このフィザヤ編では,2016年11月20日ルブアルハーリー砂漠から戻った私たちは,今夕のBBQ材をサラーラ中央スークで仕入れ,西に向かいムグセイルでブロウホールを見物し,フィザヤでキャンプした.翌11月21日朝フィザヤ海岸ハイキングに出かけ,その後イエメン国境近いアルハウタを往復しラクダや竜血樹,ボトルツリーを眺めたときの写真を載せました.
サラーラ19からムグセイル24に行きブロウホールを見,フィザヤ25でキャンプ.翌日アルハウタ26を往復し,竜血樹やボトルツリーなど眺める.
ルブアルハーリー砂漠から一旦サラーラに戻るとレストラン入り,写真のランチを食べた.サラダに,焼き魚に,フライドチキンのようだ.白いご飯も付いているが,米粒が異常に長い(いつも長いのだが)
やはり座敷が一番寛げると見えて,スタッフの皆さんはここに座る.ご飯もピラフのようで,多少違いがあるようだ.
サラーラ中央スークはやはり街の中心部にあるようで,そこに出かける.
この辺りもまた歩いている人は少ない.車社会だな~
スークに到着すると先ず野菜売り場に行った.売り場の形式はマスカットやニズワと同様だ.そしてスタッフの皆さんが夕食用に適宜買い揃えてくれる.
本格的,広い魚売り場は建屋内部にあり,既に添乗Yさんがお刺身用マグロを仕入れてくれていた.その次に,焼き魚用魚をこの回廊部で選んでいる場面だ.
選ばれた魚は網で火が通り易いようにあまり大きくない魚だったと思う.
ここもマスカットのスーク同様,所定料金で魚を捌いてくれる職人さんが働いている.マグロは腹わたを取り,頭と尾,ヒレを落とし,三枚(か五枚)に下ろし,皮を剥いで仕上げてくれる.手慣れた包丁さばきで,なかなか手際よい.
こうしてブロック状に加工されたマグロは氷と共にクーラーボックスに納められ,キャンプサイトに着いて,Yさんが短冊状に切り,お刺身として仕上げてくれる予定だ.楽しみだ.
スークでの買い出しが終わると,ランクルは西へと向かった.
やはり岩山が海辺まで迫っている箇所多い.
サラーラから暫く走った先はラクダに遭遇する機会が多くなる.道路を悠々と歩いている.車よりラクダ優先と,どうやらラクダも心得ているようだ.
ラクダが群れを成している場合もある.ラクダは単に散歩しているか,たまに草を喰んでいるようであるが,荷物を運んでいるとか,車を牽いているといった姿を見ることはない.
Kさんには,ベドウィンの飼っているラクダはレースに出場し,稼ぐと聞いていたが,皆が皆レースに出場とは考え難いし....
車はムグセイルに到着した.お~向こうの方に潮が吹いているのが見える.これがブローホール(blowhole)だそうだ.そこまで歩いて近づこう.
ガイドSさんがブローホールの上に立ち(鉄のメッシュスノコが張られている),下からシャワーを浴びる.海水なのでベトベト大変だと思うが,私たちへのパフォーマンスサービス提供だ.
仕組みは単純にL字状穴が海に繋がっているということだ.そのため波の高いときは盛大に吹き上げるそうで,夏場にそんな機会が多いそうだ.
ムグセイルでブロウホール見物後,さらに国道47号線で西に向かった.そして47号線は徐々に高い標高を目指すに至る.高い位置から時々望むアラビア海もなかなかきれいだ.
アラビア海の地平線が湾曲しているのは地球が丸い性ではなく,単にレンズの歪曲ではなかろうか,多分.
さて目指すフィザヤのキャンプサイトが近づいてきた.高みを走る国道47号線から浜に下る小さな道に逸れた.
殆ど行き交う車はないので,浜から離れた漁村から漁に出るときに降りる道であろうか....などど,これまで見た漁村不風景から類推してみた.ただ実際下ってテントを張った近くで漁船を見ることはなく,今回に限ってこれまでの漁村との類似性はないようだ.
