このゲルムへ編では2010年11月14日朝タルを出て,チャムジェを経てジャガットでお昼,午後ゲルムまで歩きそこで宿泊したときの写真と記事を掲載した.
タルの朝目覚めると意外にも晴れていた.ただ谷あいにあるタルにまで陽は射してこないのではあるが.ダイニングルームで久しぶりにチャパティとオムレツ,ミルクティーの朝食を食べ,出発した.
最初川原を行き,タルのカンニを通過する.Pさんが知り合いと出会ったようで挨拶を交わしている.訊くとブラザーだと言う.ただネパールで「ブラザー」はもちろん日本同様の兄弟の意味がある一方,叔父,甥や従兄弟の範囲を含む広義の場合がある.この場合後者だった.Pさんはタマン族で,地元の村では広義の兄弟たちと近い範囲で暮らしているそうだ.
日本ではさらに範囲を広げて,血の繋がりが全く無くとも「兄弟」とされる場合がある.兄弟の杯,兄弟の契....など,専ら特殊業界で使われることが多いようには思うが.
ところで国によっては,気易く「ブラザー」とか「アミーゴ」とか声を掛けてくる輩には要注意だ.大体ろくでもないことを持ちかけてくることが殆どだ.(ネパールではあまりないので安心)
下は,タルと出て暫くの間の写真
やがてマルシャンディ左岸から右岸に渡る吊り橋の袂に差し掛かった.3~4人のサイクリストが橋の向こうからこちらに渡って来た.渡りきった所の路面は,乗るにはちょっとラフ過ぎるため,手で押しながら登って行った.私自身アンナプルナサーキットでこう云ったサイクリストを見るのは初めてだが,自転車を楽しむ人は結構多いそうだ.車体を背負ったりする場所もあろうから体力が要ると思う.
右岸に渡ると斜面の高巻き道に入った.以前反対側から歩いたとき,「こんな怖いとこあったかな?」と思った.そして10時頃チャムジェに着き,道端の茶屋でミルクティーとした.
チャムジェで座っている間,トレイルを眺めているといろいろな人が登って行った.東アジア系の顔立ちなので「今日は~」と声を掛けてみたら,きょとんとして「コリア」と返されたりもした.
下は,チャムジェ辺りまでの写真
チャムジェから1時間ばかり歩くとジャガットだった.バイクとジープが見える.最近ジャガットまで道が整備されたのだそうだ.2年間前はベシサハールのちょっとだけこちら側,クディ(Khudi)までであったので,短期間で随分工事が進んだように思う.
ジャガットからは,ダルバートでないものに変えることにした.ここではチキン春巻きがあるというので,それとオニオンスープにした.春巻きにしては異様に大きいが,まあネパール風と受け止め,久しぶりの非ダルバートを美味しく戴いた.
ジャガットにジープなど4WD(写真中央に少し写っている)が入れるようになったが,バスが入るには更に幅を拡げる必要があるそうだ.ネパール政府はマナンまでバスを通す計画で,現に近くでは拡張工事が進められていた.この辺りでの問題は,ジャガット村内のトレイル拡張で,トレイル両側間近に建つ家のどちらか片方,若しくは両方の家を取り壊す必要があるということだそうだ.写真はオフィサーが現場にやって来て,トレイル両側の関係者が大声で議論白熱している場面だ.いろいろ大変ですな.
下は,ジャガット辺りまでの写真
さてジャガットの次,シャンギ(Syanagi)で橋を渡り,少し行くとゲルム(Ghermu)の村に入った.まだ1時過ぎと早い時間だが,予定通りここで今日の行程を終えることにした.ロッジ名はRainbow Lodgeで,2年前ここでお茶を飲んだことを思い出した.ロッジの庭はラルパテ(ポインセチア),ブーゲンビリア,ハイビスカス....と,南国の香りいっぱいで,通りを行く人もよくシャッターを押している.
夕方になると,トロンパスに向かう9人+スタッフのグループが到着した.スタッフの一人が色々興味深いことを話してくれた.ポカラにある「3姉妹トレック社」募集(ネットで)ツアーで,この時の9人はカナダ,オーストラリア,...とインターナショナル,男性2人,女性7人だそうだ.同社は名のように女性ガイドがメインで,女性参加者が多いのが特徴だそうだ.またこのときはガイドは男女2人で,ガイド見習いの女性3人が加わっており,全体でかなり大勢だった.暗くなるとポーターの一人がドラムを叩き,ダンスを始めるなど盛り上がっていた.
下は,ゲルムの写真あれこれ
さらに遅くなって,チュルイースト(Chulu East: 6,584m)に登るというドイツ人2人とガイド一行の皆さんも到着した.このガイドKさん,私がメガネを外して地図を眺めていると,「メガネなしでよく読めますね」,「私はこれがないと」と老眼鏡を掛けた.50歳に達したと言うが,概して歳より老けて見えるネパリーの中にあって逆に随分若々しく見える.Kさんはまた日本語を話す.大分以前になるが千葉に滞在したことがあるそうだが,「日本では全てが忙しい,やはりネパールの方がいい」とも.これまで登山とトレッキング全部合わせて3,000人ほど案内したそうで,最近クーンブで,偶然会った人に「あっ,Kさん」と声を掛けられたが,誰か思い出せなかった(←3,000人も居れば無理ですよね),とか....色々伺った.
こうして決してエキサイティングではないにしても,面白いトレッキングの一日が終わっていった.明日はブルブレまでだな~