このグンサへ編ではギャブラを出て,フェレに来て昼食をとり,グンサのキャンプサイトに到着,および翌日グンサ滞在でゴンパ上の丘に登ったとき,花などの写真と記事を掲載した.
11月3日(火):ギャブラの朝は以下で迎えた.
朝食後軽く運動し,7時頃ギャブラの民家に朝餉の煙が上るのを眺めながら歩き始めた.
広々したギャブラを出るとまた森となる.概して色の付く樹木は多くないが,それでも所々に紅や黄に染まった木々に出合う.少し標高が高くなったのかな~と感じさせられる.
歩き始めて途中1回の休憩をはさみ2時間くらい経ったであろうか,ようやくグンサコーラ右岸トレイルにも陽が射すようになった.
スタート地点のタプレジュンからしてそうであるが,このトレイルでは他のエリアと比べて行き交う地元の人も家畜も圧倒的に少ない.そんな中,先日来私たちとキャンプサイトを同じくしているプラハのカップルが私たちを追い抜いて行った.
下は,ギャブラとそこを出て暫くの間の写真
明るくなったトレイルを暫く歩くと広い平原に出た.平原となれば当然のように石積みの家畜囲いを配したカルカが展開されている.ここはフェレ(Phale)と呼ばれるエリアで,シェルパ族が多く住まうようである.10時半頃,カルカの脇でこの日3回目の休憩を取った.広々した空間が実に気持ちよく感じられる.
ここのお宅はトレイルの脇にあり,小さなショップを営んでいる.キッチンスタッフの皆さんが水場を借りて作ってくれたラーメンやフライドポテトを,庭に張ってもらったシートで頂戴した.殿様扱いだし,気温そのものは低いが陽射しが強いのでちょうど良い快適さだ.
表面のごつごつした岩山はナグラ(若しくはナングラ)と呼ばれているようで,仮に日本に在れば登山客がいっぱい訪れそうな雰囲気を漂わせている.
下は,フェレに至るまでとフェレでの写真.
フェレは広く,たくさんの民家に学校や2つのゴンパが見られる.集落内を進むと多分常駐であろうオレンジ色の袈裟を纏ったお坊さんの姿も見えた.
広いフェレで昼食の後,12:15PMに腰を上げた.暫く歩くと先方,グンサコーラ上流方向に白い山が見えてきた.ようやく山らしい山が現れ,いよいよカンチェンジュンガ山域に来たかと感激する.カーブル(Khabur:6,332m)と呼ばれる山だそうで,地図で見るとジャヌーの西に位置している.
なおも歩くとトレイルはグンサコーラ脇まで下りてくる.グンサコーラの流れは澄み,やがて唐松の茶色い林が流れの両岸に連なる光景に変わった.華やかとまでは言えないが,それまでの眺めに比すれば圧倒的に暖色系の光景で,強く秋を感じさせてくれる.カラマツ属はいずれも日当たりの良い場所を好むそうであり,強い陽射しが入り込んでいるのも好ましい.
またこの辺りでは,足元を眺めるとリンドウがちょうど今が盛りとばかりに咲いていた.鮮やかな青と白交互の花びらが印象的だ.
そのうちカラマツの道脇には電柱が現れるに至る.目指すグンサ近くに水力発電所があって,そこから近隣の住宅に供給する電力ラインのようである.
カラマツの道を進むとやがて大きな吊り橋が現れる.橋にはタルチョーが掲げられ風に舞っている.橋の先には複数の木造住宅が見えてきた.グンサの集落だ.ここにも広々した空間があり,畑やカルカが広がっている.グンサには今日と明日2晩宿泊する予定になっている.
一軒の農家の庭先をテント場として使わせてもらう.ここのお宅はバッティ(ロッジ)としての部屋や写真のようにショップ,別棟のダイニングルームを備えていた.
ショップには日用品やお菓子,清涼飲料やビールなど置かれていた.客はとっても疎らであるので,商売としてはなかなか大変かな~と素人目には映る.