そしてフィザヤビーチのキャンプサイトに到着した.ビーチ脇には私たちが通ってきたラフロードがあり,たまに車が通過する.はて,どういう人なのかな~
さてここでも好き勝手な位置にテントを張る.最初砂浜から引っ込んだところに張ろうとしたが,地面が予想外に硬くてペグが立たない.
ということで,この際波音を聴きながら寝るのも一興かと,浜の近くにテントを張った(写真左側)
ただこれはその後現れた現象からすると失敗だった.夜中に水位が上がったのか,寝るときより波の音が高くなったのだ.大音量で目覚め,眠れない.
翌朝,『でも波に流されなくって良かったんじゃない』と慰められた.確かにそうだ.それとこれまではいつもフライシートは乾いていたが,この朝は濡れていた.潮が風で運ばれたか,それとも夜露が降りたのであろうか.
スタッフの皆さんは砂の上にむしろを広げ,BBQの薪を焚いたりと準備に暇がない.私たちは特にマグロに対する期待感でいっぱいだ.
お刺身が苦手というYさんが,気合を入れて作ってくれたマグロの刺し身がこれだ.
ところが,これがあっと言う間に空になったのだ.これにはYさん自身も唖然としておられた.私も,皆さんも当事者でありながらぽか~んとした.やはりマグロの刺身は最高だ.それをオマーンでなんて,想像もできない土地で味わえるなんて.ごちそうさまでした.
マグロはあっと言う間に終わったが,まだ焼き魚を焼いてくれている.これも楽しみだ.焼き方は指南役主婦シェフYさんがおられるので先ず間違いなく美味しく焼ける.
魚の正体は今思い出せないのだが....もともと魚大好き人間なので,勿論美味しいの範疇から逸れることはないのだ.ごちそうさまでした.
さてあまりにも波打ち際に近く,些か心細いが,それとは無関係に星は輝いている.どんな風に写るか見当付かないが,懲りずにまた写してみた.う~ん星空の雰囲気が殆ど感じられないな~とりあえずこれはカメラのせいにしておこう.
さてあまり良く眠れない夜だったが,変わりなく朝になり,ときは11月21日となった.アラビア海の東からは創世記の頃から多分変わりないであろう日の出の光景だ.まあこうした恒久的現象は何の心配もなく,平和裏に臨むことができていいと思う.
陽が少し昇り,朝食を頂いた.それを終えると撤収にかかった.私はテント畳みにまごまごし,Iさんに手伝ってもらった.毎日のルーチンワークだが,ありがとうございます.
テント場が片付くと,予定通りその西側ハイキングトレイルに出かけた.
トレイルは概ね海岸に沿っており,海岸までせり出した岩山に刻まれている.
トレイルから眺めるアラビア海はとても美しい.よく判らないが,陸に樹木など有機物の少なさが透明度の高そうな水に関係しているのか....と思ったりもするが,全くわかっていない.
海岸の岩は高さによって侵食され易さが異なるようで,中間辺りに深い侵食部分があって,そこがテラス状になり,またハイキングトレイルとして好適な地形を形成している.
私たちはテラス状トレイルから見下ろしたのであるが,このように遠浅の砂浜もある.誰も海水浴に訪れることはないかも知れないが,なかなかいい場所に見える.
暫く歩くと幾らか波が高く,荒くなる浜の上になった.地形が波の形や高さを決定づけるのであろう.あの厄介な流体力学が思い起こされた.
台地に出て,切り落ちた断崖からアラビア海を眺める.海の色が何とも素晴らしい.
マスカットの街のページで,マスカットの幾つかの語源説の中に,『山が海に落ちるところ』と云うのがあったが,この辺りを含め,ムグセイル~フィザヤ~これから行くアルハウタの辺りは,正に『山が海に落ちるところ』といった地形が続いている.
