラスも用意したアンティオコス一世は,当時2000年後までも見据えて建設したようで,エラい!
東西テラスを巡る回廊は直径150mでその上に高さ50mの山頂部が載っている.ただこの大きな山頂部は小石を積み上げたような甚だ不自然な地質だ.回廊から下は大きな岩なのに,上部が小石....逆ならもち論あり得るが,これはない.石像を作る時にできた石の欠片を積み上げたのではないかと見られているそうで,それなら納得できる.
なお写真右下は残雪で,いま暫く残りそうな気配であった.
西のテラスで日が沈むのを待った.寒いので早くしてくれないかな~と云う気分だ.そして西の山に落ちていくのが見えて,おしまい.ネムルート山はこの辺りで一番高い山だというが,期待したほど赤くは染まらなかった.まあこんなもんかな.
下は,ネムルート山西のテラスの写真
日が沈んで,私たちは同じ道を辿り,管理センター前まで下り,お手洗いに駆けつけた.そして駐車場でマイクロバスに乗り,アドゥヤマンのBozdoganホテルに戻った.ここで夕食にありついたのは結構遅くなってからだったが,エフェスビールは一段と美味しく感じられた.
さて明日はカイセリに向かう.今日のように天気がいいかな~