トレック第6日目は予定通りキャンジンリに登ることにした.
キャンジンゴンパで3日目の朝を迎えた.昨日の雪で一面白くなっているが天気は良さそうだ.風も無さそうだし,キャンジンリに登るには願ってもないだろう.
先ずはキャンジンリの途中にあるタルチョーピーク(darchog Peak:4,565m)に向けて歩いた.最初ジグザグの道を行くが,雪に覆われ判り難いところもあり,ガイドGさんを先頭に進んだ.
写真左側がランタンリルン,右がキムシュン,その間がリルン氷河だ.完全な天気で実に幸運だ.
途中まで来ると,黒い岩の塊の上にタルチョーが翻っているのが見えてくる.これが先ずは目指す,通称タルチョーピーク(darchog Peak:4,565m)だ.
ここに登るとキャンジンゴンパの集落が一望できる.さらにランタンコーラの向こう側に聳えるナヤカン(若しくはナヤカンガ Naya Kangg:5,846)が麓から聳える.この姿がなかなか圧巻だ.
ちょうどナヤカンの左(東側)の谷間にガンジャラ越えでヘランブーに至る,ガンジャラルートが位置しているようだ.
写真で,歩いているのはポーターJさん.今日のお昼はロッジに戻ってから食べる予定で,ランチボックスもお茶の魔法瓶も運ぶ必要がないが,天気もいいことだし山歩きを一緒に楽しむことにしたのだった.
岩山に到着した.チベット文化圏の定番通り,たくさんのタルチョーがはためき,標識等は一切無い.地図によれば4,565mのようである.ランタンリルンとキムシュンに挟まれたリルン氷河の始まりから終端まで見下ろすことができる.下流はやはり削り取った岩石でモレーン(堆石堤)が形成され真っ黒だ.
同じく,キムシュンの右にはキムシュン氷河(Kimshung glacier)も流れ,下部でリルン氷河と合流している様子がよく見える.
下は,タルチョーピークの写真あれこれ
さて,タルチョーピークで一休みした後,キャンジンリを目指した.見上げると,歩く尾根は細く頂上は相当遠くにありそうに見える.だが実際歩いてみると楽な道だった.麓からタルチョーピークまではジグザグの道であるが,そこからキャンジンリまでは単純な登りで,簡単だ.
タルチョーピークから40~50分でキャンジンリの頂上に到着した.いや~すばらしい眺めだ.少し先を歩いていた仏の青年が既に到着していた.昨日ランシサカルカ往復で,たった一人会ったトレッカーが彼だった.偶然また一緒になったのには驚いた.この日もまだ彼以外のトレッカーとは遭遇していないので,ランタンエリアがやはり空いているように思う.ようやく帰路,登ってくる別のトレッカーには出会ったが.
キャンジンリからは全周山が見える.ツェルゴリの向こうにランシサリまで見え,驚いた.月並みだが実にすばらしい眺めだ.下はそれら眺めた峰々.
ランタンリルン Langtang Lirung:7,234m | キムシュン Kimshung:6,781m | ランシサリ Langshisa Ri:6,427m |
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ガンチェンポ Ganchenpo:6,387m | ポンゲンドプク Ponggen Dopku:5,930m | ナヤカン Naya Kang:5,844m |
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下は,さらにキャンジンリに登ったときの写真.最初はヤンサツェンジ(Yansa Tsenji:6,575m)
ランタンリルンの上に少し雲が出てきた.10時40分,頃合も良いし,下ることにした.正面にポンゲンドプクやナヤカンを眺めながら歩く.全周見えるという好天で,十二分に付いていたし,ルンルンで下った.
途中,筆者同様ガイドとポーターを連れた一人のトレッカーに会った.ヨーロッパの人は自ら大きな荷物を背負い,独りで歩いていることが多いが,たまに同類を見かけるとほっとする.別に張り合う訳ではないし,引け目を感じなくともいい筈だが....
ロッジに戻ると周囲の雪はすっかり融けていた.早速ダイニングに足を運び,ガーリックスープにチャーハンの昼食を食べた.歩いた後だけに格段に美味しい.
イングランド衆のうち,北インドと南インドの3人が集まっていた.北インド組はランシサカルカ方面,凍った滝の辺りまで行って戻ってきたそうだ.南インドは暖炉端に留まり読書,タイは北インド組と一緒に出かけ,ランシサカルカまで行ったそうで,午後3時半頃戻ってきた.
下は,キャンジンリから戻りの時眺めた光景
仏のデレクさんはポカラ方面に去り,代わりに独の2組のカップルが暖炉端に集まってきた.うち1組の方の男性はちょうど1年コースのマイスター学校を終了し,女性は会社を辞め,新しい街に引っ越したので時間ができたので暫く旅に出ることにしたという.男性は31歳,エアコン設備に関するのが専門だそうで,製造はタイなどが多いがダイキンや三菱など日本メーカーブランドが,ジーメンスなどと比べてやはり間違いない,ということだ.
午後,(キャンジンゴンパの)ゴンパを訪ねてみた.先にランシサ氷河が見えるロケーションにひっそり建つ小さなゴンパだった.近くまで行くと,若いお坊さんが声を掛けてくれた.
たった一人でこのゴンパを守っているそうで,500年の歴史を有し,チベット仏教なのでご本尊はラマということだ.
お堂内部にも案内してくれた.4面の壁や天井には無数の仏画が描かれており,修復されているのだろうが結構古いようである.いくらかお布施をして写真を撮らせて貰った.
下は,ゴンパの写真
ゴンパの近くにチーズ工場がある.ただし今は操業していないそうだ.夏の間,ヤク追いの人たちがヤクを連れ,上がって来る2~3ヶ月の期間,ヤクのミルクを採取し,チーズやバターに加工するのだそうだ.
キャンジンゴンパの夕刻は,ランタンコーラの下流方向に陽が沈む.ちょうどガンチェンポの正面を照らす方向だ.雲が多くなってきたが,果たして夕焼けは見えるかな?
パーフェクトではないがそれなりに赤くなった.やはり横からの赤い光線は山を際立たせる.
さてこれでキャンジンゴンパの予定は全て順調に終了した.天候によっては全日程を延長してもOKとガイドGさんに言われて安心はしていた.例えば雪でランシサカルカに行けなかったり,キャンジンリに登れなかった場合であるが,それも不要になり,順調に進み良かった.
明日はラマホテルまで下る予定だ.