ムルシ族の村Mursi village
このムルシ族の村編では,2020年1月19日朝ジンカからムルシ族の村へ行き,村でムルシ族女性の唇皿(リッププレート)習慣や住居を見せてもらい,マゴ国立公園を通過してジンカに戻りランチ,そして空路ジンカを離れるときの写真を載せました.
ムルシ族の村付近のGoogleマップ(静止マップ)map around Mursi

訪れたムルシ族の村はジンカ7からマゴ国立公園(Mago National Park)の中に位置している.正しい位置は不明.
ムルシ族の村へgo to a Mursi Village

ジンカの朝
1月19日未明ジンカリゾートホテルの部屋には何やら音楽のような,アザーンのような響きが聴こえてきた.こうした時間に聴こえてくるのだからやはりアザーンであろうか,と思った.でもIさんに訊いてみるとこれはエチオピア正教の聖歌のようなものらしい.な~るほど.他国の正教やカトリック教会ではこうした外部放送はないからエチオピア正教特有の慣わしのようである.
そして起きて,ホテルレストランで朝食を頂き,4WDでジンカを出発した.外は天気がイマイチなこともあってまだ少し暗めであった.

ジンカ郊外の集落を通過
車は程なくジンカ郊外の集落を通過した.家は四角形トタン屋根で住民は洒落たワンピースですね.

マゴ国立公園に入っていく
ムルシ族の村はマゴ国立公園(Mago National Park)の中に在り,その中に入っていった.国立公園内の動植物は保護されているので樹木が生い茂っている.

途中でセキュリティガードをピックアップ
法律か条例で定められているためか,ムルシ族村手前で銃を持ったセキュリティガードをピックアップした.
ここで多分カラシニコフであろうが,どれくらい重いか持ってみろと言われて持ってみる.結構重いね.この後暫く走るとムルシ族村に至る予定だ.
ムルシ族の村Mursi Village

ムルシ族村に到着
セキュリティガードと共に私達はムルシ族村(オロコロ村)に到着した.村長さんが出迎えて下さった.村の人口は350人ほどで,ひと家族5~8人くらいという.
この日は天気が悪く肌寒いためか村長さんは大きな巻布を羽織っておられた.右手背後はボディガード役の人であろうか,一人は上半身裸だ.
そしてこうした男性陣は,極めて特徴深い女性と比べて,タトゥーやボデイペインティングといった特段の人体模様とか一切なく,生まれたままの姿だ.なお家畜を追っている訳でもないのに手にしている棒は,例えば野犬に出合ったときに追い払うとか,戦う男のシンボルであるようだ.

ムルシ族のドーム型住宅
村のムルシ族住宅はドーム型,屋根壁一体藁葺き構造で,至ってシンプルだ.これまで見てきたカロ族,ハマル族等の円筒藁葺き屋根構造より狭く単純だ.これは畳んだり,組み立てたりする作業が手早く済む遊牧生活の名残りらしい(現在はほぼ定住で,半農半牧のようである).

大きな唇皿を嵌めた女性
これが噂の唇皿(lip plate)を嵌めた女性だ.この人の皿は特大であろうが,正直かなり奇異に感じてしまう.カヤン族のろくろ首以上にインパクトがある.
実は唇皿には19世紀まで400年ほど続いたというアフリカの奴隷狩りという悲しい歴史があったからという.当時美しい女性や,出産可能な若い女性は奴隷として売買され易く,ムルシ族のように武力に劣る部族女性の多くが北アフリカやアラブ奴隷商人の餌食になったという.そこで唇皿や身体への傷を加え,醜くすることで狩られることから逃れる策を採ったということだ.
そして時が隔つと,部族内部ではこれが美しいと評価されるようになり,積極的にこの習慣が維持されてきたという.

唇皿を嵌める動作
下唇に設けた輪っか状部分を引き伸ばし,そこに縁に溝(凹み)のある皿(ちょうどプーリーのような形)を嵌める.輪っか状肉塊部分は引っ張られているので装着時,そして装着後も常に痛いのではないでしょうか.

唇皿の嵌った状態
上女性の唇皿嵌めが終わった状態.お皿受け入れ部の下は空間になっており,その部分はいつも大気に触れている状態で感染等の問題があるそうだ.
左の女性は同じくらいの世代であろうが唇皿輪っかを設けておらず,装着できない.エチオピア政府は衛生上問題があるとして近年止めるよう勧告しているという.

