このカンバチェンへ下る編ではロナークの朝,ロナークからどんどん下り,カンバチェンに着くまでの写真と記事を掲載した.
11月10日(火):ロナークの朝を迎えた.
5時頃シェラフで目を覚ます.あ~よく寝た.6時少し前明るくなり始め,昨晩戻ったヤクが,再びカランコロ~ンと鈴の音を響かせながら出勤していった.専ら自分で餌の草を探して食むのが仕事であろうが,よくしたものだ.
暫くしてシェルパのKさんがテントまでお茶とたらいのお湯を持ってきてくれた.両手の甲を見るとあかぎれがひどい.無数の裂け目が走り,ある部分は未だ血が出ており,ある部分は瘡蓋が形成されている.寒いのに加えて血の巡りが悪くなったせいであろう.
今日の目的地カンバチェンまでは下りなので幾らの行程も要しないであろう.そこでロナークは8時頃出発となった.出発前,身体ほぐしの運動で,片腕付け根下に逆の手を廻し,引く運動をしていたら,いきなり傍らの小ヤクが突進してきた.いや~これには驚いた!どうやらヤクにとってこの仕草は「突撃」のボディランゲージに相当するようである.大きなヤクなら更なる恐怖を受けたであろう.以降,ヤクに対して一歩身を引きながら対峙するようになった.ちょっと情けないかな?
ロナークを出て少し歩くとロナーク氷河下流がグンサコーラに注ぐ辺り,洲のような地形,写真の場所を通過した.谷の先の山はシャルプーの一部であろうか?
下は,ロナーク朝の風景
ロナークを出て初めの頃はメラを左手に見ながら下る.間近に眺めるので,歩みと共に僅かずつ変わっていくアングルから楽しめる.
さらに進むとカンバチェン,そしてカンチェンジュンガがメラの左手から覗くことになる.私たちは別れを惜しむように,暫し立ち止まり眺めた.
下は,どんどん下るときロナーク寄りの眺め
半ばほど下り,カンバチェン脇の広い平原に至った.下ってきた上流側にはドローモが,行く手にはシャルプーの白い峰が青空に映えていた.
咲き遅れたのか,こんな寒い中きれいに咲いていた.長短交互の花びらに特徴があると思うが,リンドウであろうか?
どんどん下るときのカンバチェン寄りの眺め
予定通りカンバチェンにはお昼頃到着した.往くときは,随分早く陽が翳る場所だったので,今回はいくらか東寄りの場所にテントを構えてくれた.
カンバチェンでは,西に位置し何時も陽に輝くシャルプーはやはり美しい.
空も澄み,ジャヌー,ポレ,カーブル3山の夕焼け間違いなしと,近くの丘(翌日通るトレイルの近く)に出かけた.丘には立派なフルサイズカメラを構えた先客が居た(写真左側).ドイツからの4人パーティで,上に向かう途中,今夜はカンバチェンのテントで過ごすそうである.
ジャヌーに少し赤味が付いたかな~と思われるところから待つこと暫し......,だが何故かあまり焼けない.残念.カンバチェンも3山上空もクリアであるが,多分夕日の光路途中に雲があって,遮っているのであろうと云うことになった.
しかし,これまで肝腎な時には殆ど晴れてくれて山が見えたので,みな一様に「良かったね~」と言いながら漠然といろいろな対象に謝意を表明するのであった.
下は,カンバチェンに着く手前から着後の光景
夕食後,テント内温度は-3℃と昨夕ロナークの-8℃と比べると冷え込みは少ない.そこでまた星を撮ってみた.たくさん写るように露光時間を倍にしてみたが,ちょっとノイズが増えすぎたかな~?(ISO400 f/2.8×60秒)
カンバチェンの夜空を見る限り心配なさそうだが,3山の夕焼けがだめだったので多分明日から天気は下り坂かも.....という予想だ.高度を下げるのでむしろ暑くなくて,それもいいかも知れない.