ダオサンDao San

このダオサン編では,ライチョウ滞在中の2018年9月9日,棚田を眺めつDT132号線を北に向かい,中国国境近いダオサン日曜市場に至り見物.そして帰路ランテンザオ族村を訪問したときの写真を載せました.

ダオサン付近のGoogleマップ(静止マップ)map around DaoSan

ダオサン付近のマップ(Googleマップのスクリーンショット)

9月9日ライチョウ6滞在中,一旦QL4D号線を西に戻り,DT132号線入り道になるとそこで北に折れ,棚田を眺めながらダオサン7に行き,日曜市場を見物した.そして同じ道QL4D号線を辿り,途中ランテンザオ族村を訪問しQL4D号線に戻った.

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ただし小さな地名や細い道は一切出ない.

DT132号線を上るgo through DT132 road

共同作業で住宅建設工事中

共同作業で住宅建設工事中

DT132号線に入り,北上し始めた.別ページでも述べたがベトナム北辺の少数民族は,住宅を建てる場合建設会社やプロの大工さんに任すのではなく,同じ村内各戸から人手を提供してもらい,2,3年と長い期間費やして建てるそうだ.なお家主の資金繰りの都合で,途中まで工事し,またお金が貯まったら再開するケースも多いそうだ.

私達はたまたまそのような共同建設現場を通過した.作業している人は正に老若男女様々で,各戸都合付く人が集まっている雰囲気だ.写真はコンクリートミキサーで捏ねて,足場の上までリレーで運び,打ち込み作業をしている場面だ.

このような共同作業は,こうした建設作業だけでなく,棚田の作付けや収穫などでも行われるようである.都会での孤立したライフスタイルに比べると,いろいろ縛りごとが多くて,大変だろうな~と率直に思う.


見晴らしプールバー

見晴らしプールバー

DT132号線を北に上るとお店の後ろ側に見晴らしテラスがあるということで,写真のプールバー(或いはバーはなく,単に玉突き台だけだったかも)に入れてもらった.


見晴らしプールバーからの光景

見晴らしプールバーからの光景

さてプールバーに入り,少し歩くと見晴らしテラスに出て,この光景が待っていた.テラスの下は斜面(崖で)崖にはバナナの木が茂っている.

崖の下には谷川が流れている.ここで驚いたのが濁流ではなく清流だったことだ.ベトナムに来てから見たのは何れも土色の濁流ばかりだったのでびっくりだ.本来ごく普通のことなのだが.

谷川の向こうには村があり,水田ややはりバナナ畑が見えている.谷川は現在水位が低いが,土手側面の露出具合を眺めると,大雨時は水嵩が増えそうだ.こちら側の幹線に出るのは大変かも知れない.


肉とガソリンのお店

肉とガソリンのお店

こちらはお肉とガソリンを商っているお店だ.お肉は大きな塊のまま買うか,指定して切り分けてもらい買う.プラスチックゴミを減らそうという世の動向を先駆けている.

それとガソリンはどういう関係か?実は商品的関係は一切ない.バイクでお使いに来た人や,通りかかったライダーがゲージを見たら,ガスの残りが少ないから入れようか,といったときに素早く提供するためだ.


棚田を眺めるRice terraces

DT132号線を歩く婦人

DT132号線を歩く婦人

DT132号線を北に進んでいると赤ん坊を背負い歩く婦人に出会った.スカーフやサンバイザー,それに黒く長い上着など特徴的であるが,さてどの民族でしょうか.少なくともモン族ではないし....(ランテン)ザオ族でしょうか.....


DT132号線沿いの棚田

DT132号線を北上すると美しい棚田が順次現れる.多くは刈り入れには間がありそうで青々している.中には左下のように後2週間位で収穫かな~というところもある.

DT132号線沿いの棚田1DT132号線沿いの棚田2
DT132号線沿いの棚田3DT132号線沿いの棚田4

左下写真のように,間近で棚田を眺めると,段々の差が予想以上に大きく,水の供給や農作業の大変さが想像される.



ダオサン市場で仕入れたニワトリをバイクに乗せ,帰る男性

ダオサン市場で仕入れたニワトリをバイクに乗せ,帰る男性

ガイドLさんがバイクの人に声を掛け,見せてもらった.サドルとハンドルの間に置いた紙袋を両足でホールドし,そこに活きたニワトリを入れている.朝早くダオサン日曜市場に出かけ,仕入れたそうだ.男性はフォー店を営み,その食材に用いるそうだ.

なおフォーに使うお肉はビーフかチキンのどちらか一方だ.普通客が一方を指定する.


ダオサン日曜市場Dao San sunday Market

ダオサン日曜市場

ダオサン日曜市場入り口の床屋さん

さて車はダオサンに到着し,市場に向かっていくらか歩く.入り口には床屋さんがあった.市場に集まる人を対象とした関連産業の一つだ.同じように美容室なども見える.


