このビンクァン編では,2018年9月12日午後,シンチェン水曜市から戻ってからDT178街道に入り,ここでランチ,そしてDT178街道をさらに東に進み,山道への分岐点に至るとそこを北(山側)に折れて入る.そして北上を続けやがて黒ラチ族バンフゥン村に至った.その後同じ山道を戻り街道に出ると再び東に進みビンクァンに到着した.このときの写真を載せました.
9月12日午後シンチェン水曜市10から戻ってDT178街道に入り,ここでランチ,そしてDT178街道をさらに東に進み,山道への分岐点(マップ右から1/4辺り)で北側に折れて北上し黒ラチ族バンフゥン村に至った.その後同じ山道を戻り街道に出ると再び東に進みビンクァン11に到着.
別窓で大きなGoogleマップを開く9月12日午後,シンチェン水曜市から戻り,DT178街道に入った.そして程なく小さな町(名称不明)を通りかかった.この頃天気はすっかり良くなっていたようだ.
一軒のレストランに入った.さて今日は何を出してくれるか楽しみだ.
ところで写真手前にお茶セットが置かれているが,この辺りではお茶を産し,私たちも振る舞ってもらった.
レストランでは普通のベトナム料理に,添乗Wさんが市場で調達して下さったおこわ(写真左下)が加えてあった.色は何らかの植物性染料と一緒に炊き込んだもののようだ.なかなか美味しい.
食後はDT178街道をひたすら東に進むのであるが,先ずは大きな高架橋を渡った.もしこの橋がなかったらかなり大回りのルートになるのではなかろうか.
DT178街道通過で何気なく見えただけであるが,なかなか立派な滝が流れていた.流れの底が岩盤であるのか水が濁らず清らかだ.ちょっと珍しい.
今度は普通に濁った川に道が沿うようになった.残念ながらこれがこの辺りのデフォルトだ.そして対岸を眺めると,規模は小さいがジャングルの間に棚田が拓かれている.農作業の度にここに行くのはかなり大変そうである.
濁流はかなり長く続き,ようやく横切る橋が現れた.でもこの端から前述の棚田に至るには遠すぎて無理そうだ.う~んどうすりゃいいんだ....
そのうちDT178街道は濁流の川を横切った.脇の山肌を見ると崩れ放題で,これでは川も泥だらけになろうというものだ.
私たちの車は黒ラチ族バンフゥン村を訪ねるため,一旦DT178街道を離れ,北に向かう谷沿いの山道に入っていった.この山道周辺もまた棚田が多く拓かれ,しかも規模が大きい.まあ良く切り拓いたものですね.
山道脇或いは棚田の中にぽつりぽつりと家が現れるようになる.目指す黒ラチ族バンフゥン村は遥か先であり,こうしてパラパラ分散した家々は必ずしも村を形成していないようだ.
ただしパラパラ分散したこの辺りの家々は既に黒ラチ族(black La Chi)の縄張り内に属するそうである.
道路を行くと後ろ向きの黒ラチ族女性を見かけた.全身黒ずくめ,くノ一のような装束であるから素人ながら黒ラチ族と確信(?)してしまった.
ただし,女性たちは決してこちらを向かないし,寧ろ逃げ去りそうに見える.実は黒ラチ族は外来者に敵対心を持って対応するという特異な外交性向を持ち合わせているのだそうだ.驚きだ.これは子どもとて同じで,時に石を投げられたり,ひどいときは鎌を投げられたことさえあるらしい.ただ最近は然程ひどい対応は見られず,以前よりは相当マシになったそうだ.ホッとした.
こうした外来者に対し,敵対心を持って臨むのは,以前イエメンの特定地方て,女性にレンズを向けると石を投げられますよ,と警告されたことがあった.ただイエメンでは単に訪れたり,歩き回る分には問題なく,写真撮影だけが問題だ.一方黒ラチ族は近づいただけで問題にされるのではるかに厳しい.
他の少数民族は概ね友好的なのに,黒ラチ族だけが排他的になったのはなぜか?Wさんの説明では,旧来より同民族指導者がそう云った思想を持ち合わせており,そうした思想を指導し,育んできたのでは,ということだ.
さて谷川を高巻くこの山道から,対岸を眺めると見事な棚田が広がっている.そしてその所々に住宅や,短期滞在用作業小屋が見える.谷川のこちらに住んでいる人が棚田に仕事に出かけるのは,斜面を下り,谷川を越え,また山を上り,そして戻りで同じことを繰り返す大仕事で,それだけで日が暮れてしまいそうだ.そこで一定日数滞在できるよう,食料を携えて作業小屋に行き,仕事が一区切り着くまで滞在するのだという.
車で通過中だったので,全然問題なかった.両側の襟に少し刺繍を施した程度で,あとは黒(或いは濃い藍色)一色のローブ状ワンピースでしょうか.
スカーフに関しては,手前女性のように単に束ねる形式,後ろの人のようにザオカウ族ターバンのように嵩のある巻き方もあるようですね.
棚田を横方向から眺めると,斜面全体は相当の長さがあり,傾斜度も大きい.棚田一段の段差/その下の棚田幅(=tan)は0.3くらい,arctan(0.3)=17°くらいで相当急角度だ.とてもきれいではあるが.
染めたばかりか,或いは洗濯後か,とにかく色合いからすると藍染に見える.更に染を加えて濃くした上でくノ一忍者装束に仕立てるのであろうか.或いはターバンスカーフという手もあろう.
