サイユーンはタリムとアルハウタの中間にある町だ.かつてのスルタン居城がある.
一面青々とした畑が広がっている.ここハドラマウト渓谷ではこのように緑豊かな畑があちこちで見られる.一見似たような風土に見える他国,例えばモロッコのオアシスとかと比較すると圧倒的に民家が多いことに驚かされるが,やはりそれだけ多くの人を養うだけの農地があるということなのだろうか?ちょっと不思議だが.....
下は,サイユーン近郷の写真あれこれ
広場にはいくつもの露店が出ている.このようなラクダや羊のような商品が取り引きされる市場がアラブ圏らしい.
広場からちょっと横に入るとそこはすぐ住宅街だ.高層の日干しレンガ建築が日当たりを減じるように狭い間隔で建てられている.
ところでサイユーンには15世紀の頃,ほんの少し先のタリムにおけるカワイティー王朝とは異なる,カシーリーという全く独立の王朝が存在したそうである.2つの王朝は近隣であるにも拘わらず住民が結束したり,情報交換するのを恐れたのか,双方の地を訪れるには互いにパスポートとビザを要したそうである.まあ,日本でも他藩の領土に入るとき,例えば武蔵の国から相模の国に入るには通行手形が必要であったので似たようなものか.(真実は不明,単に温泉の土産物店にあったお土産物の通行手形からの想像に過ぎないので,真に受けないように)
下は,サイユーン市街の写真あれこれ
かつてスルタンの居城であったそうで,大きな建物だ.背後の岩山はアイユーブ山と呼ぶそうだ.建物の一部は博物館になっており,確か紀元前数百年前の埴輪のような古いものから比較的新しい時代の写真など,この地方で出土した物品や写真が展示されていた.博物館内は写真撮影禁止なので前述の埴輪は特に興味深かったが手元に写真がないのが残念だ.
お城は高台の上で,しかも高い建物であるから東も, 南も, 西もよく見える.背後は山で,全面は下り斜面であるから戦術的には防御し易く,周りを容易に監視できるので,城のロケーションとして好適な場所であったに違いない.
下は,スルタンパレスとそこから眺めたサイユーンの風景