上手く写らなかったが,イルカが数頭群れて泳ぐ姿も見えた.動物園と違って大きくジャンプしたりすることなく,背中少し浮かべたり,潜ったりしながら泳いでいる.ジャンプしてくれればもっといいのだが...
広い高台で歩き回り,引き返すことになった.往きと同じ道を辿るのだが,目に映る景色は同じと言えば同じなのだが,視界方向の差があり,それなりに楽しめる.
ホールルーリ遺跡で見た航路図で見ると,ホールルーリ(サラーラ)からイエメン経由で紅海,エジプトに至るルートのダウ船はちょうどこの海岸沖を通過したようだ.
暫くして侵食されてできた屋根のあるテラストレイルまで戻った.まあうまい具合に侵食されたものだ.
そして私たちは既に撤収済のフィザヤキャンプサイトまで戻った.
フィザヤキャンプサイトでランクルに乗ると,先ずは海岸から離れ,高い位置を通る国道47号線まで戻った.そして戻った後は,47号線はさらに昇り,GPSデータを見るとおよそ1,000mくらいの標高を走った.
しばし47号線を進んだ後,海岸のアルハウタ村(Al Hawtah)に行く通りに分岐した.立派な舗装道路であるが幾度かいろは坂があり,道路工事が大変だったことを窺わせる.そして程なく遥か下方に再びアラビア海を目にするようになる.
国道47号線から降りた辺りの高原には牛の放牧を見かける.牛を見るのはジュベルサムハンの高原以来だが,そこと同じ程度の標高で,また草も同じように生えているようだ.
サラーラ以西で圧倒的に増えたラクダは,ここでも多い.いやそれ以上だ.
何という植物かわからないのだが,こんな変わった木も生えている.
海岸に降りる手前で見えた.オマーン国旗が掲げられているので公的機関だが,さてアルハウタ村役場でしょうか?
アルハウタの海岸まで降りた.浜辺には数頭のラクダが見える.いくらか海水を飲んで塩分を補給するのでしょうか.
人は塩分濃度0.15%までの塩水が飲めるが,ラクダは何と5.5%塩水まで可能で,それは海水の一般濃度3.5%より高濃度だそうだ.それなので内陸の塩水化した湖(塩湖)や河川の水を飲むことができるそうで,過酷な環境に適応するよう進化してきたのでしょうか.
写真手前に牛の姿が見える.牛が塩水を飲むとは聞かないが....ラクダの真似をするのか?
ということでググってみた.すると,牛は0.7%塩水まで可能で,人の0.15%よりは高いが,3.5%の海水はとても無理なようだ.単にこの辺りで草を探しているのであろう.
アルハウタには太いボトルツリーと,それに絡みつくシカクヤブガラシが生えていた.これもまたジュベルサムハン高原と似た光景だ.
ボトルツリーには少ないがピンクの花も見える.花期も同じようだ.
ラクダが隊列を組んで,浜から引き上げる場面だ.引率するラクダ主の姿はなく,自分たちで自主的に移動しているようだ.この点馬やヤクなどと似ていよう.
アルハウタから引き上げにかかった.茶色の岩山には多少砂が積もり,そして灌木が生えている.なかなか雄大な光景だ.それと多数細い白筋は獣道であろうか.そうだとするとヤギやキツネなど,厳しい環境下で暮らしていることになるな~
さて一度ジュベルサムハンで見た竜血樹はここアルハウタでも生えていた.ほんとにアルハウタとジュベルサムハンはよく似ている.
さてその竜血樹はほんとに竜血を垂れ流すのか?ガイドSさんに幹に少し,切れ目を入れてもらった.赤い液体が出てくると期待してしばし眺めていたが,何も出る様子はなかった.今回は諦めよう.流れ出るというのではなく,僅かずつ滲み出る程度なのかも知れない.とても貴重というから,そう簡単には採取できないのだろう.
アルハウタからの戻り道,往きと同じいろは坂を再び通る.いや~凄いカーブだ.
さてこうしてアルハウタ村観光は無事終わった.これから一路サラーラまで舞い戻る.