稲は黄色に色づき,刈り入れ間近であろう.台風が来ないうちに刈り取れればいいですね.来ないよう祈りたい.
黒ラチ族バンフゥン村外れ辺りに入ってきた.スレート入母屋屋根,軸工法高床式で,壁は薄板若しくは竹を円周方向に開いて板状にしたものに横板(竹)を通してをメッシュ状にしたもののように見える.また屋根垂木下には水平垂木のような部材を配し,その上を板張りで覆っている.その内部三角空間は物入れであろうか.
高床式メッシュ竹壁構造と言うと,前日ドンナムケン村で見せてもらったサフォー族の家と似てますね.ただそちらは入母屋ではなく切妻屋根が多かったように思う.
この家から小さな女の子が山道の方に降りてきた.まだ小さいためか,民族衣装ではなく,私たちに対して敵対する様子はまったくなく,単に知らない人たちだから気を付けなければ....という当たり前の気配を示すだけだった.良かった,ありがとう.
そのうち黒ラチ族バンフゥン村中心部に入ってきた.山道は谷川と同じ標高に揃うまでになった.谷川の水は泥でなく,ほぼ清流で,浅瀬の部分も多くなった.
また棚田を主に,野菜畑,バナナなどの果樹,常緑の大樹で緑豊かな緩斜面,急斜面種々とり混ぜた中に住宅が適度に分散されている.いい光景だ.
男の子の食べているアイスや,穀類,乾物類など販売しているようだ.コンビニとまでは言えないが,まあ雑貨店であろうか.黒ラチ衣装の奥さんは一人連れ,背に乳飲み子をおぶっている.ここからは想像だが,店主はオーダーされた商品がいつ入荷されるか電話で確認中だ.
ということで黒ラチ族女性も,店主男性も特定の赤ザオ族のように近寄って来ることはないものの,敵対心を顕にすることもなく,ほっとした.ありがとうございます.
水牛は名のように水が好きだ.この谷川では日がな一日遊んでいたのであろうが,そろそろ夕刻なので,写真右岸の女性がロープを引いて連れ戻す作業に入ったところだ.
稲に隠れているが高床式住宅だ.中も見せてもらえればもっと良かったと思うが,さすが黒ラチ族だけは無理であろう.でも将来は指導者層の考えにも変化が生じ,見せてもらえる時代がくるかも知れないですね.
中学生くらいであろうか,このくらいの年頃になると黒い伝統忍者服を身に着けるようだ.
そして部外者を脅すためか,いやそうではなく興味本位で私たちを遠巻きに追いかけていたのだ.そして私たちが振り向いて,カメラを向けたら,慌てて皆でかたまり,顔を隠し合った.その拍子にズッコケたのだ.あ~おかしい.
上の子たちと違う子のグループにも同じように追っかけられた.もちろん遠巻きにではあるが友好的にだ.最初は子らの方を見るとやはり顔を隠したり,逃げたりし,幾度も繰り返した.そのうち中学生くらいの大きな子がリーダーシップを発揮し,逃げなくなり,こうして写真も撮らせてくれた.ありがとうさん.
黒ラチ族バンフゥン村を見せてもらったので,往きと同じ山道を下り,谷川(この辺りは既に濁っている)の橋を越え,DT178街道まで戻った.
DT178街道をビンクァンまで進む.この辺りはやはり谷筋に沿う道になっているようだ.
ここはなかなかどうしてすごい荒れ道で,1時間くらいであったが,ひどく揺れ続けた.
小さなビンクァン(Vinh Quang)の町に到着した.幾つかの飲食店や雑貨店など揃っているようだ.
私たちの車は三叉路に建つハーコンフーホテル(Congphu)に到着した.ホテル前は狭く,代わりにホテル一階部分がパーキングスペースになっており,そこに駐車する.特に雨のときの荷の出し入れには便利そうだ.
ということで,二階にレセプションがあり,そこでチェックインし4階の部屋のキーをもらい,そこに落ち着く.部屋は巨大ベッドのツインだ.
これまではホテルでしたが,この日からゲストハウスですよ~と言われていたので予め判っていたがバスタブはなくシャワーのみになる.それは構わないのだが,エアコンの調子がおかしく,室温が下がらない.幸い扇風機は回ったので,ほぼ裸で風の下で寝ることになった.
暗くなり,夕食にホテル近所のレストランに出かけた.街の通りは暗くいかにも山間の街の雰囲気だ.これも悪くない.
山間の街のレストランにしては結構広く,お客さんも入っている.ガイドLさんは街で人気のレストランを調べて予約しているのだそうだ.
尤もこの部屋は冷房がなく,壁の左にエアコンの効いた別室があるというので,そちらを確保してくれた.ありがとうございます.
この日のメインは湯豆腐だそうだ.豆腐は日本のものとほぼ同じだと思う.美味しい.
ビールはもちろん飲むのだが,ここの女将さんが特製(つまり空きペットボトル入り)焼酎を差し入れて下さった.私たち,それに女将さんの小さなグラスに焼酎を注ぎ,それを一気飲みするのだ.一気飲みせず,グラスに残るのは許さず,首を振り,あくまで一気飲みに拘る.私は皆と一緒で,そして差しで幾度かこれで頂いたが,女将さんは大勢を相手にしたので結構飲んだであろう.気っぷもいいがお酒も強い人だった.ごちそうさまでした.
レストランから引き上げるとき路上で水タバコを吸っている人がいた.水タバコだけでなく焼酎も出すのかもしれませんね.ただバイクの場合はチト問題かも,ですね.