このロナークへ編ではカンバチェンを出て,ラムタンで昼食をとり,ロナークに向かい,枯れ花など眺めつロナークに至り,その裏の丘登りを行ったときの写真と記事を掲載した.この日はジョンサン,ドローモ,メラ,カンバチェン,カンチェンジュンガ,ウエッジピーク(チャング)などの山を望むことができた.
11月7日(土):カンバチェンで2度目の朝を迎えた.朝は以下の通りだった.
8時過ぎカンバチェンを出て,北に向かった.カンバチェンの谷を抜けると直ぐに白いジョンサン(Jogsang:7,460m)と大きなドローモ(Drohmo:6,850m:右側)が間近に見えてきた.
この2つはトレイルを挟んでカンチェンジュンガの反対,北側にあって,特にドローモは近いのでこの先もしばしば目に入ってくる.
大きなヤクも北に向かっていた.枯れ草も疎らなこの時期,北に行くのは不思議だ.でもカンバチェンのカルカ小屋にはヤクを世話する人の気配があったし,ぎりぎりまで残るのであろう.シェルパ族にとってヤクは命であり,殆ど全てという家族も稀ではないのであろう.
下は,カンバチェンとそこを出て暫くの眺め
カンバチェンを発って2時間半程するとメラ(Mera:6,344m)の脇を通過した.眺めているとたまたまヒマラヤ襞が美しい北の峰に雪崩が起こった.雪の落下速度はとても速く,アッと言う間に白煙となった.
ところで「メラ」という山は,しばしば耳にする「メラピーク」とは違うそうだ.メラピーク(Mera pesk:6,654m)はクーンブにあるトレッキングピークの一つで,カンテガやタムセルクの東に位置しているそうで,ツアリーダーSさんのお奨めでもある.
11時頃ラムタンに到着した.昼食を待ち,じっとしていると寒くなるのでダウンを着て,いつも先頭のガイドを務めるNさんと日向ぼっこをした.
Nさんが話してくれた.Nさんはカトマンドゥからクーンブのルクラ方面に向かう途中に住んでいるそう.ライ族でヒンドゥというところが他の多くのスタッフと比べて異色なようである.ガイド/シェルパとして仕事を始めて15年になるそうだが,現在の会社(ロールワリントレック社)には昨年移ったばかりだそうだ.なので日本人客相手は今回が2回目,それまではドイツ人客が多かったそうだ.
いずれにしてもNさんのリード速度はトレイルの状態やアップ/ダウンにあまり影響を受けずコンスタントで,筆者にとってちょうど良い速度で大変歩き易い.
そうこうしているうちにスープなどの昼食ができ上がり,頂戴した.寒いので食べ物の冷えるのが速く感じられた.
下は,ラムタン辺りまでの眺め
今朝出発したカンバチェン辺りからはガレ場もあるが,トレイル周辺は概して広々しており,陽射しを受けながら気持ちよく歩ける.
ラムタンでの昼食後再び歩き始めると,前述の雪崩が起こったメラの真横を通過するようになる.写真で左側が主峰であろうか?どちらにしても切り立った頂に襞が走り,実に美しい山だ.
メラを右に見ながら進むとドローモ(写真左側)の全体が見渡せるようになる.ドローモの右に見える白い峰は?う~ん判らない.
その白い峰のさらに右,メラの左に細い棒のように見えるのはトレイル右脇に立つ岩の棒(といっても結構大きい柱)である.まあ,うまい具合に侵食されたものだ.
さらに進むと右手にカンバチェン(Kangbachen:7,903m)が見えてきた.岩肌がジャヌーと同じように赤味を帯び,またぶつぶつした印象だ.今朝まで滞在した地名のカンバチェン(KhanbachenまたはKangpachen)と日本語では同じ発音になるが,微妙に差異がありそうだ.
地図で見るとカンバチェン,ヤルンカン,カンチェンジュンガと尾根伝いになっているようである.ヤルンカンは元よりカンチェンジュンガ西峰とも称されているそうだから,カンバチェンもカンチェンジュンガxx峰と呼ばれてもよさそうだ.
上の場所からさらに北上すると,カンバチェンの左奥に尖った高い峰が見えてくる.これがカンチェンジュンガだそうだ.カンチェンジュンガとカンバチェンが一つの尾根で繋がっている様子がよく判る.この2つの間にちょこっとある凸部はヤルンカンの一部かも知れない.
この場所からカンチェンジュンガが望めるのはあまり知られてないと,カンチェンジュンガ登頂経験のあるツアリーダーSさんが話してくれた.
やがてカンチェンジュンガ氷河(Kangchenjunga Glacier)の端部が見えてきた.氷河は黒いモレーンで覆われ,きれいであるとは言い難い.
氷河の先,トレイルの真東には写真左側テントピーク(Tent peak:7,366m)とネパールピーク(Nepal peak:6,910m)が大きく迫って見えてくる.特にネパールピークは形が美しく感じられる.
氷河端部を越えた辺りでトレイルは右岸(北側)アブレーションバレー(サイドモレーンの外側の窪み)に入った.バレーは広々し山もたくさん見えて快適だ.写真のように川も流れている.
そのうちロナークが近くなり,ウエッジピーク(Wedge peak:6,700m)別名チャング(Chang himal)が現れる.写真は雲が架かっているし,登って見た訳でもないが多分尾根がウエッジ=楔のようになっているのであろう.
下は,ロナーク近くまで歩いたときの風景
カンバチェンからロナークに歩くとき,ドライフラワーに過ぎないが,正しく枯れ木も山の賑わいの言葉通り感じられたので
さていよいよロナークに到着した.夏のカルカ村であるが,この時期まだちゃんとここで生活している家族も見られる.また私たちのようにキャンパーがいるので,キッチンやダイニングルームを提供したり,ささやかな日用品を商っている家もある.
テントピークとネパールピークに近づき,また前述のウエッジピークの主峰も見えるようになった.だがここから眺めると主峰よりむしろ脇の峰に多数の襞が走り,光線の加減でコントラストが良く,美しく感じられる.
ロナーク到着後一休みし,夕方になってから高度順応と眺望を兼ねて裏山に登った.裏山はいつも急坂であるが,ここもまた結構な傾斜があった.午後も遅くなるに従い雲が多くなるのが常で,この日も残念ながら厚く雲が立ち込めて見晴らしが利かなかった.でも雨や雪にならないだけ良かった.
ポーターの皆さんも寒くなったので,写真のようにトレッキング会社から支給されたお揃いの白黒模様パーカーを着て,耳覆い帽子を被るようになった.トレッキング会社毎に異なるユニフォームなので,通りかかるとき「我々のテント張りは既に済ませたな」とか判り易い.なお,パーカーは貸与なので,トレッキングが終わると洗って返却するのだそうである.
下は,ロナークに到着したときと,丘登りの様子あれこれ
未明の午前3時頃,手洗いに起きたとき,夕方たくさん湧き出ていた雲がなくなり,星が降り,正面のメラがくっきり見えていた.カメラを据えて撮ってみたのがこの一枚.お~っ,結構きれいに写っている!(ISO400 f/3.2×25sec)
さて明日,いやこの朝はいよいよパンペマ,カンチェンジュンガ北壁を望む.