唇皿を外した若いお母さん
皿をいつも着けているわけではなく,食事のときはもちろん普段は外していることが多いようだ.こちらの若いお母さんの下唇リングはあまり大きくないので装着プレートサイズは中くらいだろうか.
下唇下のリング形成は,先ず10歳位で小さな穴を開け,それを徐々に大きく伸ばしていくのだそうだ.小さな穴であればカロ族女性が同じ位置にネジを通していたので割と容易にできるのであろう.でもこれを広げるのは.....大変な筈だ.

イヤプレートと凸状模様
ムルシ族女性はイヤプレート(ear plate)も装着している.ピアス穴を徐々に広げ,これに溝つきプレートを嵌め込むのでしょう.耳たぶの大きな穴はマサイ族女性なども設けるが,プレートではなく布飾りを下げるだけだ.
それと腕や肩にミミズ腫れのような凸状(ビード)模様を描いている.どのように盛り上げるのか不明だが,タトゥーとかに比べて一層大変,痛そうだ.模様は人それぞれ異なっており,やはり彫師のような専門家がデザインするのでしょうか.

少女もイヤプレート
この若い子はリッププレートはないが既に結構大きなイヤプレートを着けている.耳だけに留めておくが吉と個人的には思う.
それとモヒカン刈りのように真ん中を残し,両脇を刈り上げるスタイルも特徴的だ.この子だけでなく直ぐ上の女性のように,ムルシ族女性にはかなり一般的なようだ.

リッププレートの販売
女性たちが素焼きのプレートに白と赤の網点模様を描き入れたリッププレートを販売している.中には凹凸模様の素焼きタイプ,それにヤギ人形なども見える.

ムルシ族の主食
ドーム型住宅の前でトウモロコシとソルガムの粉を水に溶き,捏ねている.この後火にかけ,お粥にして食べるそうだ.牛とヤギの乳製品,それとそれらの生き血とともにムルシ族の主食だということだ.

ドーム型住宅内部
細い木をドーム型に組み,その上を藁で覆った構造だ.土間のワンルームで,牛皮マットが敷かれている入り口と反対側奥にキッチンが備えられている.おばあさんは仕事がないので朝のうちから昼寝している.

子どもたちは裸ん坊
肌寒い日だが子どもたちは裸ん坊,裸足で元気だ.一応ビーズのネックレスと腰巻き飾りを身に着けている.このまま元気に育ってね.
ジンカに戻りランチreturn to Jinka

マゴ国立公園を見下ろす
ムルシ族を見て,再びジンカに向かった.途中マゴ国立公園を見下ろす丘で停まり,谷の森を眺めた.深い森だ.この公園には象やキリン,それにライオンやヒョウといった大型類を含め,81種の哺乳類,そして110種の鳥類も棲息しているという.もちろん姿は見えなかったがライオンやヒョウがいるとは驚きだ.
それと部族は上記ムルシ族の他に,ブメ,カロ,ベンナ,ハマルなど5部族が住んでいるという.

パパイヤを売り込む女性
途中パパイヤを売り込む女性がいた.背後の住宅はドーム型でなく円筒壁に藁葺き屋根構造なのでベンナ族の家屋に似ている.ただし庇は長くないので以前見せてもらったベンナ族家屋とは若干異なるかな.
また大きな葉は,枝分かれの状況から偽バナナかと思われる.

水の流れる川あり
さらに進むと水の流れる川があり,多くの人が水汲みや洗濯を行っていた.あちこち枯川だらけだったので水を湛えた川はちょっと驚きだ.
深い森や木の茂る山も見えるので,保水力が高いのであろうか.

ジンカに戻りベシャレストランへ
車はジンカに戻り,ランチのためベシャ(Besha)レストランに入った.
天気も良くなってきて,オープンなテーブルには陽が射し込み,快適だ.

ベシャレストランのランチ
これがベシャレストランのランチ.フライドチキンかな....この前にスープかサラダもあったと思う.
ジンカを離れるleave Jinka

ジンカ空港へ
食事を終えると私達はジンカ空港へ行った.明日首都で早朝から執り行われるティムカット祭見物のため,今日のフライトでアジスアベバに飛び,そこで一泊予定だ.
ジンカ空港はいかにもローカル空港といった趣で,長閑な感じだ.

セキュリティチェックはやはり厳しい
長閑なローカル空港とは言ってもセキュリティチェックはやはり厳しく,靴やベルト外したX線検査を2度行う.なぜ2度なのか解らないが,慣れるが良かろう.

歩いて搭乗
小さなターミナルビルから歩いて搭乗する.機体はエチオピアン航空なのでボンバルディアDHC-8-Q400だ.
コバスとかでなく,こうして歩いて滑走路に行くのは気持ちがいい.