今日はトレック第4日目,キャンジンゴンパに行く日だ.
ランタン村でトレッキング4日目の朝を迎えた.ロッジの部屋で目覚めて温度計を見ると,0℃だった.ダイニングルームでヌードルスープ(ラーメン)と卵の朝食を済ませ,8時半頃出発した.
この日は天気が悪いし,風も強い.水溜りは凍り,吐く息は白くなる.ランタン村住民が家畜を追って畑に出る頃,我々はその様子を眺めつつ上方へと足を進めた.
下は,ランタン村朝の様子
ランタン村の先に板状のマニ石が積み上げられたメンダン(mendan)が並んだ場所を通過する.もちろん左側を通る.とてもとても長いメンダンで,相当長期間に渡り建設されたのではなかろうか.この場所を通って程なくマンドゥの小さな集落に達する.マンドゥには家畜を囲うカルカ(khalka)が多く見られた.
下は,マンドゥ辺りの写真
マンドゥを過ぎ少し行くとシンダムの村になる.石作りの家が並び,ここもカルカと畑が多い.畑ではちょうどジャガイモの作付け時期だそうで,その作業風景が見られた.
シンダムの本村を過ぎてさらに歩くと,写真の茶屋があった.ちょっとした雑貨やチベット土産を売っている.ここでお茶を飲み,お店の人と途中知り合ったトレッカーのデレクさんと一緒に写真を撮った.
茶屋から山側を眺めるとヤクが僅かな枯れ草を食んでいた.山の上の方は雪が残り,雲がかかっている.そのうち少し雪が舞ってきた.寒い,いや寒々しいと言ったほうが合うか.....の空模様だ.
茶屋では毛糸の手袋やマフラー,帽子を並べていた.デレクさんは,カトマンドゥより大分高いね!とか言いつつ,寒いので1つ買っていた.上の写真で被っているのがその帽子だ.
デレクさんはとは前日ゴラタベラで会って以来時々,この先偶然キャンジンゴンパでも同じになるなど,しばしば一緒になった.フランスは,ドイツやスイス国境近くに住んでいるそうで,ロックミュージシャン.歌うだけでなく,作曲し,楽器演奏もこなすそうだ.毎年インド/ネパール方面で長期休暇を過ごすそうだが,今年はちょっと日数が少なく,ネパールだけと話していた.月に数千枚のCD売り上げがあるが,作曲した作品の多くはネットを通じて無償公開しているそうだ.何れにしても偉ぶったり気取ったところが全然なくとっても気さくな人だ.
下は,シンダム辺りの風景.
最初の?を逆にしたようなマークはネパールのあちこちで見られ,Good Luck!!のような意味合いだと,ガイドGさんが話してくれた.
シンダムを出て小一時間くらい歩いたであろうか?一軒の茶屋があった.住んでいるのではなく,お店を開けるときだけ出勤してくるようだ.地図を見るとエンフー(Yemphu)と記されているのはこの辺りだと思うが,確信はない.
この辺では雪も止み,少し青空も覗いてきた.茶屋を越え,暫し歩くとキャンジンリ(Kyangjin Ri:4,773m)が見えてきた.登る予定のところで,今回のトレッキングで到達する一番高い所になる見込みだ.
さらに上まで進むと,キャンジンリの左側にリルン氷河(Lirung Glacier)が見えてきた.傾斜が急なためであろうか,土砂や岩石が目立たず,青白く,かなりきれいだ.
その左上にランタンリルンがあり,この写真では覆われているが,そのうち雲も切れていくらか見えてくるのであった.いい眺めだ.
下は,エンフー辺りであろうと思われる場所からの眺め
11時過ぎキャンジンゴンパに到着した.なおも続くランタンコーラの上流方向にはガンチェンポの裾野が見えている.本体は残念ながら雲の中だ.
ランタンコーラを挟んで対岸にはナヤカン(Naya Kang:5,844m)やポンゲンドプク(Ponggen Dopku:5,930m)が聳えている.また左手にはキャンジンリ,ランタンリルン,キムシュンなど,期待通りすばらしい場所だ.
円筒形のダイニングルームを備えたヤクホテル(Yak Hotel)というロッジに泊まることになった.このロッジでは3泊し,ここを基点にランシサカルカ方面とキャンジンリに出かける予定だ.
3階建てで,3階の部屋には東西に窓があり,東側にガンチェンポ,西にランタンリルンを望むことができる.
屋上に上がると全周見渡すことができて,なかなかいい.またここにはソーラー湯沸しが据えてあり,シャワールームに供給されている.天気のいい日の午後入ったら,水で薄めないと入れないくらい熱い湯が出て感激した.クーンブ地方でホットシャワーと言えば,バケツ一杯程度のお湯に柄杓,くらいであったからエライ違いだ.尤も床は凍りつく程冷たく,赤いバルブが冷水,青いバルブがお湯と,社会通念と逆であることをようやく悟って,湯を浴びるに至るまで暫く寒い思いもしたが.(以前チベットでバルブの色が普通とは逆であるケースに遭遇し,理解するまでに大変な思いをしたことがあった.でも,その体験を全然活かすことなく,またもや多大は時間を費やしたことをここに白状する.次こそは学ばねば.....)
私たちが到着したと同じ日,仏のデレクさんと,写真の英グループがここにやってきた.一人はタイに4年在住中,2人は北インドに10年ばかり居て,もう一人が南インドに数ヶ月在住という4人組だ.たまたま皆イングランド出身の同郷ということが判り,一緒の宿で過ごすことにしたそうだ.
ある者は手巻きタバコを愛用している.当初,いや~,英ではタバコが高いから....とか言っていたが,タバコにガンジャ(大麻/マリファナ )を混ぜている.ガンジャは葉巻を太くしたような形態で,それをちぎってタバコに混ぜる.ラマホテルかその辺で買ったらしい.ネパールでは大麻が自生しているし,さほど害もなかろうし,まあ,いいだろう.さらにガンジャとは「神の草」の意だそうで,なおさら逆らえない.....かな?
北インドとタイの三人はポーター/ガイドなし,南インドの一人だけはポーターを連れている.ポーターはチェトリ族だそうで,彼がときどきガンジャ入りタバコをせびっているのがおかしかった.チェトリ族 (Chettri)はインド系ヒンドゥー教徒で,現ネパール王族はこの種族だそうである.彼は現在カトマンドゥに住んでいるが,一族はガネッシュヒマールの麓,つまりインド近くの低地ではなく高地に住むという.つまりチェトリは低地にも,高地にもあちこちに,ということらしい.
下は,キャンジンゴンパで最初の日の写真あれこれ
ところでキャンジンゴンパでは暖炉の燃料として薪と乾燥ヤク糞を併用していた.やはりラマホテル辺りと比べると,木は殆ど無いし,ヤクは多いのでそうなるのであろう.
この日は天気があまり良くなかった.明日はランシサカルカ方面を往復予定だが,晴れるかな~?