ダオサン市場のロロ族(Lolo)の皆さん

ダオサン市場のロロ族の皆さん

ダオサン日曜市場には近くや遠くの村,或いははるか向こうの山からも商品を売りに,或いは買いに大勢集まるそうだ.

集まる民族はハニ族,白モン族,ザオカウ族,ダオコド族,ロロ族....などという.それぞれ違う言語を話すのであろうが,顔かたちはあまり差がないし,私はなかなか判別できない.伝統衣装を着けていて,その場で教えて貰うとなるほどと一応判ることがあるが,なかなか覚えられない.

さて市場入口で見かけたきれいな刺繍の肩パッドに大きなバスケットを背負った二人は,肩パッドや白っぽいプリーツスカート,全体的に華やかな衣装からロロ族(Lolo)らしい.スカートなどはろうけつ染めで模様を描くようだ.ここで一週間分買い物し,バスケットに入れて帰るのでしょう.ただロロ族は3000人程度の人口ということで,ほんとにそうなのかあまり自信がない.....


ダオサン日曜市場ダオコド族(ザオコド族 Daokodo?)の婦人

ダオコド族(ザオコド族)の婦人

この方たちは極端に特徴的な装いで,誰でも一度教わるとダオコド族(ザオコド族 Daokodo?)と見分けが付くようになる.

極端な装いとは,髪や眉を剃り,三角帽子を被り,上着の前あわせ部分とズボンの裾に色鮮やかな刺繍が施されている.

と云うことで殆ど寂聴さんのような尼さんヘアスタイルが目立つのです.ザオ族は一般に山岳地帯に暮らし,道教,仏教,ザオ族の民間信仰がミックスした信仰があるそうだが,頭を丸めるのが仏教と関係するのかどうかは解らない.ありそうだが....


ダオサン市場の焼き鳥屋さん

ダオサン市場の焼き鳥屋さん

ダオサン市場はショッピングの場のみならず,飲食の場でもある.焼き鳥屋,焼きトウモロコシ屋,煮込み屋,焼きソーセージ(自家製)屋,それにもちろんフォー店.....いろいろ揃っている.

近くにマックやKFC,ファミレス,居酒屋チェーン店など無いので,そうした場と同じ感覚で飲食を楽しむ場になっている.もちろん一緒に来ているお子さんたちも美味しそうに食べている.


ダオサン日曜市場朝から出来上がっております

朝から出来上がっております

ダオサン日曜市場は出会いの場でもあり,このテーブルでは合コンのような感覚で,楽しそうだ.声を掛けるとご機嫌に応えてくれました.朝から既にビール瓶をいっぱい空にし,すっかり出来上がっておりますね.

ガイドLさんによればベトナム(少なくとも少数民族)では結婚を短期間実際にトライしてみる慣わしがあるそうだ.例えばこうした場で互いに気が合えば,役所に結婚届を出さず,数週間なり,数ヶ月間なり,一般に男性の家で生活を共にしてみるそうだ.でもここまでは別に日本でも同じようなことはよくあろう.

違いは,それがどうやら長く一緒に生活するには向かないかな~と,別れることになったときのルールだ.別れるときは男性が豚一匹を女性に差し上げて,それで全て解消ということだ.豚一匹だけ?と思わないでもないが明快なルールがあっていいだろう.

なお一般に結婚は同じ民族間で行われ,異民族と一緒になることはあまりないそうだ.まあ言葉の違いもあろうからそうなのでしょう.でも現在は共通語(ベトナム語)教育があるし,伝統衣装も少なくなっているし....今後は変わるかもですね.


ダオサン日曜市場こちらは主に飲むグループ

こちらは主に飲むグループ

ショッピングは女性担当が多い.旦那さんは週一,日曜なので朝から飲むのは公認でここで飲んだくれる人も多いそうだ.

でも帰るときはバイクどうするのだろう?奥さんが二人乗りで帰るのかな.多分そうですね.


ダオサン日曜市場中国産野菜の種

中国産野菜の種

野菜の種には尽く中国語が記されている.ベトナム語は見えない.ベトナムはやがて中国野菜だけになっていきそうな気配だ.

世界の大手種子企業は,世界中の種子を押さえ込もうとしているそうだ.そして化石燃料などと同じように戦略的に活用するのだそうだ.ベトナム頑張って下さい.


ダオサン日曜市場ザオ族(Dao)の母子

ザオ族の母子

小分類が不明だがザオ族(Dao)の人々でしょう.お子さんの衣類を選んでいるようだ.


ダオサン日曜市場アヒルのひよこ売り

アヒルのひよこ売り

アヒルのひよこが可愛い.ニワトリと比べて嘴が平べったいので見分けができる.ここで買って,庭先に遊ばせておけばやがて朝採り玉子を産むようになるのでしょう.