下は,グンサ到着までの写真いろいろ
グンサまでやって来たらやはり寒い.今夜から湯たんぽを配ってもらうことになった.
11月4日(水):グンサの朝は以下で迎えた.標高が高くなったので明け方はいきなり氷点下まで下がるようになった.湯たんぽをもらっておいて良かった.
この日は高度順応のためグンサに滞在.ツアリーダーSさんのアドバイス,「同じ高度に居ても順応効果が少ない」に従い,グンサ横の丘,ゴンパの上を意味するという丘(確かGompatalnocだったか?)に登ることになった.
写真のタルチョーはグンサゴンパに掲げられたもので,この脇道を登っていった.グンサには75世帯くらいの家があるそうで,お坊さんになっている人が4人いるそうだ.ただ全員カトマンドゥやインドの学校や寺に行っているそうで,このゴンパに入るのは年に一度,冬の祭りのときだけとキャンプ宿のおかみさんが話してくれた.
この写真ではちょっと判然としないが,グンサコーラ左岸に流れ込む谷の流れをかなり高いところで堰き止めて,そこからの導水管で水車を回す発電所も見える.これがこの辺りで特別豊富な電力の源となっているようである.
グンサの村から450mほど登ったところがタルチョーの舞うピークで,下から1時間半程で到達した.ここからはカンチェンジュンガ山塊の一部を望むことができる.左からダンゴ,カーブル,ポレ,それにジャヌーも申し訳程度に頂を覗かせている.さらに右(東側)にも白い峰が見えるが山名は不明だ.
↓ダンゴ(Dango:6,250m) | ↓カーブル(Khabur:6,332m) |
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↑ポレ(Phole:6,645m) | ↑ジャヌー(Jannu:7,710m) |
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下は,グンサ滞在時,ゴンパの上に登ったときの写真
最後の写真はグンサの村に下るときの眺めで,村の様子がよく見える.ここはジャガイモやキャベツなど野菜がよくできるそうだ.これらの産物は,あまり農作物が採れないカンチェンジュンガ南BC方面などにも出荷されるそうである.
下は,グンサ滞在時の写真あれこれ.左から2番目はダライラマの肖像画などが掲げられた仏壇.点滅する電飾が電力の豊富さを物語っていよう.ただそのセンスは....また,同じ写真左下にチラリと見えるは電気ストーブであるが,さすがそこまでの電力は賄えないのであろう,ただのお飾りになっていた.
広いダイニングルームはキッチンも備えられ,この日はたまたま腸詰を作り茹で上げる作業を行っていた.茹でたばかりのものを試しに一切れ頂戴した.詰める内容物のひとつに羊の血液も含まれるそうで,黒く変わった味がした.また保存のためか結構塩分も多い.
プラハのカップルはこの日まで一緒だったので,庭でちょっと話してみた.チェコの最大標高は1,200mで雪は最高1m程積もり,スキーも楽しめるそうだ.尤もプラハからアルプスまで600km,高速道路でノンストップ,一日で行けるので便利だそうだ.チェコのビールは美味しいことで知られ,米国の代表的ブランドバドワイザーも元々はチェコのブランドだったそうな.....などなど.
キャンプサイトの庭のテーブルで終日ゆったりしている仏の老(筆者くらい)カップルもいた(右から2番目の写真).パリからか?と訊くと,とんでもない,XXのYYからさ,と答える.YYの町は知らないが,XXのところから推して,「ではあの美しいモンブランの近くですね?」と言うと,「ウイッ」と得意げに説明してくれた.この人たちはパンペマまででなく,グンサの次のカンバチェンまで行って戻る途中だそうだ.戻りはさっさと引き上げる私たちと違って,わざわざ一日を費やし,庭でゆっくり読書するのがライフスタイルのようだ.日本人にはあまり見られないこうした人たちは多分プールサイドなどでも本を広げるに違いなかろう.
ギャブラからグンサまでの間で眺めた花などの写真