このアルキタイム峡谷編では,2016年11月10日,ベイトアルサファ博物館見物の後,アルキタイム峡谷に向かい,峡谷上に到着しグランドキャニオンの様相を見下ろす.次いで峡谷のトレイルをハイキングで往復したときの写真を載せました.
11月10日お昼前,アルハムラ村7からアルキタイム峡谷8に行った.
アルハムラ村からアルキタイム峡谷へは北側から入る,かなりの回り道となる.ということで暫く走ると山への道になる.さらに行くと,殆ど岩と同化したように見える住宅が集まるオアシスの小村が見えた.ナツメヤシ畑がなければ気づかないかもしれない.
比較的緩やかな道を進むと,白く大きな建物が見えた.こんなところに何であろう,軍の施設か,いや学校か,でもちょっと大き過ぎるかな.....
やがてラフロードになり,車の揺れは激しくなった.しかし別に崖っぷちではないのでどうと言うことはない.
他国と比べオマーンは家畜が少ないと思っていたが,この岩の多い辺りでは羊が疎らではあるが僅かな草を食んでいた.それとヤギの姿も見える.
アルキタイム峡谷に到着した.オマーンのグランドキャニオンとも称されるそうだ.
峡谷のヘリにはロープが張られているので安心して下を覗ける.ないと怖いだろう.
こうして眺めると,アリゾナのグランドキャニオンには及ばないものの,確かに大きな峡谷だ.ここビューポイントの標高は2,000m弱くらいで,爽やかだ.
私たちはビューポイントから峡谷ハイキングのスタート点まで進んだ.そこは上記ビューポイントよりやや低く1,900mくらいであろうか.
ここにはカフェ(と言っても素朴な)など数軒の家々が集落を作っている.ヤギが多くいて,写真のヤギは車の屋根に乗り,二足で立ち,立木の葉っぱを食べている.いや~見上げた根性だ.
並んだ商品は,今歩いている道にある小石や,ヤギの角と変わりないような.....
こうしてお店が成り立つのも,峡谷ハイキングに訪れる観光客が多いということだろう.
私たちはアルキタイム峡谷ハイキングを始めた.アルキタイムで『歩きタイム』だ.ルートはアルキタイム峡谷の内側に設けられた巻道を行く『バルコニーウオーク(balcony walk)』と呼ばれるようだ.終点は廃村となったサップバニハミス(Sap Bani Khamis)の村跡地で,ここで弁当を頂き,そして同じトレイルを戻る予定だ.
終点サップバニハミスはこのスタート点より300mほど低い位置だが,アップダウンはあまり無く,殆ど下る一方で楽だという.まあ戻りは若干きついではあろうが.
私たちが歩き始めたのは正午頃であったと思うが,既に戻ってくるハイカーにも少なからず出会った.ヨーロッパ系の人が多いようだ.
昔は人の住むサップバニハミス集落があり,そこまで往来するための人や家畜のためのトレイルだったのであろう.それが今はこうして専らハイキングトレイルとして活用されているのだ.
なお私たちは歩く速度が皆違うから,ということでてんでバラバラに歩いたが,整備された一本道なのであまり迷う心配はない.たまに大きな岩にぶち当たり,間違えると崖側という場所も少しあったが.また,途中で,もういいかな~ということでリタイアして,皆が戻るのを待つ人もいた.
私たちのドライバ兼ガイドさんがお弁当を持ち,越して行く.先に到着し食事の準備をしてくれる.お願いします.
光線の方向がなかなか良くなって,アルキタイム峡谷の崖肌が美しく見える.素晴らしい.
トレイルの上がオーバーハングした箇所もある.前を行くのは先程追い抜いていったドライバさんたちのようだ.大雨になったら雨宿りに都合良さそうだが....まあ,そうしたことは起こり得ないか?
この辺りは少し急な下り坂となっている.滑り落ちないようにしなくては.
トレイルからアルキタイム峡谷底を覗きこんでみる.でも底は見えないな~見えるまで崖の縁に行くのは怖いし...
峡谷壁には今歩いているバルコニーだけでなく,侵食されてできたであろう何本ものテラス状巻道風模様が見える.少なくともヤギやオリックスなら難なくトラバースするであろう.
トレイル上の大岩があり,踏み跡が見えず間違えそうになった.
地図を参照するとこの辺りでスタート点方向を眺めると,オマーン最高峰シャムス山(Jebel Shams)が見えるかな~と考えたが,どうやらバルコニートレイルのある崖の東側に位置し,見えないようだ.
午後1時過ぎ,ランチ場である終点に到着した.ちょうど1時間くらい歩いたようだ.そしてドライバさんがインド料理の食事の準備に取り掛かってくれた.
オーバーハングした岩屋根のある崖際のテラスに数個の石室が残っている.これが廃村となったサップバニハミス(Sap Bani Khamis)の跡地だそうだ.45年ほど前まで15家族ほどが暮らしていたのだが,水源の水が涸れ,農作物も家畜も育てられず,結局ここから下らざるを得なくなったそうだ.
ここを出た家族はWadi Ghul辺りで暮らしているという記事があったが,詳細は不明.
石室のあるテラスから左手には大きな崖が立ちはだかっている.この崖の途中に水源があったという.
ということで少し上に向かってみた.途中少し平らな林があった.木の種類は私には判らないのだが,棘のあるものも生えている.サップバニハミスの村があった頃はオリーブ,ザクロ,レモンなどを栽培していたという.
さらに家畜としてはヤギ(今もいるが),羊,ロバなどが飼われていたそうだ.
まあこんな大変なところを誰が攻めて来ようかと思うが,それがやはり攻めて来たのだそうで,何処かに監視塔の廃墟も残っているらしい.
この崖のトレイルはキツイので,私は途中で引き返した.もっと上まで行ったMさんに訊くと,水源跡の小池が残っていたということだ.
今は完全に涸れているが石室テラスの下の崖には段々畑が残されている.段の壁は石垣で築かれている.
往時,この畑にはタマネギ,唐辛子,トマト,小麦,スイカ,バジルが栽培されたという.
村の車の屋根のヤギも凄かったが,この崖下に棲むヤギもまた根性がある.私たちのお昼の残飯を地面に投げる(ガイドさんからちゃんと指示がありました)と,透かさず崖下からヤギが現れ,何でも食べてくれる.例えばみかんの皮など.私たちはゴミを持ち帰る手間が省けるし,ヤギも食事にありつける.人とヤギの共生関係だ.
ただ昔からヤギが手紙を食べるというストーリーで知られるが,これは何でも食べることの誇張で,さすが紙までは...らしい(試してみなかった)
さてお腹が満たされ,往きと同じ道を辿り戻ることになった.同じ道ではあるが前方に見える景色は同じではないのでそれなりに楽しめる.
勝手知ったるトレイルで,帰路もてんでバラバラ勝手に進んだ.写真は比較的勾配のある辺りだが,概して登り加減であるも傾斜は然程急ではない.
私たちが戻る方向に歩いていると,これから反対方向に行くハイカーにも結構出会った.まあ,なかなか人気あるコースなのであろう.
さてこうしてパラパラっと出発点に戻ってきた.そして村のオープンカフェに行くとスイカとメロン,お茶を頂く.メロンは甘く,スイカはそうでないようで,先に食べた人が『スイカが先,メロンは後に』とアドバイスしてくれる.
こうして楽しいアルキタイム峡谷ハイキングは無事完了した.この日はあと古民家に宿泊するため再びミスファットアルアブリーン村に行く.