ところでニワトリもアヒルも小さいときは黄色なのに,そのうち白くなるのはなぜなのでしょうね?


ダオサン日曜市場の線香売り

線香売り

この方たちもザオ族(Dao)の人々でしょうか.お線香は家庭やお店でよく見かけるが,多分毎日焚くのだと思われる.そしてこれを作り販売するのは特定の家柄の人(神に近い人とか)に限定されていると,Lさんの説明があった.


ダオサン日曜市場スマホのSIMカード販売店

スマホのSIMカード販売店

今やどこでも必需品のSIMカードが販売されていた.切り出すサイズでマイクロやナノタイプどれにも使えるようだ.無造作に大量に販売しているところからするとプリペイドSIMであろうか.


ダオサン日曜市場(花)モン族女性と豚を買って帰る男性

(花)モン族女性と豚を買って帰る男性

右はモン族の女性,多分花モン族であろうか.小さなお嬢さんも花モン風衣装に身を包んでいるのが可愛い.

左のバイク男性は買い求めた豚を縛って,荷台に乗せて家に帰るところだ.まさかトライ結婚解消用に女性に渡す豚ではないでしょうね.

ところで豚を縛ってバイクに乗せるのはえらく大変なのだ.豚はギャーギャー喚き,逃げ回り,複数人が押さえつけてようやく縛り上げる.子豚でも結構大変で,このように大きいのは非常に大変だ.


ランテンザオ族村Lan Ten Dao village

ランテンザオ(Lan ten Dao)族村

ランテンザオ族村を訪ねる

ダオサン日曜市場見物を終え,またフォードバンでライチョウ方向に戻った.途中ランテンザオ族(Lan ten Dao)村を訪ね,家など見せてもらった.

先ずこちらのお宅に伺った.家は切妻型軸工法の平屋建てだ.築後まだ新しいように思う.庭先では伝統衣装の奥さんが熊手で乾燥中のトウモロコシを掻き混ぜている.シートではなく直接乾いた地面に広げているのであとで混じった砂は分離するのであろう.


ランテンザオ族の家族

ランテンザオ族の家族

家にはやはり伝統衣装のおばあさん(写真左,庭の奥さんの母親)とその友達,娘さんとその子(庭の奥さんの孫)が居られた(推定).

家の内部構造は以前見せてもらった白モン族住宅などとよく似ているように感じられた.


ランテンザオ族も漢字使う

ランテンザオ族も漢字使う

家屋中央の天井を見上げると,一部の梁にはアルファベットが,一部の梁には漢字が記されている.また梁に下がるベトナム国旗金星紅旗には,何とかかんとか大吉と記されている.前日ファンソリン村ザオカウ族のお宅で漢字を見たが,ここランテンザオ族もまた漢字を使うようですね.

いすれにしても宗教的な御札とかではなく,金星紅旗に『大吉』と記してあるところがベトナム社会主義共和国らしいところですね.


ランテンザオ族家庭の足踏みミシン

ランテンザオ族家庭の足踏みミシン

こちらのお宅では最近珍しい足踏み式ミシンを備えていた.停電時も問題ないのに加えて,多分足の緩急動作で微妙な針運びをコントロールできるのではないでしょうか.


ランテンザオ族村でもう一軒お邪魔する

もう一軒お邪魔する

ランテンザオ族村ではもう一軒お邪魔させてもらった.まず軒先に青いバナナが置いてあった.日本では遠国から運ぶため,青いうちに刈り取り,日本の室で熟させる.生産地で食べるときは黄色く熟したものを刈り取って直ぐ食べる,と思っていた.まあ,そうしたタイプのバナナ種もあるのであろうが,ここでの栽培種は木から刈り取って,しばらく軒下で熟成することで美味しくなるのだそうだ.驚いた.


ランテンザオ族村

水タバコを嗜むご主人

玄関から真っ直ぐ突き当りがリビングスペースで,飾り棚を据え,上に簡易な祭壇が設けてある.

ご主人の傍らに水パイプが置いてあったので,水タバコを吸う様子を見せて下さい,とお願いした場面がこれだ.水パイプはお隣中国雲南省などと全く同じタイプで,水を入れる竹筒下部に接続された細管先端でタバコ葉を灯す形式だ.

イスラム圏のきらびやかなタイプとは対局をなす簡素さだが,扱い易くていいのではないか.


ランテンザオ族村伝統服の奥さん

伝統服の奥さん

ご覧の通り旦那さんは裸ん坊だが,奥さんはきちんと伝統服を着て,時折りテレビを眺めながらトウモロコシの手入れ作業中だった.

家は木肌が新しいのでまだ建てて間もないのでしょうか.それと柱や梁など皆四角に製材されているので,全部村の共同作業で最初から工事したのではなく,製材所から仕入れた木材で着工したのかも知れないですね(想像)




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